名言を自分のものにする

 

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ビジョナリーカンパニー

■著者:ジェームズ・C・コリンズ


20年以上も前の本なのに、決して変わらない事実。これを、"真理"という。『1+1=2』のように、何年経っても変わらない事実のことだ。


では、『会社の在り方』という真理は、いかなるものか。それを断言してくれるのが、この本だ。


ビジョナリーカンパニー(飛躍する偉大な企業、先見性のある企業)は、『どのような信念であれば、金融関係者に受けがいいだろうか』


こんなことは考えもしない。自分たちの中にあるもの、骨の髄まで染み込んでいるものを表現しただけなのだ。それは息をするように自然なこと。


会社は金儲けの為にあると、誤解している人が多い。金儲けというのは、会社が存在していることの結果としては重要であるが、われわれはもっと深く考えて、われわれが存在している真の理由を見つけ出さなければならない。

 

『基本理念』を徹底的に、ときにはカルト的に重んじる傾向が、ビジョナリーカンパニーにはある。従業員はまるで、特別なエリート集団に属しているという感覚のなかで、いわゆる、『朗働』をしているのだ。


そして、自分自身に対する要求がきわめて高いという単純な事実が、ビジョナリーカンパニーが飛びぬけた地位を確立させている理由だ。

『世の中でいちばん大切なものは、自己を律することである。自己を律することができなければ、人格は形成されない。人格が形成されなければ、進歩はない。……逆境は成長への機会になる。そしてなんのために働くのかで、成果は変わってくる。問題があり、それを克服できれば、人格が養われ、成功をもたらす質を獲得できる。』


(中略)


偉大な芸術家や発明家がそうであるように、ビジョナリーカンパニーも不満を栄養にする。不満がなくなれば、自己満足に陥り、自己満足に陥れば、勢いが衰えるしかない。この事実をよく知っている。

─抜粋


常に改善の道を求めるよう『内側から燃える火』をいつも絶やさないように、ビジョナリーカンパニーは考えているのだ。また、こうも書いてある。


ビジョナリーカンパニーになるには、昔ながらの厳しい自制、猛烈な仕事、将来の為の絶えざる努力がいやと言うほど必要である。近道はない。魔法の薬はない。抜け道もない。ビジョナリーカンパニーを築くには、長期間にわたる厳しい仕事が必要である。成功を収めても、それが終着点になることはない。

─抜粋


おそらく、世の中の多くの人が、この"真理"を理解せず、短期的な成果を上げることだけに目が眩んでいるのではないだろうか。そして、次の言葉が重要である。


『流行に逆らっても、自分自身の流れに従う』


この言葉は、他人にどう見られるか、ということを気にして、見栄や外聞、体裁、ときには、常識に支配されているような人には、到底理解できないだろう。


『きわめて重要な点がある。基本理念は、『つくりあげる』ことも 『設定する』こともできないのだ。基本理念は見つけ出すしかない。

内側を見つめることによって、見つけ出すのである。基本理念は本物でなければならない。理念を模造することはできない。あるべき理念を理屈でつくりあげることはできない。基本的価値観と目的は心の奥底で信じているものでなければならず、そうでなければ、基本理念にはならない。』

─抜粋


『基本理念』というものは、会社の、いや、この人生を生きる上で絶対軸になるもの。著書にある、


『正直にできる仕事に変わるべきだ。たとえそれが石を割るだけの仕事でも。』


という言葉の意味は奥深い。心理学、認知心理学、脳科学、細胞学、あらゆる方向から考えても、この言葉の真意を説明することが出来る。


これは、『難しい話』などではない。『難しい構造をした人間』を分かりやすく説明してくれている、説明書のコメントだと思うべきである。

 

 

 


[初読年齢 28歳]

著者:一瀬雄治 (Yuji Ichise)


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