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考察
何しろ、『原理』を理解していないということになる。『仕組み』だ。さしずめそれは、『人間の仕組み』である。例えば、聖書の『伝道者の書 5章』にあるこの一文をみてどう思うかだ。
『見よ。私がよいと見たこと、好ましいことは、神がその人に許されるいのちの日数の間、日の下で骨折るすべての労苦のうちに、しあわせを見つけて、食べたり飲んだりすることだ。これが人の受ける分なのだ。実に神はすべての人間に富と財宝を与え、これを楽しむことを許し、自分の受ける分を受け、自分の労苦を喜ぶようにされた。これこそが神の賜物である。こういう人は、自分の生涯のことをくよくよ思わない。神が彼の心を喜びで満たされるからだ。』
この聖書の一節には、『くよくよしない人間の考え方、生き方』についての、ヒントが書いてある。私は数年前、ネガティブブラックホール&ポジティブビッグバンという言葉を創ったが、聖書で挙げられている『労苦をしないで飲食をむさぼる者』や、『ネガティブ(悲観的)に考える者』とは、『原理』を理解していないのだ。
ローマの哲学者、セネカは言った。
仏教の開祖ブッダは言った。
問題なのは、『苦労、苦痛、死』という要素自体ではない。それを『不幸だ』と考える、自分の心なのである。
『過ぎ去った不幸を嘆くのは、すぐにまた新しい不幸を招くもと。』
例えば今私は、毎日のように遅刻をする部下と10年間向き合っているわけだ。私の場合、毎日毎日、この部下がまき散らす負の感情と向き合うところから一日がスタートする。10年間会社にいて、そこで厳しい制裁を受け、それで遅刻をし続ける人間がどこにいるだろうか。普通ならとっくに首になっている。だが、他の会社と違うのは、私が『そういう負に屈さない』という性格をしているところだ。普通が首にするという常識は知っている。だが、私は『普通』という言葉など最初から信用していない。
アインシュタインは言った。
彼がまき散らす負の感情などに屈する私ではない。だから、『そのままそれを続けるなら、ただお前の人生が終わっていくだけだ』ということを淡々と教えるべく、遅刻をしたらしただけ減給するのである。当然、彼の給料は『0円』だ。そんなことを続ける人間に給料などあるわけがないだろう。他の人間にも示しがつかない。
彼との本音の会話では、彼は別に今の境遇に不満があるわけではないのだ。時間にも厳しいものはないし、その遅刻は会社を辞めたいというアピールでもない。他に行くところもないから、この会社にいたいというのだ。昼寝の時間を1時間与えたこともあった。『それで遅刻したら間違いなく睡眠不足でもなんでもないぞ』と言い、『切り替えるようにします』と言った次の日の朝、
『申し訳ございません。』
というメールが、定時の時間の30分後に届き、遅刻をしたのだ。ナルコレプシーというわけでもない。うつ病というわけでもない。私と会うという日には緊張感が走り、遅刻することはない。私がいないところで、親の見ていないところで、彼はただひたすら、自分に甘いのである。だから私は先ほど『彼がまき散らす負の感情』という表現をしたのだ。これが病気なら違う表現をする必要があるが、彼はただただ自堕落な人生を送っているだけなのである。
金は欲しい。だが、楽をしてほしいのであって、苦労するならいらない。そういう風に物事を考える、本当のろくでなしなのだ。仕事もちゃんとやらない。だからルーチンワークのようなものをやらせるが、それも必ず不備が一つ以上ある。
『過ぎ去った不幸を嘆くのは、すぐにまた新しい不幸を招くもと。』
だがそんな時、シェイクスピアの言うようなこういう言葉が私の心にしみわたる。彼のこうした無限に生み出される負の感情に自分を支配されていたら、私までその『ネガティブブラックホール』に飲み込まれてしまうからだ。だから私は楽観的に考えるようにしている。もちろん彼自身もまたこの言葉に従って、終わったことをいつまでも後悔している暇はない。過ぎ去ったことはもうどうにもならない。それを隠蔽するということではなく、糧にして前に進むのだ。それしかできないのではない。それができるのだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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