名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!
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考察
例えばこういう話はどうだ。普段、『自由奔放だ』と、ある種の揶揄をされる人間が、いざという場面で頼りになるケースがある。しかし、普段はその人物に対して、出てるように、良く言えば『自由奔放』、悪く言えば『無責任、何を考えてるかわからない、自分勝手』と思っていたわけだ。それが、いざという場面で、『そうではなく、信頼できる人だった』と、評価が覆るシーンは、たまに目にする光景である。そこには一体どういうストーリーが隠されているのだろうか。
例えば、その『自由奔放』な人は、普段、そういうスタイルで生きている理由があった。実は、その男はこの町に引っ越してくる前までは、実に理路整然としていて、礼儀正しく、社交的であり、義理堅く、規則正しい人間だった。前の町の人々は口を揃えて、彼のことが『信頼できる人』だと評価していた。しかし、あることがきっかけで、そういう風に振る舞って生きざるを得なくなったのだ。
理不尽な事件によって、家族を亡くしてしまったのである。そして、深く深く気を落としていた。真面目な性格も手伝って、鬱屈としていた。しかし、死んだ家族の為にも、残りの人生を前向きに生きていくべきだと悟ったのだ。以来、なるべくストレスを溜めこまないように、あまり理屈や、そうであるべきだという固定観念、常識に囚われないような生き方をすることに努めた。それは、そこに生まれる義務による閉塞感や束縛感で、また鬱屈としないようにするためだった。
そういう生き方は、塞ぎ込んでいた自分の心にとっていい薬になった。気分を変えるために引っ越したのはいいが、その町の人間の自分に対する評価は、以前とは全く違うものだった。しかし、彼にとって、そのことはあまりどうでもよかった。だから弁解はしなかった。そして、冒頭に書いたような周囲の評価が出来上がっていった。
だが、ある日、天災に襲われた。町の人々はパニックになり、一歩判断を間違えれば、命を落とす結果になり兼ねなかった。
─そのときだ。
『意外なことに』、『何を考えているかわからない彼』がリーダーシップを取って、町の人々を安全な場所に誘導してくれたのだ。彼は、
(今は、やるべき時だ!)
そう自分に言い聞かせ、かつての責任感ある自分を呼び覚まし、そして元々持っていたそのポテンシャルをいかんなく発揮した。町の人々は、彼にそういうことを期待していなかったから、『意外』だったが、口を揃えて彼に感謝の言葉を述べた。そうして彼への『評価』は、その件を通して以前と同じものに変わったのだった。
その『評価』に対しては、別に彼は相変わらずどうでもよかった。だから、評価が覆ったことに対して、自分の理性が『役に立った』とは思わなかった。それよりも、町の人々の命を救った。そのことを受け、彼は、かつて規律正しく生きていた頃の自分が誇らしく思えた。
かつて、理性的な性格が仇となって、死ぬことも考えた時期があった。しかし、亡くなった家族がそれを望まないことを悟り、前を向いて『生きる』道を選択した。その道を歩くためには、少しばかり今までの自分とは違う生き方をする必要性があった。『いい加減』な人生が嫌だから馬鹿真面目になったが、『良い加減』という生き方があることを知ったのだ。自分が生きていく為に必要な加減。それが、『良い加減』ということだった。何も知らない周りの人からは、『勝手気ままに生きている人』と噂されたようだった。しかし、それはあまり気にならなかった。それも『良い加減』の生き方の中の、範囲内だったからだった。
だが、いざという場面では、やはりその『良い加減』という『ぬるめの温度』は役に立たなかった。ガスコンロの火力を強くするイメージで、スイッチを入れ、『ぬるめのお湯』を『熱湯』レベルにまで、引き上げた。すると、長い間眠っていた、理路整然とした合理的な自分の人格が、目を覚ました。理性も、感覚も、両方捨てたものではない。捨てる必要のないものだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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