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三浦綾子『包帯を巻いてあげられないのなら、むやみに傷口に触れてはならない。』

名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!

偉人

運営者

ふむ…。

考察

私は両親にクリスチャンであることを強要されたから、宗教が嫌いだったし『慰め』も嫌いだった。しかし、この三浦綾子の言葉を聞いたのは17歳の時で、なぜ私は今、この言葉を今もまだ鮮烈に覚えているのだろうか。その頃はまだ、今よりもはるかに精神未熟で、見識もおぼろげだったはずなのに。

 

私には、理解者がいなかった。まず、クリスチャンということだけで、例えば学校には私の他にあと何人いるか、というぐらいのものだったし、そのうちの一人の教会の息子と話をしても、全く自分と価値観が違っていて、以来、二度と話すこともなかった。

 

 

『強いられていて、そこから自由になろうとする』という気持ちでつながったのは、悪友たちだった。そしてそれから数年間、私と悪友との、ここには到底書けないような日々が続いたのだった。しかし、彼らとて、やはり心底では繋がっていなかった。私はそれでも、難しい事を考えないで済むから、その自由への逃亡と追及に付き合ってくれる彼らと共に時間を過ごし、その内、その時間を何よりも大切にするようにした。当然、家族との時間よりもだ。

 

 

やがて、そんな彼らとの人間関係にも限界が訪れることになった。精神未熟な年齢ということも手伝って、我々の人間関係の中には、秩序がなかったのだ。そして、その混沌として曖昧だった絆の糸は、次第にちぎれていったのである。私が、三浦綾子のこの言葉に出会ったのは、『結構な場所』だった。私がそこにいた理由も書けないし、どこにいたかも書けない。

 

しかし、その時既に私の父親は肝臓がんで余命3か月を宣告されていて、私の精神状況は、極めてセンシティブだったことは確かだ。私には、理解者がいなかった。最愛だったはずの両親とは、もう二度とかつての様な仲に戻ることは出来ない。最愛だったはずの実の兄との間には、心に残って消えない理不尽な一件があった。悪友たちは、別に理解者ではない。心底の部分での絆は、知れたものだった。

 

かといって宗教をやるのか。それを心は求めていないのだ。しかし、こうして父親が死んでいく。一体私はどうすればいいのだろうか。助言はあった。説教はあった。一方的に決めつける揶揄や批判や言い渡しはあった。しかし、そのどれもが私の心の奥にある、闇で覆われた的を射ることはなかった。

 

 

私には、理解者がいなかった。だからこそ、三浦綾子のこの言葉は、私の胸に突き刺さって、今も尚消えないのかもしれない。そして私は思った。

 

(でも逆にこれって、包帯を巻いてあげられる資格が、俺にはある、ってことだよな。)

 

ホイットマンは言った。

 

この言葉に出会ったのも、全く同じその時期だった。

 

(そうか。俺は人に包帯を巻いてあげよう。これだけの目に遭ってきたんだ。それが本当なら、それが巻けるはずだ。)

 

あれから15年。今、私は吃音症の部下と向き合って、もうすぐ7年になる。幼少期に兄を事故で亡くし、以来、骨の髄にまで被害者意識が染みついて、何度も同じ過ちを繰り返し、文字通り『正常』ではない失態を繰り返すこの部下を、私が本気で叱りつけるのを止めない理由は、もしかしたら、三浦綾子のこの言葉に、あの日あの時、出逢ったからなのかもしれない。

 

 

 

 

MEMO

※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。

 

 

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