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鍵山秀三郎『普通の人は「益がなければ意味がない」という。しかし、二千五百年前の晏子(あんし)は「益がなくとも意味がある」と言いました。』

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ふむ…。

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考察

『余裕とは先に楽しみがあるからできてくるものです。昔は貧しくても余裕がありました。ところがいまは先に楽しみを取ってしまって、あとから義務や債務の始末をする。逆転してしまったのです。ですから私は、よいことが後に控えていることはいますぐなすべきだと考えています。普通の人は「益がなければ意味がない」という。しかし、二千五百年前の晏子(あんし)は「益がなくとも意味がある」と言いました。』

 

 

どう考えたって、晏子(あんし)の方がまともなことを言っているわけだ。しかし、それを『まともじゃない』と本気で思う人間がいる。かつての私がその代表者のようなものだ。私の両親は、クリスチャンだった。それはそれはとても仲が良かった。二人がだ。自分たちの都合で軽井沢や伊那に行き、日曜や年末年始は、毎度の様に、同じクリスチャン同士で集まり、集会を開いていた。そして私は、クリスチャンではなかった。というか今でもそうだし、一生涯、どの宗教にも属するつもりはない。もちろん、『四聖』に数えられる、

 

孔子

孔子

ソクラテス

ソクラテス

ブッダ

ブッダ

キリスト

キリスト

 

彼らの言葉と向き合った上で、そう言っているのだ。向き合う前も、向き合った後も、私の心は断固として変わることは無かった。

 

いや、確かに、彼らの言葉は傾聴に値した。むしろ、今では彼らは私の尊敬する師匠のようなものだ。だが、断じて彼らを神格化することはない。つまり、そこに宗教心は一片も無いのである。彼らが高潔な人間なのはよくわかった。だが、宗教を強要した両親が、自分たちが『順風満帆な人生』という図式に依存し、悦に入りたいが為に、私を巻き込んだことは許されない。

 

私は彼らの思想の巻き添えを食らい、その意志を主張すると『反抗期』だとして揶揄され、『この家の子供ではない』という圧力をけしかけ、私を潰そうとしてきた。私は幼少期、泣き寝入りするばかりだった。力づくで自分たちの思想を正当化し、私の心に確かにあるこの意志をないがしろにし、自分たちだけで、自分勝手に仲良くやっている様子は、まるで『他人』だった。

 

イギリスの小説家、D・H・ローレンスは言った。

 

我々の家族の絆は、完全にゆるみきっていたのである。私は、彼らと同じように、周囲が犠牲になってもいいから、自分の人生でやりたいことをやるという人間になった。つまり私は、この鍵山秀三郎が言う『益がなければ意味がない』という発想をする、自分本位で利己的な、取るに足らぬ人物に成り下がってしまったのだ。私は彼ら両親の為に、どれだけ我慢し、同調してあげたことだろうか。しかし、それをいいことにやりたい放題にやってしまったことは、教育者として、最低の行為だったと言えるだろう。

 

私が我慢することで、私に『益』などなかった。あるとしたら、『衝突を避けることが出来る』ということぐらいだ。しかしそれは、もっと大きな問題を引き起こす原因にもなってしまっていた。たった一度のこの人生を棒に振るうということ。そして、両親だけがハッピーな方向に傾き、Win-Loseの図式が成り立ってしまうこと。

 

私はそういうことを経験してきて、たくさん葛藤してきて、この鍵山秀三郎が言う『普通の人』の気持ちは、痛いほどよくわかる。わかるが、それでも私は、晏子(あんし)の意見に一票を入れたい。それが、真理だからだ。

 

 

 

MEMO

※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。

 

 

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