名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!
運営者
考察
この言葉に込められた思いがどういうものであるか。それはもちろん、タモリの心境になってみなければわかるはずもない。しかし例えば、『笑っていいとも!』一つ考えただけでも、この言葉が捻出された理由は浮き彫りになるわけである。あの番組に出れば、それだけで芸能人たちは、大きな栄光だった。それがステータスとなり、自分の未来の仕事にも良い影響を与える。そういう好循環が出来上がっていると思い込んでいることが原因で、その栄光を利用しようとする人間は、一人や二人ではなかったはずだ。
若手の芸人や、売り出し中のアイドルだったら、尚のこと前に出なければならない。しかし、そういう『やる気』は、往々にしてあの番組では空回りする。あの放送には、あの放送の独特の雰囲気というものがあるのだ。一人が前に出れば、一人の個性が埋没する。あの番組を、芸能界の生き残りを賭けた『勝ち抜き戦』の様なイメージで皆が臨んでしまっては、もっと早くに飽きられて、長寿番組にはならなかったかもしれない。
突出するカリスマ的なスーパーアイドルよりも、調和を大事に出来る人間の方が好まれていた印象がある。淡々としていて、大きな波を立てず、それでいて『何が起きるかわからない』ハプニング要素と、タモリだからあり得たビッグなスターとの共演がたまにあるという番組の空気が、日本人の特質にあっていたのかもしれない。
普段から騒がしいのは嫌だ。安定が欲しい。だが、安定だけではつまらない。たまには刺激が欲しい。そういう日本人独特の普遍的なニーズを押さえていたからこそ、あの番組は長い間国民に支持されてきた印象を受ける。あの番組を観ていた人間は、カリスマ的に秀でたスーパーアイドルを見るというよりは、『自分の毎日の習慣を淡々とこなす』ことが目的だったような気がする。
朝起きて、食事をし、仕事や勉強をして、昼休みに『いいとも!』を観る。エゴを捨て、気配を打ち消し、国民の日常の習慣に同化した、同番組の司会者の口からこの言葉が捻出されたのは、ごく自然なことだった。
ドン・キホーテの会長、安田隆夫は言う。
『誰もね、ドン・キホーテの売り上げに貢献してやろうなんて、思ってないんですよ。』
客にとって安くて近くて便利である。だから支持され、愛される。こうした人間心理を上手く見抜いて、日本人の習慣に食い込んだタモリは、達観していたのだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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