名言を自分のものにする

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あなたの一番近い友人が、『あなた』


今回のPRESIDENTにて、

建築デザイナーとしての受賞歴を持ち、『Newsweek』の世界が認めた
日本女性100人の一人にも輝いた、坂之上洋子氏が言っている言葉が面白い。

『学生の頃、CNNの番組で
"Look at your closest 8 friends,they are who you are."
(あなたの一番近い友人八人を思い浮かべてください。彼らが実は『あなた』なのです。)

という言葉が流れてきて、衝撃を受けたことがありました。
人生は友人の存在で大きく左右されます。
しかし当時、私は身近に偶然にいた友人となんとなく楽しんでいただけで、
意識して友人を選ぶということをしていませんでした。

いまは、社会全体をよくしようという『公』の精神を持つ人たちと時間を過ごしたい
とはっきりと意識しています。
それが私にとって一番わくわくして楽しく、また人の役に立つ取り組みができるかもしれないと
考えるだけで、自分が幸せな気持ちになれるからです。』
彼女の意見はどれも共感できることばかりだ。
人生の悩みをくぐった人ほど、真に迫った意見が言える。

私も、自分の周りに、たまたま例えばパレートの法則の『20%』がいると思ったことはない。
今から5年も6年も前に、
『あなたの周りにいる人はたまたま昔から居ただけだろう。
それだけの理由なんだから、悩むことはない。
合わないのであれば、それは友人ではなかっただけだ。』
と言ったが、
例えば小学生低学年の頃、あれだけ皆で平等に仲が良かったはずの同級生たちと、
知らぬ間に口も利かなくなったりするように、
人は、自我が成長する生き物。
たまたま周りにいたというだけの理由では、友人かどうかを決める基準にはならない。
精神分析学者フロイトによって提唱された、

精神構造を3つに分けた概念として有名な、
『イド』

イドは快楽原理に基づいて、本能のままに「今すぐあれがしたい」「これがしたい」という
欲求を出して満足を求める。

『自我』

このイドの上に存在し、理性的にイドをコントロールするのが自我(エゴ)である。
 
自我は本能的な欲求を現実にあった形にする役割や、
その欲求をかなえるために必要なプランを立てるなどといった準備行動を作り上げる。
 
例えば、「嫌いな仕事でも家族の生活のためだ」と思い、
仕事を続けることは自我の働きによるものである。

『超自我』

最後に、超自我(super ego)とは常に道徳的、意識的であろうとする部分である。
 
子どもは親から叱られたり褒められたりすることで、行動の善し悪しを学ぶ。
 
幼い頃は親の判断基準に従っているが、成長するにつれ
「これをやっては他人に迷惑がかかるからやってはいけない」
と自分で判断できるようになる。
 
この意識が超自我である。
 
という3つの精神構造からも説明がつくように、
ここでいう小学校低学年の頃の同級生とは、この『イド』の精神状態で知り合った関係だ。
常に『超自我』を意識できている人間と、『イド』の精神状態の人とでは、
精神状態がかみ合わないということは一目瞭然。
その差はまるで、大人と赤ん坊、生徒と教師だ。
小学校低学年の生徒と、その教師が、
プライベートで友人として認めあい、人生について語り合うということはないだろう。

彼女の場合は、波乱万丈な人生の経験の中で『超自我』が人よりも発達し、
"たまたま周りにいた昔からの友人"との精神レベルとに差が開いたのだろう。
もし、人生において自分の人間関係が、昔と比べて変わったと思うことがあるのであれば、
それは、あなたか、相手か、そのどちらかの『自我』のレベルが良くも悪くも変化した
ということなのかもしれない。

 

 


by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。


あなたの一番近い友人が、『あなた』

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