名言を自分のものにする

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強制的ではない矯正


今回のPRESIDENTで、

またサイバーエージェントの藤田社長を今一度見直すことになった。

私が偉そうに言う身分ではないが、
堀江モンとの交友しかり、出会い系しかり、
何かと"真っ白"と断言しづらい同社長であったが、
ここ数年の発言は人間として、的を得ている印象を受ける。
どこかのインタビューでも言っていたが、"何かと"、学んできたのだろう。
人として成長しているのが目に見えてわかる。
例えば、
以下の三タイプの人材を、管理職としてふさわしい順に並べるとどうなるだろうか。
A 人格がよくて、実績のある人
B 人格が悪くて、実績のある人
C 人格がよくて、実績のない人

と読者に質問して、文末に自分の考えを言うわけだが、
最近の同氏の、若年層の社長抜擢の勢いなども引っかかり、
正直、数年前までの彼への印象ならば、 『B』 と言いだしそうで一瞬疑ってしまった。
だが、その後すぐに
(いや、今の彼なら・・・)
と信用してみようと思ったことが、彼の何よりの成長の証拠だと確信する。
私が生きていた環境も、人格などは追求されないような、
実力主義の世界だった。
金、金、金。
勢いに権力に、勝気な腕力さえあれば、どこまでも高みに登れると過信し、中には
『自分の祖先は武将だ』
と根も葉もない作り話をつまみに、傲慢に飲酒に酔いしれる者もいた。
つまり、ここでいう 『B』 が重宝される環境だったのだ。
藤田氏のような、若くして偉業を成した勢いのある人間も、
とかく虚栄に酔いしれてしまいがちだ。
だが、ITバブルの崩壊、
女優、奥菜恵との離婚、
戦友、堀江貴史の失敗、
先輩、村上ファンドの一件等、
波乱万丈な生活環境の中で教訓を得て、
人間として彼は、確実に一つ上のステージに昇華しつつある。
人間の原則を学び、知性を磨けば、この『人格』というものをおざなりにして人生を考えることは、
典型的な"盲目"だということがわかってくる。
全世界で、実に2000万部もの売上を上げた『7つの習慣』

でも、
『個性主義と人格主義』の決定的な違いについて説いている。
藤田氏は文末に、
『実績があって人格の悪い人間、
つまりBタイプの社員は絶対管理職に上げないようにしている。
なまじ自信を持っているだけに、このタイプの扱いが、最も厄介だからである。』
と答えた。
彼の順番は私と同じ答えの、 A→C→B だったのだ。
我が社でも、社員への教育は設立当初から、この『人格』を無視する教育は、
絶対にしてこなかった。
いくら金を儲けても、人間として欠落しているのであれば、
いつまでたっても本当に幸せにはなれないということを、
私もまた波乱万丈な自分の半生で、学んでいたからだ。
この、『人格の矯正』から逃げる者もいる。
だが、人として人生を生きている限り、逃げても必ず向き合うことになる。
それなら、この藤田氏のように、強制的にではなく、
自分からすすんで矯正する道を選ぶ、英断ができるかどうか。
その判断が人生を大きく左右する。

 

 


by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。


強制的ではない矯正

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