世界を驚かせるのはいつだって、日本人が生きてきた、高潔な歴史。
昨日さいたま市であったこの事実が、世界中の人々を驚かせている。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20130726-00000376-yom-soci&1374801992
世界がこれについて、こういう感想を抱いた。
「日本が、また世界を驚かせた」
「とっさにこのような行動ができる日本人は、どのような教育を受けているのか」
アメリカは、
「生死に関わる状況で、駅員と乗客が冷静に協力した」
「おそらく、日本だけで起こりうること」
イタリアは、
「イタリア人だったら眺めるだけだろう」
香港は、
「中国で同様の事故が起きれば、大多数の人はやじ馬見物するだけだ」
ロシアは、
「どうしてこんなに迅速に乗客が団結できたのだろうか」
「他人の命に対して、我々ロシア人も無関心であってはならない」
タイは、
「日本の人々が生来の結束力を余すところなく示し、
困っている人に助けの手をさしのべた、素晴らしいニュース」
別に『愛国精神』だの、野暮なことを言うつもりはない。
だが、悪い面ばかり見て愚痴を言うよりも、
ブータンのように、GNH(国民総幸福量)を意識し、もっと誇りを大事にしていいのだ。
我々が心底に抱えている『誇り』は、崇高である。
もっとも、恵まれた環境にあっても尚、無い物ねだりを追及するから、
好循環にハマり、先進国で在り続けられている一面もあるだろうが、
ただおそらくそれは無意識のレベルで、やはり意識的には、
不満を抱く人が大勢いるのではないだろうか。
『それが人間というものだ』という正当化も、蔓延している。
この電車事故で起きた現象は、以前私もまとめたが、
『アドホック概念//www.a-inquiry.com/knowledge/adhoc.html』
という概念が見せた現象である。
ハリケーン『カトリーナ』の際もあったこのアドホック概念だが、
日本は世界において、
つまり人間の中でもトップレベルのアドホック概念を備え持っている。
東日本大震災のとき、
我々日本人は、その立居振舞を世界から称賛されたことは記憶に新しいだろう。
これは個人的な見解だが、これらの現象は、
日本人に植えついた『武士道精神』や、『敗戦を乗り越えた誇り』
が深く関係していると私は見ている。
新渡戸稲造の著書、『武士道』は、
実にそうそうたる人物と照らし合わせ、
その道について追及していて、奥深い。
キリスト、アリストテレス、ソクラテス、プラトン、
孔子、孟子、ニーチェ、エマソン、デカルト、
織田信長、徳川家康、豊臣秀吉、
枚挙に暇がない。
例えば、今回のようなテーマについて、それら偉大な人物の思想と照らし合わせ、
こう書いてある。
『武士道においては、名誉の問題とともにある死は、
多くの複雑な問題解決の鍵として受け入れられた。
大志を抱くサムライにとっては、
畳の上で死ぬことはむしろふがいない死であり、
望むべき最後とは思われなかった。』
武士道が掲げる"7つの神髄"、
『義』
─武士道の光輝く最高の支柱
『勇』
─いかにして胆を鍛錬するか
『仁』
─人の上に立つ条件とは何か
『礼』
─人とともに喜び、人とともに泣けるか
『誠』
─なぜ『武士に二言はない』のか
『名誉』
─苦痛と試練に耐えるために
『忠義』
─人は何のために死ねるか
これらについて考えたとき、
我々日本男児が、何故『理想の死に方』を探し求めているか、
また、海外とは違い、何故日本が『宗教のタブー』が暗黙化されているのかが、
垣間見えてくる。
我々日本人には、確実に『武士道精神』が宿っている。
『切腹』、
『神風特攻隊』、
『侍』、
そしてそれを支える『女』。
いずれも、腹が据わっていなければ、
人生を厳かに、尊く生きる高潔な精神が備わっていなければ、
あり得ない生き方だ。
世界の人々に、
『いったいどういう教育を受けているのか?』
と聞かれても、我々の顕在意識では、
『なにも受けていませんが…』
と答えるしかないだろう。
これは、”潜在意識”のレベルの話なのだ。
”血”だ。
”誇り”だ。
”矜持”だ。
”魂”だ。
我々日本人には、
自分たちの”命”について、
人間史上、最も考え抜いて磨き上げた、
確かな精神が宿っている。
明治天皇の玄孫にあたる竹田恒泰氏が書いた、
『日本はなぜ世界でいちばん人気があるのか』
には、興味深い内容が書いてある。
高松宮宜仁親王殿下が生前に同妃喜久子殿下に話したという、この内容だ。
『皇族というのは国民に護ってもらっているんだから、
過剰な警備なんかいらない。
塀をめぐらして城壁を構えて、大々的に警護しなければならないような皇室なら、
何百年も前に滅んでいるよ。』
この言葉から垣間見えるのは、
日本人の心底にある、人を、神を、命を敬う、高潔で尊い精神。
我々日本人は、
グローバリズムを叫ぶ前にこのことについてよく内省するべきだ。
日本の繁栄の為に
”世界に合わせる”ことと、
世界の繁栄のために
”世界に合わせてもらう”こと。
この両面についての意識から、未来永劫、目を逸らしてはならない。
by:一瀬雄治 (Yuji Ichise)
サルベージエンタープライズ株式会社代表取締役社長。
1983年、東京都生まれ。