元々廃棄物の処分には許可が要りませんでした。しかし許可制度が導入されました。その理由は、廃棄物処理ルール年表(無許可時代から許可制に至るまでの歴史)をご覧ください。ここでは廃棄物の区分と、それを扱う際のそれぞれの許認可等の一覧を記載しています。
Contents|目次
■該当する物…[家庭から出たゴミで、爆発性のあるものや有毒ガスが発生し事故を起こす可能性が高い物]
■主な5つの品目…
■該当する物…[事業活動に伴って出たゴミで、産業廃棄物の20品目に該当するゴミ]
■20品目とは…
■出す場所…[最寄りの産業廃棄物処分場、収集依頼可]
■処理に必要な許認可(委託)…[委託業者に必要な許可は、産業廃棄物収集運搬業許可]
■処理に必要な許認可(自社)…[自社運搬の場合、許可不要]
『特別管理産業廃棄物』
■該当する物…[事業活動に伴って出たゴミで、爆発性のあるものや有毒ガスが発生し事故を起こす可能性が高い物]
■主な5つの品目…
■処理に必要な許認可…[特別管理産業廃棄物収集運搬業許可]
一般家庭や店舗などで不要になったゴミの中には、危険物に指定されている廃棄物もあります。危険物は可燃ゴミとしても不燃ゴミとしても処理できないため、危険物は危険物として別途に処理を依頼しなければいけません。危険物と指定されているものには、消火器・バッテリー・ガスボンベ・バイク・オイル・タイヤ・ピアノなどがあります。ガスやオイル、消化器などのように、すぐに危険物だと察することができるものもあれば、ピアノのようにどこがどのように危険なのかわかりづらいものもあるので注意しましょう。
危険物と指定されているものを処理する場合には、できるだけ購入した店舗や、そうした製品を販売しているショップに処理を依頼する方法が理想的です。買い替えなどに際して無料で処理してくれるショップもありますし、処理のみを依頼する場合には有料になってしまうショップなどもありますから、買い替えの時にはできるだけ買い替えに合わせて古いものは無料で引き取ってもらったほうがよいでしょう。
このうち、消化器の処理方法は少し難しいので気を付けましょう。以前なら、消火器を販売しているショップに処分してもらうのが一般的だったのですが、平成22年からは指定されている処理場に持ち込み、有料で処理をしてもらうことが必要です。万が一のために家庭にぜひキープしておきたい消化器も、使わないまま有効期限がきてしまったものや、使用済みのものなどは、安全のためにも速やかに処理するようにしてくださいね。
危険物取扱者の資格は、国家試験にパスしなければ取得することができない資格です。危険物取扱者の資格は、消防法に基づいて指定された危険物を取り扱ったり、取り扱う場所に立ち会うためには必ず持っていなければいけない資格。危険物といっても色々な種類があるため、危険物取扱者の資格も、トータルで6種類に分類されています。
酸化性固体(過マンガン酸カリウム、塩素酸カリウム、次亜塩素酸ナトリウムなど)・可燃性固体(マグネシウム、硫黄、リンなど)・自然発火性物質及び禁水性物質(リチウム、ナトリウム、黄リンなど)・引火性液体(灯油や石油、軽油、エタノールなどのオイル系)・自己反応性物質(爆発の危険が高いニトログリセリン、トリニトロトルエン、アジ化ナトリウムなど)・酸化性液体(硝酸、過酸化水素など)の6種類です。これらすべての種類の危険物を取り扱うことができる資格は、危険物取扱者「甲種」で、自分自身で取り扱うこともできますし、有資格者が立ち会えば、無資格者でも取り扱うことができます。
一方、危険物取扱者「乙種」は、これらの危険物のうち、特定の分野に関して有資格者として認められているもので、該当する危険物の場合には、自分自身で取り扱うことができます。また無資格者が取り扱う場所に立ち会うことも認められています。危険物取扱者には「丙種」という種類もあります。丙種は、危険物の中でもガソリンスタンドなどで取り扱っているガソリン、灯油、軽油のみ取り扱うことが許可されている資格で、ガソリンスタンドに常駐している店長などは、この資格を持っている人が多いようです。
廃棄物(ゴミ)を搬出する業者には、搬出事業者としての責任があります。搬出事業者とは、ゴミ置き場からゴミ処理場までゴミを搬出する業者のことで、一般家庭から出される一般廃棄物の場合には、それぞれの市町村が管轄している清掃局の職員が搬出を行います。産業廃棄物の場合には、搬出のみを行っている業者に収集を依頼することが多いようです。廃棄物の搬出を行う搬出業者には、業者の責任として適切な方法で処理を行うという責任があります。これは、廃棄物処理法の第3条に定められています。廃棄物の処理までを自らが行う事業者はそれほど多くなく、廃棄物の処理は専門の業者に委託するのが一般的です。しかし、廃棄物処理を行う業者なら誰に依頼してもよいというわけではありません。
廃棄物の処理を他社に委託する場合には、その処理業者が国などから認可されている業者であり、また、処理施設まで運搬を行う運搬業者も、国から認められている運搬業者でなければいけません。つまり、自社が出した廃棄物は、きちんとした処理施設で適切な方法で処理されるところまで、きちんと責任を持たなければいけないということなのです。搬出事業者が廃棄物の運搬や処理を他社に依頼する場合には、口約束ではなく、きちんと書面で契約書を交わさなければいけません。契約書には、その運搬業者や処理業者が国から認可を受けていることを示す認可番号が記載されていることも必要です。そうしたことも、法律で定められています。
特定産業廃棄物とは、産業廃棄物の中でも「毒性が強い」「爆発する危険がある」「感染症を引き起こす可能性がある」などのリスクを持つ廃棄物のこと。こうした廃棄物は、ほかのゴミと一緒に処理することができないため、必ず別途で処理を行わなければいけません。特定産業廃棄物にも、有害物質を含むかどうかで、さらに細かく対象となる素材が分類されています。特定産業廃棄物の中でも有害とみなされていないモノには、
があります。一方、有害物質に規定されている特定有害産業廃棄物には、
などがあります。こうした特定産業廃棄物は、国で定めれられている処理方法があるため、産業廃棄物処理施設ではルールに則った処理を行う必要があります。
わかりやすく言うなら、「ゴミ処理技術」とも呼べる廃棄物処理技術は年々向上していて、地球環境にダメージを与えないような処理技術もスピーディに開発されています。しかし、世界的には日本は世界でも最下位のゴミ処理国とされており、現在でも世界でもっとも焼却炉を多く持つ国ですし、一人当たり毎日1キロ近くのゴミを出しているといわれているほど、ゴミ処理に関しては後進国なのも事実。ゴミに対する考え方が後進国でも、廃棄処理に関する技術はできるだけ磨いて、処理技術では世界に誇れる国になりたいものです。
日本国内で出されるゴミは、一般家庭がゴミを出す段階ですでに素材ごとに分別作業が行われている自治体が多いようです。そして、ゴミ処理施設では、それぞれの素材に合わせてリサイクルに向けた粉砕加工などが行われ、最終的なリサイクル施設へと送られていきます。多くの自治体では、可燃ゴミはそのまま廃棄物処理施設で燃焼処理されることが多いのですが、燃焼処理の際に出る二酸化炭素が地球の自然破壊につながっていることもあり、今後は燃焼処理の処理技術も考えていく必要がありそうですね。廃棄物は、リサイクルとして一度素材を加工し直すのではなく、製品をそのままの製品としてリユースできるのが理想的です。また、レアメタルなどの有用金属は廃棄物処理施設ではリサイクルできません。そのため、カメラや携帯電話などの小型家電は、ゴミとして出すのではなく、ショップにリサイクルとして持ち込むことで、埋め立て処理を避ける対策なども講じられているようです。
廃棄物処理責任者とは、廃棄物の処理や清掃などの業務に関する管理監督を行う責任者のことで、廃棄物処理法によって定められている仕事です。この仕事は、廃棄物を処理する施設には必ず常駐していなければいけないだけでなく、誰でも自由に責任者になれるというわけでもありません。廃棄物処理責任者になるためには、環境省令によって認められている資格を持っている人物でなければいけません。
廃棄物処理責任者の仕事は国家試験など難しい試験をクリアしなければ取得できないというものではありません。しかし、廃棄物の処理や清掃に関する法律や法規を熟知していて、感染症の原因となりうる処理場などに関しても知識を持っていることが必要となります。このうち、感染症を引き起こす可能性がある廃棄物処理を行う事業所には、医師や薬剤師などメディカル関連の資格を持っている人や、環境衛生指導員として2年以上の経験がある人、大学でメディカル関連の学部を専攻していた人などでなければ廃棄物処理責任者になることはできません。
廃棄物処理責任者の仕事は、
などがあります。
個人が産業廃棄物を不法投棄するケースはかなり少ないのですが、工場などの企業が不法に産業廃棄物を投棄するケースは増えています。産業廃棄物とは、何かを製造したり解体したりする産業活動を行ったときに排出されるゴミや不用品、端材のことで、通常の場合には法律に則って正規のルールで処理しなければいけません。しかし、産業廃棄物の処理には費用がかかるため、悪質な企業によっては正規のルートで廃棄せず、森林や河川などに産業廃棄物をそのままポイ捨てしてしまうケースもあります。これが、不法投棄です。産業廃棄物の不法投棄は、地球の循環システムで分解されない物質も多く、大気や土壌、水質に被害を与えてしまうことも少なくありません。国を挙げて不法投棄の取り締まりは厳しく行っていますが、不法投棄を行う側も、できるだけ発見されにくい場所や時間帯を狙ってくるので、なかなか現行犯逮捕できるケースは少ないようですね。
ただし、不法投棄は、未遂でも違法行為にあたりますし、すでに投棄してしまった場合でも、後日、投棄物から所有者を追跡することで違反行為の責任の所在をはっきりさせることもできます。不法投棄は地球にとってマイナスの影響が出てしまうため、警察の取り締まりだけではなく、国民の一人一人が一丸となって、不法投棄をストップさせるためのサポートを心がけたいものです。自治体によっては、不法投棄の通報を受け付けているので、ぜひ活用してください。