借金は親子であれば身代わりになって返済しなければならない?
いいえ。
本来、借金というのは貸した側と借りた側との間の契約です。この場合、契約当事者ではない子供には、返済の義務は全く生じません。そのため貸し手から親の借金の支払いを請求されても、法律上子供には返済する義務はありません。
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親子間のトラブルも様々ですが、その中の1つに借金の問題があります。親が借りたお金を、子供が代わりに支払うといったケースもあるようです。しかし、実際のところはどうなのでしょうか?このように親が他人から借金した場合、子供にも返済義務はあるのでしょう。
親子間のトラブルとして、借金の問題もよくあります。親子の間には様々な問題がありますが、その中には借金に苦しむ親をお持ちの方もいるでしょう。子供の中には親の借金なので関係ないという人もいれば、親の借金は子供が支払う必要があると考える方もいます。
皆さんはどのような考えをお持ちでしょうか?それぞれの家庭事情にもよりますが、実際に行動する前に法的な内容を調べておくことも大切です。その点について、民法に規定があります。民法730条には、親族間の扶け合いの規定があります。それによると、
直系血族、同居の親族は、それぞれお互いに扶け合う必要がある
旨を規定しています。さらに877条では、
直系血族、兄弟姉妹は、お互い扶養する義務がある
旨の規定もあります。ここでの扶養は、自分で生活できない者に対して経済的援助を与えることを意味します。そのため民法の規定から解釈すると、親の借金についても子供が負担すべきと思いがちです。しかし、借金と扶養は全くの別問題なのです。
この章のまとめ
本来、借金というのは貸した側と借りた側との間の契約です。この場合、契約当事者ではない子供には、返済の義務は全く生じないのです。そのため貸し手から親の借金の支払いを請求されても、法律上子供には返済する義務はありません。民法上には扶養義務がありますが、この規定を根拠に支払いを迫ることはできないのです。親の借金を心配する子供もいるかもしれませんが、法律上では支払い義務はありませんので安心してください。
しかし法律上、親の借金を返さなければならない場合もあります。それが相続です。相続によって親の財産を引継いだ場合、負の財産である親の借金も同時に引継ぐことになります。親の財産を引継いだ場合、借金の支払い義務が生じますので注意が必要です。
親の借金額が多く支払いが困難な場合、相続放棄や限定承認の方法があります。相続放棄や限定承認をすれば、借金の支払い義務がなくなるのです。親が借りたお金を、子供が支払う必要があるのか悩む人もいるかもしれません。しかし法律的には、親の借金を子供が支払う必要はありません。法律上は支払い義務はありませんが、相続の場合は注意が必要です。
借金は、たとえ親子関係にあってもその身代わりとして返済する義務は法律上ない。義務が発生するのは、保証人になったときや、相続人になった場合のみである。