公正証書があれば破産者に強制執行できる?
いいえ。
法的に強制執行が可能になる公正証書があっても、破産手続きが行われている間は、破産者の債権者が破産者に対して強制執行をすることはできません。手続きが終了すると、免責決定前の審査期間中であっても、強制執行の禁止が解除されます。
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様々な効力のある公正証書は、どのような場面でも優先的効力があるのか疑問を持つかもしれません。例えば破産宣告を受けた場合、今まで抱えていた債務を免除してもらえます。この場合、公正証書の効力はどうなるのでしょう。公正証書があれば、破産者から強制執行は可能なのでしょうか?
法律問題でよく登場する公正証書ですが、公正証書にはどのような効力があるのでしょう。公正証書は、大きく分けて、
に分類できます。このうち法律上の効力は民事訴訟法、民事執行法などの法律上の効力に規定されます。一方、事実上の効力は、このような法律上の効力を基本に認められます。公正証書を利用する時は、これらの効力についてしっかり理解する必要があります。この中で大切なものが法律上の効力であり、1つは訴訟としての効力、そして他は強制執行手続きにおける債務名義の効力です。公正証書があれば、それを基に訴訟や強制執行を行うことができます。公正証書は法律上の効力がありますので、破産宣告を受けた破産者からも強制執行ができるのかが問題です。
この章のまとめ
破産宣告を受けると、債務が免除されます。自己破産で免責の対象となるのは、貸金業者からの借入以外にも個人間の借入にも効力があります。例えば友達からの借金や親族からの借入に対しても、免責決定が出れば支払い義務は消滅します。
それでは、自己破産をする前の公正証書はどうなのでしょうか? 公正証書には確定判決と同じ効力があります。しかし支払い遅滞に陥った場合、必ずしもすぐに強制執行ができるわけではないのです。すぐに強制執行ができる公正証書は、「強制執行認諾約款付き公正証書」といわれる証書です。また「強制執行認諾約款付き公正証書」を作成する時は、強制執行についての債務者の了承が必要です。そのため、この約款がない証書は、たとえ公正証書であっても法的強制力はありません。
そして裁判所から自己破産による免責決定が出た時は、破産手続きが始まる前に作成された公正証書はすべて無効になります。破産者に対しては、免責効力が優先します。このように自己破産をする前に強制執行の効力のある公正証書が作成されていても、自己破産をすれば支払い義務は免除されます。
公正証書には様々な法律の効力があります。そして公正証書があれば、訴訟や強制執行などの法律行為を行うことができます。しかし免債効力が優先しますので、破産宣告を受けた破産者に対して強制執行を行うことはできないのです。法的に強制執行が可能になる公正証書があっても、破産手続きが行われている間は、破産者の債権者が破産者に対して強制執行をすることはできません。手続きが終了すると、免責決定前の審査期間中であっても、強制執行の禁止が解除されます。
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