名義を貸した人が借金をして自己破産すると、誰の責任になるの?
名義を貸した人の責任になります。
ただし、本人の承諾を得ずに勝手に名義が使われていた場合は、その限りではありません。
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法律の事例などでよく耳にする言葉の中に、「名義貸し」があります。これは、
『他人に自分に名義を貸し、その他人がお金を借りることを認知する行為』
をいいます。このような名義を貸して行う借金は、債権者である銀行などの金融機関を騙す行為になりますので禁じられています。しかし実際に名義を貸してしまった人が自己破産などを行う場合、その詳細については申立書に詳しく記載する必要があります。それでは、他人に勝手に名前を使われた場合はどうなるのでしょうか?
例えばBさんがAさんの承諾を得ることなく、勝手にAさん名義で金融機関から借金をする場合です。このような場合、Aさんは知らない間に勝手に名前を使われてしまうことになりますが、この場合も名義を貸したと判断して良いのかどうかです。厳密に解釈すると、このようなケースは名義を貸した場合には当たらないことになります。しかし、このようにBさんが勝手にAさんの名前を使って借金した場合でも、債権者である金融機関から見る場合はまた変わってきます。
借主がAさんになっていますので、Bさんが勝手に借金をしたことを証明できなければ、金融機関からの借金はAさんの借金とみなされます。また自己破産の手続きについては、申請書に債務として記載していない借金は免責対象になりません。そのためAさんはBさんが勝手にした借金を債務として挙げなければ、Bさんが借りた借金は免責対象から外れます。
その結果、Aさんがたとえ自己破産を行って債務を免債されても、Bさんが借りた借金はそのまま残り、その後も返済し続けていくことになります。このような不利益があると今後の生活にも大きく影響してきますので、Bさんが勝手に借りた借金でも、Aさんが自己破産の申請を行う際は名義を貸した借金である旨とし、挙げておく必要があります。
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次は名義変更の事例です。例えば結婚によって苗字が変わったケースが該当します。結婚をした後は、パートナーどちらかの苗字に変更しますが、旧姓の時に借りた借金を処理する場合に問題になります。借金が膨らんで毎月の支払ができなくなった時、苗字が変わった後に前の借金の債務整理ができるかどうかの問題です。
結論からいうと、結婚で苗字が変わっても、結婚前の借金を任意整理することは可能です。しかし、旧姓名義のままでも任意整理は可能なのでしょうか?結婚による名義の変更は、女性ならではの問題かもしれません。もちろん男性もいますが、やはり女性の方が多いでしょう。
独身時代に生活が苦しくて借金をする人もいますが、その時に借りたお金の返済で困っている人も少なくありません。要するに自分で名義の変更手続きを行わない限り、金融機関から借入した時の名義が旧姓のまま残ることになります。しかしこの場合は、そんなに悩む必要はありません。借金が旧姓名義のままであっても、そのまま任意整理をすることはできるからです。しかしそれ以外の問題があります。名義が変わったことを知りながらその後も名義を変更することなく、故意に借金を繰り返したり、任意整理を行う時にわざと隠してしまったりするケースです。
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このような行為は金融機関側を騙す行為になり、結果的に詐欺罪に該当する可能性があります。債務整理を行う場合、弁護士や司法書士に依頼する人も多いと思いますが、依頼時にそのことを言わなかったらどうなるのでしょうか?弁護士や司法書士などの法律の専門家は、依頼者の申請に沿って債務整理を行います。そのため弁護士や司法書士が債務者の依頼を受けて、金融機関に結婚した後の姓を通知することなく旧姓名義のまま、任意整理の手続きを行うことも考えられます。この場合、過払い金の問題でそのまま訴訟に発展した時、手続きがとても面倒なことになります。
そして結婚した後の姓によって、新規に借入を行う時も問題があります。この場合、債権者である金融機関側が損害や損失を被れば、借金をした本人は賠償責任の責めを負う可能性がありますので注意する必要があります。このようなケースは、本人が故意で行った場合に該当します。それゆえ、名義変更の手続きが単に遅れたなど悪意でなければ、責任を問われることもないでしょう。
このように実際は名義が変わっているのに、変更することなくそのまま借金を繰り返すと、様々なトラブルに見舞われることがありますので気を付けてください。名義を変更するなど、本来であれば必要となる手続きは早めに手続きをしておくことが大切です。債務整理の日に合わせて、また間近になって慌てて名義の変更を行えば、多くの人たちから怪しまれることもあるようです。
またその後も様々なトラブルに見舞われることがありますので、十分注意してください。債務整理を弁護士や司法書士などの法律の専門家に依頼する時は、現在使用している姓や住所で行うようしてください。またその時点で名義の変更をしていなくても慌てることなく、弁護士や司法書士の指示を仰いで行動すると良いでしょう。
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次は他人名義の場合です。例えば借金の返済ができなくて自己破産を行う場合、自己破産の手続きは全ての借金を債務として申請する必要があります。たとえ複数の金融機関から借金をしていても、その全てを記載して申請することになります。その中の一部の負債を申請しないと、その申請しなかった負債はそのまま残ります。実際に申請しなかった負債は免責の対象になりませんので、破産申告が認められてもその分の負債の返済はそのまま残るのです。
それでは、他人の名義によって借りた借金がある時はどうすれば良いのでしょうか?他人の名義で借りた借金については、契約上の債務者は直接名義を貸した本人になりますので、自分の借金には該当しません。そのため名義を借りた人が自己破産の申請を行う時は、自分の負債には該当しない債務の届け出は必要ないということになります。
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他人の名義で借りた借金がある場合の、自己破産の手続きを行う注意点を見てみます。違う人の名義によって作った借金は、
に分かれます。他の方の名義を本人の承諾を得て作った借金、他人の名義を本人無断で使った借金、それぞれに問題があります。その状態のまま借金を繰り返すと、詐欺などの犯罪行為になる場合もありますので注意してください。
他の方の名義を使用して借金を行う場合、その本人の承諾があれば問題ないように思えます。しかし借金を行う事実を隠したままにしておくと、本人に対して詐欺を働いたことになります。他人の名義をそのまま使用して借金を繰り返す行為は、刑法上の詐欺罪に該当し、刑事罰の対象になります。他の方の名義を使用してお金を借りる行為は、絶対にしないでください。
「名義貸し」、「名義変更」、「他人名義」の場合の法律行為を紹介しました。それぞれについて問題がありますので、法律行為を行う時は十分に注意して行ってください。また何か不明な点があれば、弁護士や司法書士などの法律の専門家に相談すると良いでしょう。
Money”I”名義貸しをしたことによって自己破産をすることなんてあるの?
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