あがり症に有効な薬はいくつかあって、ここで取り上げるのは以下の3つである。
あがり症に大きな影響を及ぼすセロトニンという脳内物質とその役割 – Inquiry. |
躁うつ病の主な治療薬とその副作用 – Inquiry. |
らの記事と併せて考えていきたい。これら向精神薬(中枢神経に作用して精神に影響を与える薬剤の総称。例えば、精神安定剤、抗うつ剤、鎮静剤、睡眠剤)の社会不安に対する効用は、本人が陥っている状況を打開し、克服へ向かって歩き出すきっかけを与えることである。しかし、向精神薬を服用するだけで社会不安が治るということはほとんどない。つまり、現時点において『他人に対する恐れを取り除く薬』というものは存在していないのである。
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SSRIは、うつ病の治療にも使われる薬であり、薬によってセロトニンのパワーをバックアップする、というイメージになる。
特徴としては、
というものがある。この薬の特徴は、従来の抗うつ剤のようにさまざまな神経伝達物質に作用するのではなく、心理的な障害にもっとも関わりが深いといわれるセロトニンだけに作用し、神経終末の部分でセロトニンの量を正常に近い状態にすることころにある。このように必要な受容体にピンポイントで働きかける為、効果が高く、副作用も少ないとされている。『うつ病』に限らず、パニック障害や強迫性障害の不安を抑える効果もあり、社会恐怖の治療に対する有効性も研究によって証明された。このSSRIを服用すると、その副作用として勃起・射精が抑えられてしまうといい、EDの原因になる可能性がある。ただし、うつ病やあがり症が改善されるということを考えた場合、ED問題は二の次ということで、あえてアナウンスされていないのである。
バイアグラとSSRIの組み合わせが最強? – Under”I” |
これらの記事も併せて考えていきたい。
ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、脳内でホルモンの分泌や感情を司る部分に作用し、神経をリラックスさせるGABA受容体の働きを高める。強い不安を速やかに軽減させる効果が高く、苦手な場面に行く前に服用すると、リラックスしてそれに臨むことが出来る。※ただし、これらの精神安定剤を社会不安に対して投与する例は少なくなりつつある。
特徴としては、
などがある。長期的な服用は、集中力の低下やふらつきなどの副作用があるので注意が必要だ。だが、『あがり症は成功体験の積み重ねによって克服することが出来る』の記事に書いた様に、『成功体験の為に使用する』と考えれば効果を発揮する。
前述したように、この薬の投与は減ってきている。不安を原因とする精神疾患、そして筋肉の硬直など一部の身体反応に対して高い効果を見せるが、本人の主観的な不安を抑えることはできるものの、対人関係における行動様式を改善するのにはほとんど役立たないからである。
βブロッカー(遮断薬)は、心臓の病気や高血圧の治療にも用いられる薬で、交感神経の働きを遮断し、心拍数を抑えたり血圧を下げたりする働きがある。これによって緊張や不安の身体の反応が抑えられ、落ち着きを取り戻せる。即効性が高いことで知られている。
身体反応、とくに、
などを抑える薬として用いられるようになっている。この名が示すように、βブロッカーは体内のさまざまな器官に備わっている『β受容体』とういごく微小な部分に働きかける薬である。このβ受容体においては、アドレナリンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質、つまりストレスホルモンが作用して、動悸、発汗、口の渇きなどを引き起こしている。だが、βブロッカーを服用することでこのはたらきを抑えることができる。
これらあがり症に有効な薬のそれぞれの副作用としては、
が挙げられることになり、SSRIは、10~20%程度の人がこれらの副作用を感じることになる。また、アルコールとの併用は薬の作用を強めるので、必ず避けるように注意する必要がある。
参照:『他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学』(紀伊国屋書店)『SAD社会不安障害』あがり症の治し方』(講談社)