うつ病って風邪みたいに放っておけばすぐによくなるの?
うつは一進一退で確実に回復させていくものです。風邪とはわけがちがうのです。『三歩進んで二歩下がる』のがうつ病の人の回復ペースだと覚えましょう。
『うつ病を治そうと思うなら『三歩進んで二歩下がる』ペースが最適』にも書いたが、うつは、 だということを理解する必要があるのである。『二歩下がった』ときに焦って無理をすると、むしろ悪化するということを知る必要がある。
『うつ病治療に有効で必要不可欠な知識。間違った認識を改めよう』にも書いた様に、精神医学では、うつを
という4つの時期(病相期)に分けて捉え、てそれぞれの時期に応じた治療を行う。 そこに、アメリカの精神科医、クレイネス博士の『うつ病の経過』の6つの段階を加えると以下のようになる。
うつになりかけの時期。この時期に治療を始めれば回復も早いと言われるが、一時的な落ち込みとうつの区別は難しい。
<段階1>心身のエネルギーが徐々に失われ、心と体のどちらかに症状があらわれる。勝機覚醒が起きたり、食欲が落ち、疲れが抜けないなどの変かもあらわれる。痛みや動悸、胃腸の不快感など、からだに不具合が出ることもある。
<段階2>抑うつ気分が強くなり心と体にはっきり症状が出る。気分変動が起こり、睡眠障害や食欲不振、疲労感も強くなる。考えがまとまらず、ぼんやりすることが多くなる。
うつのさまざまな症状が現れて『心の不調』だとはっきりわかり、しかも症状が全期間の中でいちばん重い時期。この時期の基本的な治療方針は、何よりも休ませること。そのため、主に向精神剤の投与を行う。
<段階3・4>最も症状が悪化する時期。仕事や家事ができる状態ではない。食欲がなく体重も大きく減り、睡眠障害が続く。抑鬱気分が強く、『死にたい』と思うこともあるが、実行する気力もない状態。
極期を脱して症状が軽快しはじめた時期。薬も使い続けるが、極期に比べると対話による治療法の比重が増す。
<段階5>ようやく回復し始める。体から治りはじめ、食欲が出て体重も戻り、不眠も多少は解消される。精神面では完全と悪化を繰り返すので、焦りなどが生じ、心身のバランスが崩れて発作的に自殺をはかる恐れもある。周囲が最も注意したい時期。
<段階6>心も回復に向かい、やる気や希望がわいてくる時期不眠はかなり解消し疲労感も少なくなるが、勉強や仕事をするとすぐ疲れてしまうこともある。
社会復帰も果たせるほど回復した時期。まだ薬を使い続けることもあるが、主に対話により治療が行われる。この中間期は、『全快期』と名付けたいところだが、再発の可能性が高いため、そのような名前を軽はずみにつけない。
うつ病予防・治療に役立つ『週に一度は休息モード』 – Inquiry. |
うつ病は必ず治る。だから無理をしないで焦らずに – Inquiry. |
うつ病を焦って治そうとすることはピラミッドを一瞬で作ろうと考えることと同じだ – Inquiry. |
と併せて考えていきたい。
という傾向があることも覚えておきたい。
参照:『うつとはこんな病気です』(西東社)