黒酢の成分『イシトール』?『イノシトール』?それが育毛に効果的らしいけど…
『イノシトール』ですね。
イノシトールには、
という効果が期待でき、薄毛に有効だと言えます。
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黒酢に含まれた成分が育毛に効果があるという噂があります。その成分とは『イシトール』だということですね。しかし、検索しても『イノシトールではありませんか?』と出ますし、イシトールという言葉で検索しても、Wikipediaにもコトバンクにも辞書にもそれがありません。また、栄養成分事典を開いてみても、イシトールという成分は見当たりません。
検索結果で出てくるのは薄毛に関連するサイトばかりで、どうも都合よく情報が使いまわされている印象があります。中には『ヘルスケア大学』という、医師監修で作成された記事がありますが、ヘルスケア大学であってもその信ぴょう性についてはニュースになっていたので、過信するものではありません。
まあ、このサイトの場合医師がしっかり顔と名前を出しているわけですから、他のサイトよりは信憑性があるかもしれませんが、しかし、それ以外のどこを探してもイシトールという成分について見つからないのはどういうことでしょうか。
そこで、まずそれらのサイトを複数チェックして、『イシトール』という成分がどのような働きをしてくれるのかということをまとめてみました。すると、
ということですべての意見は一致していましたね。だから髪の毛にいいと、そういうわけです。確かにそれがその通りなら、そうだと言うことはできます。しかしどこを探してもイシトールという成分が見当たらないのです。一体どういうことでしょうか。
そこで私は、『イノシトール』という成分について調べてみました。すると、栄養成分事典にはそのような成分の情報ならしっかりと掲載されていました。
『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
『抗脂肪肝ビタミン』といわれる イノシトール
- 動脈硬化を予防する働きがある
イノシトールは別名をミオイノシトールともいいます。ミオとは筋肉のことで、筋肉の中に多く含まれる成分であることから、この名前がついています。『抗脂肪肝ビタミン』といわれるように、イノシトールには脂肪の流れをスムーズにして、肝臓に脂肪がたまらないようにする働きがあります。(中略)更に、コレステロールの流れもよくしますから、動脈硬化を予防することができます。
- 脳細胞や神経を正常に維持する
イノシトールは細胞膜を構成するリン脂質の大切な成分でもあります。脂質の多い脳細胞や神経を正常に保つうえで欠かすことができません。そのほかの働きとしては、健康な髪を維持して、抜け毛を防いだり、湿疹を防いだりします。
なんと、
というキーワードが出てきましたね。まるで、『イシトール』という成分と瓜二つの働きをもつことがわかりました。
更に、『髪の悩みがみるみる解決する100のコツ』にはこうあります。
育毛効果のあるイノシトールや、毛根に酸素をヤコブ有機鉄を含む『黒豆黒酢』
私は長年、黒豆の健康効果について研究しています。黒豆は、高血圧や糖尿病を改善に導くだけではなく、抜け毛は白髪をなくす効果を持つ成分を含むことがわかっています。まず注目したいのは『イノシトール』という成分です。これは、ビタミンB群の仲間ですが、ズバリ、育毛効果があります。
黒豆には『リノレン酸』や『ビタミンE』、『イソフラボン』などの血液をサラサラにする成分も豊富に含まれています。『血液サラサラ』というと、高血圧や糖尿病などの病気にばかり有効だと思われがちですが、育毛にも大いに関係があります。血液がドロドロになって頭皮の血行が悪くなると、毛根へ十分な栄養が行き渡らず、毛が抜けたり、白髪になったりしてしまうのです。
何と、『イノシトールにはズバリ、育毛効果がある』と出てきましたよ。しかも『黒酢』。このイノシトールを多く含む食品には、
といった果物があげられますが、 『脂肪肝を改善するなら内臓脂肪を減らさないと死へ直結しますよ』というサイトには、こうあります。
オレンジにはイシトールという成分が含まれています。これは肝臓に溜まっている脂肪を洗い流す作用があるのです。イシトールは体の中の脂肪が内臓に溜まらないようになります。つまり肝臓は勿論のこと、内臓にも溜まらないような作用がありますから積極的に摂取したいですね。
『脂肪肝を治すために、オレンジにあるイシトールを摂るといい』とあります。しかし、オレンジに含まれているのはイシトールではなく、『イノシトール』の間違いなのではないでしょうか。
Web上の誰かがこのイノシトールを『イシトール』と間違えて表記し、その情報をみんなが使いまわして間違った情報が散乱している可能性があります。まさにこれがWeb上で起こっている問題の典型例ですね。もちろん、『イシトール』と表現する場合もあるのかもしれませんが、私が持っている本には全て、イシトールというものはなく、イノシトールというものならありました。そしてその効能は全て、 『オレンジなどの柑橘類や桃などに含有』し、
ということで一致しています。これはもう、イノシトールのことですよね。黒酢に含まれているのがイシトールではなく『イノシトール』なのであれば、この話は確かに一理あるものだと言えるでしょう。
というか、先ほどのヘルスケア大学のサイトをよく見ると、後半の方には『イノシトール』と書いてあり、前半部分だけが『イシトール』となっているので、この人もただ間違えただけの可能性がありますね。
そこで今度は、『薄毛 イノシトール』と検索すると、やはりイノシトールが薄毛に有効であるというサイトがズラリと出てきました。やはり『イシトール』というものは、このヘルスケア大学の記事をコピーしたか、あるいはどこかで勘違いした誰かのコピーで間違った情報が散乱してしまったわけですね。
イノシトールが含まれた黒酢なら実際に発見することができたので、それだったら間違いないでしょう。イノシトールは上記の通り、髪の毛にとっていい影響を与えると言えます。
また黒酢にはその他にも、
が含まれていて、それがまた髪の毛にいい影響を与えます。『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
- 免疫機能と筋肉を強化するアミノ酸 アルギニン
成長ホルモンには、体を活性化し、免疫機能を強化する働きがありますが、アルギニンはこのホルモンの合成にかかわっています。免疫機能が強化されることによって病気に罹りにくく、けがをしても傷の治りが早くなります。
- 脂肪の代謝を促進し筋肉を強化する
さらに成長ホルモンには肉体も精神もともに強める働きがあり、体の脂肪を燃やし筋肉を強化するということで、ボディビルダーの間で、栄養補助剤として使用されているともいいます。
アルギニンは、
という働きがあります。この成長ホルモンは老化とともに落ちてくるものなので、これを与えることによって頭皮も活性化されます。すると当然、頭皮にある毛細血管や毛母細胞といった髪の毛の土壌も活性化されるので、髪の毛にいい影響を与えます。また、脂肪を燃やすということは先ほどのイノシトール同様で、皮脂の過剰分泌を抑えるために良い働きをしてくれます。
また、豊富なアミノ酸ですが、下記の記事に書いたように、髪の毛の99%はたんぱく質の一種であるケラチンで出来ていますが、たんぱく質というのはそもそも『20種類のアミノ酸』の組み合わせでできるものですので、そのアミノ酸を豊富に摂れるということは、ケラチンの元を摂取できるということになり、髪の毛にいい影響を与えます。
その他にも黒酢には、
など様々な効果が期待できますが、それらはすべて改善されれば髪の毛にいい影響を与えます。
Web上に飛び交う『イシトール』という成分はおそらく『イノシトール』の間違った伝達で捻出された『造語』ですが、まあそういう細かいところを置いておけば、皆さんが言うようにその成分には髪の毛にいい影響を与えるものが含まれていますので、注目に値しますね。
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