ニキビに効く飲み薬は市販で買える?
基本的にニキビ用の飲み薬というものはほとんど市販薬ではありません。
あったとしてもサプリメントのような商品です。ニキビに劇的に効く飲み薬というものはありませんが、口周りのニキビにビタミンB2がよく効く事実はあります。状況によっては一日で治ることもあります。
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下記の記事に塗り薬、あるいは抗生物質について書きましたが、『飲み薬』に特化して考えても根本的な考え方はあまり変わりません。
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基本的にニキビ用の飲み薬というものはほとんど市販薬ではありません。あったとしてもこのような商品です。
商品説明にはこうあります。
<ペアA錠の特長>
「ペアA錠」は、5つの有効成分で新陳代謝を促し老廃物を排出して、繰り返す大人のニキビ・肌あれをカラダの内側から改善する内服薬です。
〔繰り返す大人のニキビに効く処方〕
肌の新陳代謝が低下すると、角質層が厚くなって毛穴を塞ぎ、毛穴の中でアクネ菌が増殖して炎症を起こし、ニキビとなります。
- 肝臓の働きを助ける:グルクロノラクトン
- 肌のターンオーバーを整える:ビタミンB2・B6
- 肌の新陳代謝を促す:L-システイン
- ニキビ・肌あれを改善する:生薬ヨクイニン
- 老廃物の排出を助ける
『栄養剤』の位置づけですね。ビタミンB2等の有効なビタミンや、新陳代謝を促すシステインや、漢方系の力を使って、体質改善をしていくアプローチです。それで言うと、一番有名なのは『チョコラBB』ですね。
その他にある商品も大体同じです。ビタミンB2,B6、システインやヨクイニンが含まれていて、同じアプローチの方法を取っています。
では、その4つの主要栄養素について調べてみましょう。『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
ビタミンB2
不足すると、まず皮膚や粘膜が敏感になります。口内炎や口角炎、舌炎、口唇炎ができやすく、肛門や陰部がただれやすくなります。目の充血や、肌荒れ、髪の毛の痛み、脂漏性皮膚炎を起こしたときも、ビタミンB2不足が考えられます。
ビタミンB6
ビタミンB6は食品から摂取するだけではなく、腸内細菌によっても合成されるため、欠乏症は起こりにくいといわれています。ただし、抗生物質を長期間服用していると、腸内の細菌が育たなくなり、皮膚炎や貧血など、いわゆる欠乏症が起きることがあります。また、妊娠中やピル乗用車も、ホルモンの関係で通常より多くのビタミンB6を必要としますから、欠乏症に気を付けなければなりません。
まずビタミンB2,B6は、『たんぱく質、糖質、脂質の代謝を促す』役割を持っています。ですから、皮脂が毛穴に詰まってニキビが出来る中で、この役割はとても大切になってきます。更に、これらが不足すると肌荒れの原因となるので、この2つの栄養素はまず主要成分として含有されるわけです。
『サプリメント健康事典』にはこうあります。
美肌と肝臓に効果的な含硫アミノ酸 システイン
(省略)システインは生体内の重要な抗酸化物質であるグルタチオンの主成分です。グルタチオンは水溶性の抗酸化物質で、薬物や毒物などさまざまな有害物質と結合し、排泄する解毒作用を持ちます。体の内臓から代謝を助けるアミノ酸で、日常の食事から十分に摂取することがむずかしく、欠乏状態になりやすいとされています。またメラニンの生成を抑制し、シミやそばかすを改善することが期待されます。(中略)ビタミンB6はシステインの合成を促す作用があることから、相乗効果を期待してシステインとともに配合されます。
肌の新陳代謝を促すためにこのシステインが含まれているわけですが、有害物質の解毒の面からも、ニキビには有効だと考えられるでしょう。また、ビタミンB6との組み合わせも考えられているわけです。
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『NHKきょうの健康 漢方薬事典 改訂版』にはこうあります。
薏苡仁湯(よくいにんとう)
やや慢性化している痛みの改善を目標に
主薬の『薏苡仁』は、体の余分な水分を追い出して筋肉の緊張を取り、痛みをやわらげる働きがあります。(中略)一般に、患部の痛みや腫れがやや慢性化している場合に用いられます。
ニキビ・肌あれを改善するためにこのヨクイニンが含有されているわけですが、これは漢方治療的な考え方ですね。たしかに、これら一つ一つの成分を分析すればきちんと考えられていて、確かにニキビ治療には有効だと言えるでしょう。服用しないよりは服用したほうがいいと言えます。
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そもそも市販薬というのは、素人判断で間違って服用してもいいように、元々毒にも薬にもならぬものばかりです。更にこれらのカテゴリーは『栄養剤』ですから、これを飲んだところで症状が悪化する可能性はほとんどないと言えるでしょう。ただし冒頭の塗り薬の記事にも書いたように、『これでわかるニキビの治療とケア~安易に抗菌薬に頼っていませんか?~』(南江堂)にはこうあります。
市販薬を使ってニキビの症状が悪化した場合、ニキビ自体の症状が悪化して市販薬では抑えられなくなった可能性のほかに、ニキビ外用薬自体による悪化の可能性もあるので、症状の悪化をみた場合には速やかに皮膚科専門医を受診させることが望まれる。
市販薬の中には症状を悪化させるものもありますし、体質によって更にその答えは変わってきますから、毒じゃなくても薬の乱用はやめるべきでしょう。
さて、やはりニキビの飲み薬と言えば、抗生物質です。ただし、抗生物質の使用は冒頭の記事にも書いたように、注意が必要です。まずは専門家の意見を見てみましょう。かなり専門的は話ですが、後で簡潔にまとめます。『これでわかるニキビの治療とケア~安易に抗菌薬に頼っていませんか?~』(南江堂)にはこうあります。
抗生物質による内服治療
内服薬のうち、最も多く使用されているものは抗生物質である。ニキビ治療においては通常8週から12週の抗生物質を要する。各種抗生物質の中で、テトラサイクリン系『ミノサイクリン、ドキシサイクリン)、マクロライド系(ロキシスロマイシン、クラリスロマイシン)などは皮膚科領域で汎用されている。しかし、平成16年9月に医療用医薬品再評価結果(厚生労働省医薬食品局)によって抗生物質の見直しが行われた。その結果、表2のように非常に多くの薬剤の適応がなくなり、その中にはエリスロマイシン、クラリスロマイシンなどのマクロライド系、ミノサイクリン、ドキシサイクリンなどのテトラサイクリン系、クリンダマイシンなどニキビの治療薬として非常によく用いられるものも含まれている。
一方で適応が残った薬剤のニューキノロン系は粋日に対する評価もあまりされておらず、実際の治療に用いられる例も多くない。このように実際にニキビ治療で用いられる抗生物質と適応して認可された抗生物質が異なるものになったひとつの原因として、ニキビの病態がp.acnesの感染のみとしてとらえられ、抗菌作用を重視したためと考えられる。ニキビの病態がp.acnes感染のみではないことは、1章『ニキビはなぜできる』においても再三述べており、以下では、適応はともかく、抗菌薬としての側面ののみからではなく、抗炎症作用などの観点から抗生物質の内服を検証していきたい。
簡潔にまとめると、
ということを言っているわけですね。とにかく、ニキビには抗生物質を使うことがほとんどで、その種類は豊富。ただ、ニキビの原因は単純ではないので、抗生物質だけで完治させることはできず、あくまでも炎症を抑えるために使用するということになります。
一応抗生物質の種類を載せますが、一般の人には何のことだかわかりませんね。ただ、これだけの種類があるということを覚えておきましょう。
抗生剤とニキビの適応
系統 | 薬剤 | 適応菌種 | 旧適応症 | 新適応症 |
---|---|---|---|---|
マクロライド系 | ロキシスロマイシン | p.acnes | ○ | ○ |
エリスロマイシン | ○ | |||
クラリスロマイシン | ○ | |||
ジョサマイシン | ○ | |||
テトラサイクリン系 | ミノサイクリン | ○ | ||
ドキシサイクリン | ○ | |||
リンコマイシン系 | クリンダマイシン | ○ | ||
ペニシリン系 | アモキシシリン | ○ | ||
レナンピシリン | ○ | |||
スルタミシリン | ○ | |||
ペネム系 | ファロペネム | p.acnes | ○ | ○ |
セフェム系 | セフロキシム・アキサチル | p.acnes | ○ | ○ |
セフォチアム・ヘキセチル | ○ | |||
セラフェキシン | ○ | |||
ニューキノロン系 | レボフロキサシン | p.acnes | ○ | ○ |
トスフロキサシン | p.acnes | ○ | ○ | |
スパルフロキサシン | p.acnes | ○ | ○ | |
フレロキサシン | p.acnes | ○ | ||
ノルフロキサシン | ○ | |||
エノキサシン | ○ | |||
シプロフロキサシン | ○ | |||
ロメフロキサシン | ○ | |||
オフロキサシン | ○ |
旧適応症:適応が挫創、膿疱性挫創等であるもの
新適応症:挫創(化膿性炎症を伴うもの)
本では内服治療のポイントとして、
という点を挙げています。ニキビ治療には抗生物質を使うことがほどんどで、ロキシスロマイシンはその中でもニキビ治療における第一選択と考えられると考えられるようです。また、この本は2008年のものですが、それからさらに10年近く経った2016年の時点で出ている本、『あなたの身体は9割が細菌』でも、抗生物質の乱用を慎むべきだと主張していて、やはりどのみち、抗生物質はあまりニキビ治療として、適切かどうかを断言することは難しいと言えるでしょう。
またその本にはこうもあります。
研究者らはボランティアで参加した健康な被験者を二群に分け、一方には抗生物質のクリンダマイシンを7日間与え、もう一方には与えなかった。クリンダマイシン投与群では薬の投与を開始した直後から微生物の組成が劇的に変わった。とくにバクテロイデス属の細菌が急激に多様性を失っていた。研究チームは薬の投与を終えたあとも両軍のマイクロバイオータを数か月ごとに追跡調査したが、研究終了時になってもクリンダマイシン投与群のバクテロイデス属の細菌は元の組成比に戻らなかった。クリンダマイシンの投与は二年も前に終わっているのに、である。
クリンダマイシンの投与が腸内細菌の多様性を奪い、元に戻ることはなかった。この研究結果が何を意味するのかは興味深いところです。まだあります。
ニキビ治療のために数か月あるいは数年、ミノサイクリンという抗生物質を使っている10代後半や成人は、そうでない人に比べて狼瘡(ろうそう)を発症するリスクが2.5倍高いという。狼瘡は、体のあちこちを攻撃する自己免疫疾患で、患者の多くは女性だ。男性はミノサイクリンを使っていても狼瘡を発症することはほとんどない。2.5倍という数字は男女含めて割り出したものであり、女性のみに限定すれば、ミノサイクリンを使用したあと狼瘡を発症するリスクは5倍に跳ね上がる(ミノサイクリン以外のテトラサイクリン系抗生物質ではここまでリスクは高くならない)
ミノサイクリンという抗生物質を女性が使った場合の、『狼瘡発生のリスク』ですね。5倍に跳ね上がる事実があるというのです。男性も2.5倍。
結核菌が血行により運ばれ、全身の皮膚、特に顔面
専門家が昔から『抗生物質耐性菌』について懸念を示していたように、抗生物質というのはそれだけじゃなく、腸内細菌のバランスをも崩し、見えない部分で『何らかのバリア機能』を低下させてしまっている可能性があります。
元々抗生物質の治療が『ニキビ治療の最善策』なわけでもありませんし、これらに依存してしまうのは間違った考え方だと言えるでしょう。抗生物質以外のありとあらゆる『人体にとっての有害物質』は我々の見えないところで、人体に悪影響を与えている可能性があるということを、常に忘れないようにする必要があります。そう考えると、その記事で専門家が言っていたように、
ということが抗生物質の実際のところだと考えられます。したがって、
このどの薬を使用しても、結局それは化膿や炎症を抑えるだけでの対症療法で、ニキビを根本から治すのは不可能だと考えるのが賢明です。
ではここで、ニキビができる原因を見てみましょう。
ニキビができる原因(内因性)
ニキビができる原因(外因性)
その他
ニキビは一つの原因によって発症するわけではないので、このすべての要素を最適化することが求められます。例えばニキビはアクネ菌の増殖が原因だと長い間言われてきましたが、最近の研究ではそうではなく、例えばここで言っているように『抗生物質』の服用が関係している可能性もあるという説も上がっています。
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ここに『薬の常用』や、『抗生物質』というキーワードが出ていることからもわかるように、『ニキビを薬で治す』治療に依存するのは、あまり賢明ではありません。ニキビの原因というのはとても複雑であり、例えば、
俺は薬を使っているから、夜更かしもしてタバコも吸って、風呂にも入らず暴飲暴食するぞ!
という人がいた場合は、本末転倒なのです。あくまでも『塵の一つ』として考え、塵を積もらせ山とするために、その他の要素を全て最適化するようにしましょう。もしかしたら単純に、常日頃のスキンケアやメイクの根本的な考え方が間違っているのかもしれませんよ。
ニキビに必要なスキンケア(肌断食)
また、『イソトレチノイン』という飲み薬を使ってニキビ治療をする考え方がありますが、『これでわかるニキビの治療とケア~安易に抗菌薬に頼っていませんか?~』(南江堂)にはこうあります。
イソトレチノインによるニキビ治療はとくに重症患者さんにおいて著明な改善をもたらすことで知られている。しかし、日本においてはいまだ認可されていない。高率に副作用を生じることが問題であり、とくに重要な副作用として催奇形性があげられる。そのほかにも、皮膚乾燥、脱毛、口腔内乾燥、頭痛、胃腸障害、筋骨格痛、血栓症、血管炎、錯乱などといった副作用が高頻度に認められる。
(中略)日本においてはトレチノイン(ベサノイド)が1995年に急性前骨髄性白血病治療薬として認可され、生体内で一部イソトレチノインへと代謝されることから、ニキビ患者さんに対して一部の医療機関で用いられることもあるようだが、(中略)ニキビ治療薬として安易に用いるべきではない。
これは副作用が強いのでやめるべきだと諭しています。また、ピルの記事にも書きましたが、ピルや、利尿薬として使われることが多い『スピロノラクトン』がニキビを治すことことがあります。
ピル(経口避妊薬)にニキビを治す効果がある?副作用は? – Inquiry. |
ただし、本にはこうあります。
ホルモン療法の有効性も多く報告されているが、ホルモン療法は婦人科および内分泌に精通した医師が行うべきであると考えられる。
やはり、これらの主目的は別のところにあり、ニキビ治療はあくまでも『副作用』という位置づけです。主作用が別にあることを考えると、結果的にこれらの服用でニキビが治っても、あまりこれらを乱用すべきではないと言えるでしょう。記事に書いたように、中には重いニキビの症状がピルの服用で治り、ピルが『奇跡の薬』に見えた人もいます。その気持ちはわかりますが、やはり何が起こるかわかりませんので、それを推奨する専門家はいないと言えます。
やはり薬は単なる『塵の一つ』と考えるべきですね。その他のあらゆる要素を最適化する方に目を向けることが最も賢明な選択です。ニキビ治療以外のありとあらゆる問題を改善しますからね。一石二鳥どころの騒ぎではないのです。