ニキビのしこりの原因は何?
その硬いしこりの正体は『膿腫(のうしゅ)』です。
ニキビが炎症すると赤くなったり膿が溜まって『膿疱(のうほう)』ができます。膿疱が皮膚の深い部分でおきると、膿腫という硬いしこりになります。これがニキビの最終段階です。こうなる前に対策をする必要があります。
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ニキビには段階があります。専門家によって段階は別れていますが、『ニキビのことならまかせなさい』(光文社)の著者の場合、1~5までの段階をつけていて、下記のようになっています。
『医師によるニキビ・ニキビ跡・毛穴の開き完全治療マニュアル―ニキビは皮膚病の一種です!!』の著者ならこうですね。
基本的にはこのような段階がつけられていて、今回取り上げる『しこり』というのは、このうち『赤ニキビ』の最後の段階で起きる現象だと考えられます。
その硬いしこりの正体は『膿腫(のうしゅ)』です。実は『白・黒ニキビ』などという言い方は通称であり、正式名称は違います。このあたりは漢字の専門用語がいくつか出てきますが、後でわかりやすくまとめます。『ようこそ!私のニキビクリニックへ―さあ、お入りください。ニキビ完治への最後のドア…』にはこうあります。
毛嚢に皮脂がさらに詰まると、詰まった皮脂が酸化されていきます。この状態が第二段階の丘疹で、いわゆる『ニキビ』です。酸化された皮脂は遊離脂肪酸や過酸化脂質に変わり、まわりの細胞に刺激を与えていきます。そこから炎症が起こり、角質の一部が壊れてばい菌が侵入しやすくなります。
患部にばい菌が増殖すると、このばい菌を殺そうとして白血球が集まります。そこで白血球とばい菌との戦いが始まり、炎症はさらにひどくなり、赤くなったり膿が溜まってくるのです。この化膿した状態がニキビの第三段階、膿疱です。
膿疱が皮膚の深い部分でおきると、膿腫や結節という硬いしこりになります。これがニキビの最終段階です。白血球の攻撃が長くはげしく続くと、ばい菌も死にますが、味方、つまり自分の皮膚組織も一緒に傷つきます。この皮膚組織の破壊が大きくなったものが、アクネスカーと呼ばれるニキビの瘢痕です。
こうしてニキビは進行していきます。この進行のなるべく初期の段階で治療すれば、跡も残らず、早くきれいに治すことができます。
つまりこういうことです。
ニキビの症状
症状 | |
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面皰(コメド) | 毛穴に皮脂が詰まって出来る粟粒ほどの硬い皮疹。白・黒ニキビ。 |
丘疹(きゅうしん) | コメドのできた毛嚢にさらに皮脂が溜まり、脂腺が壊れた状態。 |
膿疱(のうほう) | 周囲の赤みがひどくなった状態。赤ニキビ。 |
膿腫(のうしゅ) | 皮膚の深部にできるもの。『結節(けっせつ)』とも言う。硬いしこりになっていて、押さえると痛む。 |
ニキビ痕(アクネスカー) | 膿疱や膿腫をきれいに直さないと、色素沈着や皮膚陥没が起こる。 |
その硬いしこりの正体は、『膿腫』ということですね。別名で『結節』と言いますからまたややこしいのですが、『膿腫』で覚えておけばいいでしょう。まあ、白・黒ニキビのように通称として『しこり』だけでいいかもしれません。とにかくその段階は、赤ニキビの最後の段階。赤ニキビの記事にも、専門家が『赤ニキビの初期段階で治すことができるかどうか』がポイントだと書きましたが、膿腫ができてしまったらもうやることは限られているかもしれません。
『素肌美人になれる 正しいスキンケア事典 (基本の美容シリーズ)』にはこうあります。
突然に見えるニキビもじつは段階を踏んできた
(省略)この、表面に見えていない時期からケアすること、すなわち『予防』が、ニキビケアの最重要事項。ニキビができてから、つまり噴火してしまってから治すのは、より大変になるからです。
癌もニキビも、あらゆる病気で一番大切なのは予防です。そして、最低でも『なるべく初期段階で治す』こと。取り返しのつかないことはあります。私の父が肝臓がんで亡くなったように、『そのステージまで行ったらもうやることは限られている』という事実がこの世にはあるということを理解したいですね。ちなみに赤ニキビの記事に、
炎症を起こして、皮脂や膿を押し出すことさえできないくらい腫れた赤ニキビは、途中で膿を出しながら、かなり小さく収まってきました。まだ完全に治ってはいないのですが、『赤ニキビ』の名残はありません。
と書きましたが、まさにその時私にできた状態は赤ニキビの最終段階、『膿腫』だったと言えるでしょう。押すと痛みがあり、しこりになっていましたからね。
ちなみにあれから2週間ほど経っても、まだ色素沈着が残ってしまっています。アクネスカーですね。『ピーリング+ビタミンC誘導体+イオン導入』を週に2回ほど行って、生活習慣も改め、睡眠をよく取るようにしているのですが、やはり完全には戻りませんね。かなりシミは小さくなったのですが、どこまで取れるかはわかりません。
これはもう勉強代だと思って、次からの予防に気を付けるしかありません。人間は失敗をして学ぶ生き物ですからね。 見るべきなのは以下の記事です。
失敗して次に生かせば失敗ではないのです。もちろん、傷跡が残ってしまえば一生ものですが、そこは、
どうせ最後には死ぬしな
と思って、考え方をガラッと変えたいですね。どちらにせよ人は老化を防ぎ、死から逃れることはできません。この決定的な真理を理解するためにも、このような経験は糧になると言えます。また、もしこの段階にまで至ってない人は、私やその他のような人の失敗例や事例を見て、自分のものにしましょう。
ソクラテスは言いました。
賢い人は、自分で経験していないことでも、他人がした経験を自分の経験にすることができます。想像力ですね。ぜひとも私の失敗例を参考にして、膿腫が出来る前に生活習慣を改めましょう。
やるべきことはたくさんあります。
ニキビができる原因(内因性)
ニキビができる原因(外因性)
その他
これらすべての要素を最適化しないと、ニキビはでき続けます。ニキビというのはそういう皮膚病なんですね。ニキビは一つの原因によって発症するわけではないので、このすべての要素を最適化することが求められます。例えばニキビはアクネ菌の増殖が原因だと長い間言われてきましたが、最近の研究ではそうではなく、例えば『抗生物質』の服用が関係している可能性もあるという説も上がっています。
ニキビを抗生物質で治すと副作用で他の病気になる?~カギを握る腸内細菌~ – Inquiry. |
ニキビの原因はアクネ菌!…というのは本当なのか?知られざる真実とは – Inquiry. |
気を付けていてもニキビはできます。人はロボットではないからです。正しい生活習慣が頭でわかっていても、ロボットのように規則正しい生活を送り続けることは容易ではありません。その時はせめて、先ほどの『失敗をすぐに認める』という真理を思い出してください。早ければ早いほど対処できます。
窓にひびが入った段階で直せば元通りになりますが、完全に窓が割れてしまった後ではどうしようもありません。世の中には、人生には、そういうこともあるということを覚えましょう。
また、
もう自分はやるべきことはすべてやっている
と思っても、例えば次の内容を確認してみましょう。インペリアル・カレッジ・ロンドンで生物学の学士号と修士号を取得したのち、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で進化生物学の博士号を取得したアランナ・コリンが2016年に書いた『あなたの身体は9割が細菌』にはこうあります。
しかしながら、いちばん近い道路まで数十キロメートルあるパプアニューギニアの高地や、インドネシアのスラウェシにあるシージプシー・ビレッジ(漂流民の村)で暮らす人にニキビはない。10代の若者にもない。オーストラリアやヨーロッパ、アメリカ、日本では、みんなニキビになっているというのに。(中略)花粉症と同じく、私たちはニキビを日常生活の一部とみなしがちだ。とくに10代後半のニキビはそうだ。けれども、なぜ未開地の人々にはニキビがないのだろう?
といった先進国では当たり前のニキビ。とくに10代なら余計に当たり前の常識として根付いているこの常識。しかし、実はこの常識は、『全世界の常識』ではないのです。どういうことでしょうか。その未開地の人々に、アクネ菌が存在しないとでも言うのでしょうか。そんなことはないのです。
そして『病気にならない暮らし事典-自然派医師が実践する76の工夫-』にあるこの内容です。
すべての病気の原因は、不自然な暮らしにある。自然に沿った暮らしをすれば、病気にならない。
すべて対策をしているのにニキビができる。しかし、パプアニューギニアやスラウェシのシー・ビレッジにいる人は、大した対策をしていないのにニキビができない。これは一体どういうことなのでしょうか。そして、この2つの本の著者が言う本質はとても似ていますね。『不自然なこと』。何か心当たりはないでしょうか。膿腫が出来る前にやるべきこと、考えるべきことはたくさんありそうですね。