ドライマウスの原因は?口臭の原因なの?
大きく分けると以下の7つが挙げられます。
例えば薬であれば『抗コリン作用』があるものは、のどや口の渇きの副作用が起きる場合があります。ドライマウスは口の中が乾燥している状態なので、水分がなくなって唾液がドロッとした粘液性の強いもの、つまり『ネバネバ唾液』になり、その環境を好む嫌気性菌(においを出す悪玉菌)によって口臭の原因となります。
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ドライマウス(口腔乾燥症)というのは、広い意味では『口の中の唾液の分泌量が低下している』という状態です。唾液というのは様々な作用がありますが、そのうちの例えば洗浄機能が失われることで、口の中の状態が悪化し、口臭を発生させてしまうことがあります。
唾液の6つの役割
『高齢者のドライマウス 口腔乾燥症・口腔ケアの基礎知識』にはこうあります。
欧米の調査を換算すると、日本のドライマウスの患者さんは、推定で800万人、潜在的には3,000万人いると言われています。
3,000万人となると結構な量ですね。下記の記事でデータをまとめましたが、
日本人のワキガ発症率はどれくらい?人口の何割がワキガ体質なのか – Inquiry. |
各病気やコンプレックスを抱えている人の数は、以下のようになります。
このデータでは、花粉も含めたアレルギー性鼻炎の罹患者が最も多く、最大で2,500万人です。ドライマウスは800~3,000万人ですから、これらの中でも最も多い人数となりますね。その理由の一つはこのドライマウスの本にもあるように、
日本人の4人に1人が65歳以上
という高齢化社会の実態が背景にあるでしょう。1億2千万人の4分の1が、3,000万人ですからね。つまりは、『65歳以上の人が全員ドライマウスである』と仮定した場合、確かに高齢者であればそうであってもおかしくはないと考えることができます。
下記の記事にも書きましたが、
『高齢者のドライマウス 口腔乾燥症・口腔ケアの基礎知識』にはこうあります。
唾液腺、腺組織の変化
加齢に伴い、唾液腺には腺房細胞の萎縮、腺実質の脂肪細胞への置換、間質の繊維化などがみられます。一般的にはこのような退行性変化により、唾液の分泌量は減少すると考えられています。なお、口腔内科学会では、80歳ぐらいに加齢性のドライマウスが生じるとされています。
ドライマウスは、う蝕や歯周病のリスクを高めるだけでなく、感染症、誤嚥性肺炎、上部消化管の障害、摂食嚥下機能の低下などを生じ、加齢に伴うさまざまな全身的な疾患とともに、QOLを大きく低下させます。さらに、加齢に伴う服用薬の増加、血流の低下、ストレス等も大きな複合要因になっていることが推察されます。
その他原因として、
なども挙げられますが、とにかく高齢者になると唾液の分泌量が減り、ドライマウスになりやすくなります。また『加齢に伴う服用薬の増加』ですが、私の祖母も毎日3種類以上の薬を飲んでいます。薬を飲んだら唾液量が減り、口の中が乾燥しますからね。したがって記事に書いたように、私の祖母の口臭は一時、『大便』のニオイがしてしまっていました。
下記の記事にサルコペニアについてまとめていますが、簡単に言うと『筋肉量の低下』ですね。口周りの筋肉の衰えも『唾液の分泌量の減少』に繋がり、口臭の原因となりますから、サルコペニアによって衰えがあると、結果的にドライマウスになるわけです。
加齢で疲れやすくなって心身の活力がなくなる、※ロコモの一歩手前である『フレイル』も心配です。いずれも将来、寝たきりや要介護のおもな原因となり、ひいては健康寿命を縮めてしまうことになるため、高齢になる前に予防しておくことが大切です。
『ロコモ』という言葉も出てきましたね。これらの言葉を整理してみましょう。
筋力・バランス能力の低下、骨や関節の病気などによって転倒・骨折しやすくなること。自立した生活ができず、介護が必要となる危険性が高い状態。
筋肉量が低下し、筋力または身体能力が低下した状態。加齢によるものと、体を動かさなかったり、栄養不足、病気などが原因で筋肉量が減る場合のものとがある。
加齢によって筋力や精神力が衰える状態全般を指す言葉。働くことが面倒になると、ますます筋力が低下し、要介護のリスクが高まる。
フレイルを放っておくと、ロコモティブシンドロームになるんですね。そして、サルコペニアというのは何のことはなく、ただ『運動しないと筋肉が減る』、『加齢によって筋肉が減る』というあの現象を指し示した言葉です。日本整形外科学会や、日本老年医学会などが提唱している言葉ですね。
『65歳以上の人が全員ドライマウスである』わけではありません。その本にも『80歳ぐらいに加齢性のドライマウスが生じる』とありますから、65歳以上の人が必ずドライマウスになるわけではありませんが、
ドライマウス=高齢者特有の症状
ではありませんから、潜在的に3,000万人くらい存在するというのはおかしなことではないということですね。
ドライマウスの原因はたくさんあります。まず、『高齢者のドライマウス 口腔乾燥症・口腔ケアの基礎知識』が定義しているドライマウスだけでも、以下のものが挙げられます。
細菌やウイルスによる唾液腺管の膨張、疼痛、排膿が認められる。
唾石(唾液腺にできる結石)や言う部などにより導管が閉塞するケースがある。
良性腫瘍の多形性腺腫や、悪性腫瘍の専用嚢胞癌、腺房細胞がん、腺癌などがあげられ、導管や腺房に影響を与える場合がある。
シェーグレン症候群というのは自己免疫疾患です。40歳以上の中年女性に多く、男女比は1対9です。罹患するほとんどが40歳以上の女性というわけですね。
また薬ですが、実はこれが『ドライマウスの原因のなかで最も多いもの』と言われています。これは私自身もよく感じることですね。先ほど『加齢に伴う服用薬の増加』があると説明しましたが、そもそも薬を服用するだけでドライマウスの原因になります。
このあたりが薬におけるドライマウスのキーワードです。
副交感神経を亢進させるアセチルコリンの作用を抑えることで、消化管の運動亢進に伴う痛みや痙攣、下痢などを抑える。
少し専門的になりますが、『高齢者のドライマウス 口腔乾燥症・口腔ケアの基礎知識』にはこうあります。
アセチルコリンがムスカリン受容体に結合するのを防ぐのが抗コリン薬で、唾液腺だけでなく涙腺、汗腺に影響を与え、唾液、涙液、汗の分泌を抑制する、数が多くなると抑制しやすくなる。
つまり抗コリン薬は唾液だけじゃなく、汗や涙などの分泌も抑えてしまうわけですね。その抗コリン薬は以下のようなものが挙げられます。
抗コリン作用を有する薬剤
止瀉薬 | ロペミン、ロートエキス、ブスコパン、コデインリン酸塩 |
---|---|
気管支吸入薬 | スピリーバ、シーブリ、アトロベント |
過活動膀胱治療薬 | ベシケア、デトルシトール、バップフォー、ポラキス |
抗パーキンソン薬 | アーテン、アキネトン、パーキン |
多汗症治療薬 | プロ・バンサイン |
抗ヒスタミン薬 | ポララミン、アタラックス |
消化性腫瘍治療薬 | ガストロゼピン、メサフィリン、コランチル |
総合感冒薬 | PL顆粒、ぺレックス顆粒 |
睡眠薬 | ハルシオン、マイスリー、アモバン、レンドルミン、リスミー |
抗不安薬 | セルシン、デパス、ソラナックス、メイラックス、ワイパックス |
抗不整脈薬 | リスモダン、シベノール |
コルチコステロイド | デキサメタゾン、ベタメタゾン |
筋弛緩薬 | アトロピン、スコポラミン |
これはあくまでも一部ですね。約400種類以上の市販薬が副作用としてドライマウスを引き起こすと言われています。
そして『ストレス』です。
上記の記事に詳しく書きましたが、つまり、普段は『サラサラ唾液』のおかげで口腔内はベストな状態に保たれていて、口臭も発生していないのですが、緊張したりストレスを負って自律神経が交感神経が優位になると、唾液の円滑な流れ(安静時唾液流)が停止し、『ネバネバ唾液』になって口臭が発生するわけですね。
自律神経や環境によって口の中に起きる変化
繁殖する菌 | 分泌される唾液 | ニオイ | |
---|---|---|---|
交感神経優位 | 悪玉菌。酸素を嫌う嫌気性菌 | ネバネバ唾液(粘液性唾液) | する |
副交感神経優位 | 善玉菌。好気性菌脂臭 | サラサラ唾液(漿液性唾液) | しない |
そのストレスは強ければ強いほど口臭の原因となります。『免疫力を高める「副交感神経」健康法』にはこうあります。
そして、ストレスが強いほど、また、たまっているほど交感神経が過剰に優位になり、自律神経のバランスが崩れていくのです。
そう考えると、『病気と口臭』というのは深い関係にあるということがわかります。まず、病気を患うとそれだけで口臭の原因となります。
様々な口臭の原因とニオイの種類
歯周病・虫歯 | イオウのニオイ |
---|---|
胃腸病 | 卵の腐ったニオイ |
肝臓病 | ネズミ臭(濡れ雑巾とニンニクが混ざったようなニオイ) |
糖尿病 | 甘い、甘酸っぱいニオイ(ケトン体) |
腎臓病 | アンモニアのニオイ |
呼吸器系疾患 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
心臓病 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
唾液の減少 | 雑巾や布巾のような生乾きのようなニオイ |
それに加えて、そこにそれを治療する『薬の服用』がありますよね。抗コリン作用を有するものでなくても、薬の量が多ければ多いほど、ドライマウスの原因となります。
例えば、『口臭の95%は思いすごし』にはこうあります。
ガム、タブレット、アメ、トローチ-口臭を発生させる10大ストレスその6
(省略)ガムにしてもタブレットにしてもアメにしても、問題になるのはその成分に『砂糖』が含まれている場合です。甘いものを食べるとどのが渇きますよね?あれはなぜかというと、体が体内で砂糖を代謝して体外に出そうとするときに、大量の『水』が必要になるからなのです。
これはお酒のアルコールを分解するときにもいえることです。お酒を飲むとのどが渇くのはアルコールを分解するのに大量の水を体が必要とするからです。体内で大量の水が使われるということは、唾液になるはずの水分も全部使われてしまう。
つまり、
といった『有害物質』は、それを体内で分解、消費、代謝するために『水』を必要とします。その量が多いほど、多くの水を使うことになります。また『毒だらけ 病気の9割はデトックスで防げる』にはこうあります。
有害物質をできるだけ避ける
有害物質は単独でも害があるのですが、複数になると相互作用を起こして、さまざまな問題が顕在化することがあります。有害物質が体内に入ると、その有害物質によって、排泄臓器へのダメージや排泄を助ける酵素の阻害、常在菌バランスの乱れ、臓器や細胞が連動して働くためのホルモンバランスの乱れが起こります。本来、有害物質を出したいのに、出しにくい体質になります。
が起きると、『自律神経の乱れ』も起きます。前述したように、それらの動きがあると『ストレス』がかかるからです。すると先ほども言ったように、自律神経が交感神経が優位になると、唾液の円滑な流れ(安静時唾液流)が停止し、『ネバネバ唾液』になって口臭が発生するわけです。
更に『高齢者のドライマウス 口腔乾燥症・口腔ケアの基礎知識』によると、ドライマウスによって、
等の問題を引き起こす可能性があります。先ほどの表にも虫歯・歯周病によって口臭として『イオウのニオイ』がしてしまうとありましたが、そうしたリスクもひきあがるのです。つまり病気を患うと、
ということで、まさに踏んだり蹴ったりなわけです。しかもそのほとんどにドライマウスが関係しているわけですね。
また加齢によるドライマウスですが、冒頭に挙げたように、少し専門用語が出ますが、
によって80歳あたりからドライマウスになりやすくなります。更に、『歯科医が考案 毒出しうがい』にはこうあります。
ところが、唾液の分泌量は、加齢とともに少なくなってきます。原因の一つが、口の周りの筋肉の衰えです。噛む力が弱くなったり、噛む回数が減ったりすると、刺激が低下し唾液の分泌量は少なくなります。この現象は高齢の人たちばかりではなく、若くても、噛む力が弱くなっている人は、唾液の分泌量が少なくなります。
つまり、口臭の原因の一つである『唾液の減少』は、『口周りの筋肉の衰え』によっても生じてしまうんですね。 これは高齢者だけとは限りませんが、高齢者になるとより一層この現象も起きるわけです。『サルコペニア』の問題もこれと無関係ではありませんね。
老化すると免疫力も下がり、様々な病気にかかりやすくもなります。私の祖母も、何もない場所でつまづき、足を骨折し、そのまま入院してしまいましたが、そのようなリスクも増えてくるので、部屋で安静にすることを強いられるのです。
このようにしてドライマウスは高齢者とも深い関係がある問題だと言えるでしょう。
大きく分けるとこの4つのキーワードがドライマウスと関係があると言えます。このうち、加齢の問題だけは避けて通ることができません。それだけは、死と同じく自然の流れに身を任せるしかなく、執着することは醜い人間の姿だと言えるでしょう。
しかし、後の要素に関しては、『健康的な生活習慣』を心掛けていれば無縁でもいられるはずです。人間の健康を考えるとき避けて通れないのは、
の5大要素を最適化することです。この最適化によって口臭、ドライマウス以外のありとあらゆる健康問題を改善することに繋がりますから、その恩恵の絶大さを知り、是非とも今すぐに最適化をしましょう。
ちなみに、起床時というのは誰もが『一時的なドライマウス』になります。その詳細については下記の記事をご覧ください。