口臭対策にデンタルフロス(糸ようじ)は効果がある?
はい。
むしろそのようなものを使って『歯間ケア』をすることはとても重要です。毎日行うことが推奨されます。『歯を磨く』のではなく『歯垢を落とす』のがプラークコントロールだということを覚えておきましょう。
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そのようなテーマについて書いた本はたくさんありますが、意外と歯の隙間を掃除する 『デンタルフロス』について取り上げている本はそう多くはありません。例えば下記の記事では『歯磨きのポイント』について詳しくまとめましたが、
口臭予防に適した歯磨きのタイミングは?歯は何度も磨けばいいものでもない – Inquiry. |
というポイントについては書いたものの、デンタルフロスについては書いていません。しかし実際にはデンタルフロスは歯医者も推奨する有効な方法です。私はその記事にこう書きました。
その時歯医者に聞いたのは、『歯を舌で触って、ザラザラしていたらそれは歯垢』という情報です。ですからそれ以来私は、『コンパクト歯ブラシ』で『素磨き』をして、舌で歯を舐めまわしてざらつきがないかどうかチェックし、ツルツルになるまで歯を磨くように意識してきました。私はそれ以来、10年以上歯医者に行っていません。
しかし実際にはこの時、デンタルフロスも推奨されていたのです。歯医者で推奨されたのはこのような商品ですね。
私は歯に隙間が多いので、これが効果的だと言われました。たしかに歯医者にやってもらうと、歯茎の方まで削り取るので流血はしましたが、同時に歯垢の強いニオイも漂いました。つまり、そのデンタルフロスに歯垢がたっぷりと付着したわけです。そして結果的にこれによって歯は綺麗になりました。
私はそれ以来、10年以上歯医者に行っていません。それは事実です。しかし、実はデンタルフロスはやっていないので、歯の隙間が綺麗かというと、そうではありません。むしろ歯の隙間だけは茶色く黒ずんでいて、なかなか取れません。
私がデンタルフロスをやらなくなったのは一言、『面倒だから』です。歯医者のように綺麗にできるわけでもなく、また、思い出したときにはすでに茶色く黒ずんでいて、そこから歯医者で綺麗にしてもらったようにするまでには相当な時間がかかると思い、そのまま放置してしまっているのです。
今のところ本当に虫歯などとは無縁の状態が続いていますが、堂々と歯を人に見せられるかと言えば、そうではありません。いつか時間を作ってまた歯医者でメンテナンスをして、そのままデンタルフロスの習慣をつけるべきだと、心底では常に考えています。
先ほどの記事に、
というポイントを書き、その理由として『歯医者に虫歯は治せるか (創元ライブラリ)』に記載してある『甘いものを食べた後30分間は歯を磨かないこと』という事実を挙げましたが、実は違う本にも同じようなことが書いてあります。『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)』にはこうあります。
食後すぐ磨く、は逆効果
現在では、食後すぐに磨くことは逆効果で、歯磨きの回数よりも、いかにタイミングよくプラークをコントロールするかが大事と考えられている。プラークの原因になる細菌が、最も口腔内に増える時間帯は、唾液が減少する睡眠中~朝の起き抜けの間だ。ここで細菌を増やさないようにすることが、プラークコントロールにおいては大切になる。だから、歯磨きするタイミングは、就寝前と、起床時の2回がよい。ほかの先進国では、このタイミングでの歯磨きが推奨されている。
この話は『歯科医が考案 毒出しうがい』にも同じことが書いてあります。
1日3回食後の歯磨きを欠かさないのは世界的にみても、日本と韓国くらい。
しかしそれだけ綺麗好きなのにも関わらず、記事に書いたように、日本は『先進国でもっとも虫歯の多い国』なのです。ですからここで挙げられているのが、『歯磨きの回数よりも、いかにタイミングよくプラークをコントロールするか』という問題なわけですね。
そしてそのタイミングとして『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)』の著者は、
歯磨き+口すすぎ
歯間ケア+唾液分泌法+口すすぎ
歯磨き+口すすぎ
としています。しかしこのタイミングが最適化どうかはわかりません。それは、先ほど挙げたポイントを見ればわかることですね。この著者も、『こうしたタイミングや回数も、専門家によって若干、推奨する内容に違いがある』としています。ただ、ここで挙げられている、
の有効性は、とても高いものだと断言できるでしょう。そのうち、口すすぎについては下記の記事に詳しく書きましたので、併せてご確認ください。
口周りの筋肉を鍛えて唾液の分泌を促す『毒出しうがい』が口臭対策になる! – Inquiry. |
また、『素磨き』と『歯磨き粉に含まれる界面活性剤』については下記の記事に詳しく書きましたので、併せてご確認ください。
寝起き(起床時)の口臭は誰にでもある?原因は大便スプーン一杯分の細菌! – Inquiry. |
以上のことを踏まえた上で、『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)』の著者も、『唾液の力があれば歯磨き粉は必要ない』として、次の内容を書いています。
食後に大切なことは、口腔内に残ると酸性化の原因になる食べかすを取り除くこと。また、唾液をしっかりと、口腔内や歯間、歯の付け根に行き渡らせることだ。そのために、食後は、口をすすぎ、歯間ブラシやデンタルフロス、ウォーターピック(口腔水流洗浄機)などを使って、口腔内の食べかすを取り除くことが大切だ。そして、唾液を分泌させ、還流させることが重要になる。
やはり口の中に食べかすがあると、それが歯垢となり、歯石となります。
歯垢や歯石に棲みついたばい菌たちは、ニオイの原因となります。それだけでは強い悪臭の原因とはなりませんが、歯垢にニオイがあることは確かです。試しに爪楊枝で歯垢を取り除き、それを嗅いでみましょう。眉間にしわを寄せるほどの悪臭はなくても、間違いなくニオイがあります。私が歯医者でデンタルフロスをしてもらったときに出たニオイも、そのようなニオイでしたね。
『お口の健康ア・ラ・カルト』にはこうあります。
口臭とは、口から出るニオイの悪臭をいいます。代表的な悪臭は、歯周ポケットから産出する歯周病原菌のたんぱく質分解酵素によるものです。悪臭の主体は揮発性化合物である硫化水素(H₂S)メチルメルカプタン(CH₃SH)、ジメチルサルファイド(CH₃(₂S))などです。
これは下記の記事でも書きましたが、このようなニオイですね。
硫黄化合物
におい成分 | 化学式 | においの質 | 認知(ppm) |
---|---|---|---|
メチルメルカプタン | CH₃SH | 腐った玉ねぎ | 0.0021 |
ジメチルサルファイド | (CH₃)₂S | 腐ったキャベツ | 0.0010 |
硫化水素 | H₂S | 腐った卵 | 0.0047 |
口臭の原因は一つではない!様々な種類とその対策 – Inquiry. |
この『腐敗臭』のような悪臭まではいきませんが、歯垢にもニオイがするわけです。生ごみはニオイがしますよね。あれと同じように、歯垢はもともと食物だったわけですから、ニオイがして当然だということです。
『歯周病予防と口腔ケア (ホーム・メディカ・ブックス・ビジュアル版)』にはこうあります。
歯肉がやせてきて、口臭がひどくなる
(省略)また、歯と歯肉の間に亀裂(歯周ポケット)ができ、歯周病菌が繁殖すると、口臭がするようになります。口臭は、歯周ポケットが深くなると、膿が出て、さらにひどくなります。
口臭が本格的になるのは、歯周病が悪化してできる、『歯周ポケット』ができてからですね。そして歯垢や歯石が溜まっていると、それは虫歯・歯周病の原因となるわけです。
歯垢(プラーク)というのは、このような歯周病や虫歯の原因となります。そして口臭の原因となるのです。
口臭の原因になる歯間の歯垢(プラーク)を掃除しよう!『歯垢を落とす』のであっ… – Inquiry. |
口臭の原因になる歯周病(歯槽膿漏)の原因と対策は?食事のたびに歯を磨くのは予… – Inquiry. |
更に、『もう、口臭で悩まない!』にはこうあります。
つまり、単に歯肉炎上プラークの増加に伴う口臭を引き起こす嫌気性菌の増殖によって、アンモニア産生能が増加しただけ(この間に疾患の悪化はありませんでした)と推測されたのです。長期に歯を磨かないことで、歯周病が悪化するよりも、口臭を引き起こす菌の増殖が顕著であることがわかりました。このことから、長期に歯を磨かない場合は、歯周病リスク以上に口臭がひどくなることがわかります。
つまり、『長期に歯を磨かない場合は、口臭を引き起こす嫌気性菌の菌が増殖し、歯周病リスク以上に口臭がひどくなる』というのです。嫌気性菌というのは下記の表に書きました。
自律神経や環境によって口の中に起きる変化
繁殖する菌 | 分泌される唾液 | ニオイ | |
---|---|---|---|
交感神経優位 | 悪玉菌。酸素を嫌う嫌気性菌 | ネバネバ唾液(粘液性唾液) | する |
副交感神経優位 | 善玉菌。好気性菌脂臭 | サラサラ唾液(漿液性唾液) | しない |
ネバネバ唾液が好きな悪玉菌で、『ニオイを発する細菌』です。プラークコントロールをしっかり行わなければ、
という事態を招くことになるんですね。ですから先ほどあった『毒出しうがい』の記事では、そうなる前の『前始末』の方法を紹介しているわけです。
『毒出しうがい』というのは、『入念なうがい』のことです。この『入念なうがい』を食後に行うことを習慣にすることによって、結果的に口臭を予防することに繋がるわけですね。
口周りの筋肉を鍛えて唾液の分泌を促す『毒出しうがい』が口臭対策になる! – Inquiry. |
同じく、デンタルフロスも同じ目的を達成することができます。『入念なうがい』でも取り除けない頑固な汚れの場合は、デンタルフロスでなければ取れないのです。『口元美人化計画』には、
美人の裏技!デンタルフロス
ブラッシングの基本テクニックをお伝えしましたが、実は完璧にしたとしても、歯の周りの歯垢はすべて取れません。
として、『歯間ブラシ』よりも『デンタルフロス』を推奨しています。デンタルフロスの方が歯の間にきちんと糸を入れられるからですね。
本にはこうあります。
デンタルフロスが歯に巻き付くと、縒(よ)っていない平行な糸の繊維が広がり、歯の周りのプラークを効果的に取り除くことができます。普通の糸は縒ってあるので、太さが変わりませんが、デンタルフロスは、縒っていないため繊維が広がり、歯と歯の間の歯ブラシが届かないところのプラークと食べかす、汚れなどを取ることができるのです。
またこのデンタルフロスは、『ワックスがついていないタイプ』の方がプラークを効果的に除去できるとして推奨されています。しかし、中にはそれではきつくて難しいという人がいますから、その場合はワックスタイプでもいいということですね。下の商品は、上がワックスタイプで、下がノーワックスタイプです。
正しいデンタルフロスの使い方は動画がありますので、テキストよりもそれをご覧いただいた方がわかりやすいですね。
正しいデンタルフロスの使い方 フルバージョン
私がこのデンタルフロスを行っていない理由はもう一つあって、それは『汚れがどこかに飛んでいってしまう』からです。歯を磨くときもそうですが、シャッシャッと下から上に歯ブラシをこするとき、水滴が跳ねると同時に、汚れも飛びますよね。それと同じように、このデンタルフロスでも勢いよく汚れが飛んだりして、例えば鏡についたりするのです。それでやる気がなくなったのを覚えていますね。
しかし今私は歯磨きをお風呂の中でやっているのですが、お風呂の中であれば汚れがはねても問題ありません。もし同じような悩みを抱えている人は、お風呂場でのデンタルフロスや歯磨きをしてみてはいかがでしょうか。