蓄膿症は口臭の原因になる?
はい。
耳鼻科的疾患も口臭の原因となり、蓄膿症(副鼻腔炎)になると口臭のニオイは最も強くなると言えます。蓄膿症の原因は以下の通りです。
特に気を付けたいのは虫歯の炎症によるものですね。日々のプラークコントロールを怠ると、口臭や虫歯、歯周病だけではなく、蓄膿症等の問題も引き起こすのです。
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下記の記事にも書きましたが、『病的口臭の原因となる病気』には以下のようなものがあります。
いびき・口呼吸・無呼吸症候群が作り出す膿栓(臭い玉)は口臭の原因? – Inquiry. |
病的口臭の原因となる病気
口腔内 | 歯科疾患(詩集ポケット、カリエス部位、口内炎、その他)、口腔内衛生(歯垢、ぺりくる、唾液、舌苔、その他)、各種補綴物(ブリッジ)、その他 |
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鼻腔内 | 耳鼻科疾患(鼻炎、副鼻腔炎、その他)、アデノイド、咽頭炎、扁桃腺炎、その他 |
呼気 | 内科疾患(糖尿病、腎不全、肺不全、腸閉塞、アレルギー疾患、その他)、飲食物(ニンニク、アルコール、その他)、投薬品(アリナミン、ビタミンB1、漢方薬、その他)、その他 |
その記事では『扁桃腺炎』について書きましたが、今回は『蓄膿症』、ここにある『副鼻腔炎』のことです。蓄膿症と言うのは『慢性副鼻腔炎』のことをいい、鼻の周りにある空洞、副鼻腔炎が炎症を起こし、慢性的に副鼻腔内に膿が溜まる病気です。日本人の約8割が蓄膿症の予備軍であり、毎年1,000万人程度が発症していると言われています。
副鼻腔炎(ちくのう症) | ||
症名 | 急性副鼻腔炎 | 慢性副鼻腔炎 |
症状の期間 | 1ヶ月未満(1ヶ月以内に症状が消失) | 3ヶ月以上 |
症状 | ・鼻水が膿性、頬部痛、発熱などの急性炎症症状 ・加えて、鼻閉、鼻漏、後鼻漏や感冒症状(風邪症状) | 鼻閉、鼻漏、後鼻漏、咳嗽などの呼吸器症状が3ヶ月以上持続するもの ・頭痛や頭重感などの随伴症状も |
主な発症原因 | 主な発症要因は、ウイルスや細菌であり、これらが副鼻腔に感染し、炎症反応を起こすことで、様々な症状が出てくる。。急性期のこれらの症状が改善しない場合、副鼻腔に膿が溜まり、その中の炎症物質がさらに炎症を引き起こす。 | 症状が治まらず慢性期に入ると、ウイルスや細菌の感染が主ではなく、この膿が原因になってくる。 膿が排出できず、炎症が悪化し、更に膿溜まる、という負のスパイラルにより症状が慢性化し、慢性副鼻腔炎となる。 |
参考
副鼻腔炎とちくのう症って別の病気?|チクナイン – 蓄膿症・副鼻腔炎を治す小林製薬
『もう、口臭で悩まない!』にはこうあります。
耳鼻科的疾患も口臭の原因となり得る
鼻腔は咽頭部で口と連絡しています。呼吸によって外部から親友するウイルスや病原菌に対して、鼻腔内には鼻腔を清潔に維持するために鼻汁の循環があり、また連絡通路には扁桃腺をはじめとするWaldeyer(ワルダイエル)咽頭輪と呼ばれるリンパ組織の集合である返答が多数存在し、呼吸によって吸い込まれる外気に含まれる病原菌と戦っています(これを免疫機能と言います)。
(中略)中耳炎や副鼻腔炎では、しばしば緑色の鼻汁や痰を出す緑膿菌による感染もあり、その場合は、よりひどい口臭になります。
扁桃腺炎の記事に書いたことも併せ、この耳鼻科的疾患が引き起こす口臭についてまとめると、
ということで、蓄膿症(副鼻腔炎)になると口臭のニオイは最も強くなるということですね。ニオイの類は扁桃腺炎と同じ以下のニオイです。
呼吸器系疾患 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
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『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)』にはこうあります。
腐敗臭がするのは、常在菌であれ病原菌であれ、細菌が増殖してしまう場合だ。また、がんのように組織が壊死して膿を伴う場合だ。口から喉にかけては、食べかすやはがれた細胞などのたんぱく質が豊富に存在する。これらが細菌に分解され腐敗することで、においの原因になる。タンパク質=肉が腐るので、文字通り、腐肉のようなにおいがする。
たんぱく質を分解する細菌は、嫌気性菌と言って、酸素が嫌いな細菌だ。口臭の8割の原因である歯周病では、歯周病ポケットができるが、ポケットの奥に行くにしたがって酸素が少なくなり、嫌気性菌たちが暮らしやすい環境になる。口を開くと腐敗臭がする場合は、歯肉の出血や腫れなどの目に見える異常がなくても、口の中の炎症を疑った方がいい。
とにかく口から異臭がすると思った場合は、早めにケアをすることが大切です。蓄膿症の原因を見てみましょう。
蓄膿症の原因
主因となる細菌
これらの細菌が作る毒素が副鼻腔の粘膜を腫れさせ、換気と排泄をとど怒らせて病態を形成します。たまった膿がさらに粘膜を厚くさせるという悪循環も原因の一つです。
ここに『虫歯の炎症が喉を通して副鼻腔まで及んだ時』と出てきましたね。『虫歯』と『歯周病』は違うものですが、密接な関係性があります。どちらも『落としきれなかったプラーク(歯垢)』が原因ですから、どちらかかが発症した場合は、どちらかも発症する可能性が高くなります。
虫歯・歯周病の原因
虫歯 | ミュースタンス菌、プラーク、食事による脱灰 |
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歯周病 | プラーク、歯石 |
例えば歯周病が起こる流れは以下の通りです。
虫歯になる流れは以下の通りです。
もう一つの流れがこうですね。
ですから、プラークをしっかりと取り除くことが大切になるわけですね。
つまり今回のテーマで考えるなら、以下の流れを頭に入れる必要があるということです。
したがって、少しでも口の中に異変があると思った場合は早めに対処することが必要です。そうしなければ、口臭のニオイはどんどん悪化し、様々な病気を誘発してしまうことにもなります。
また蓄膿症の原因に『鼻の粘膜が厚くなる』とありましたが、私の知人で蓄膿症になった人は、いつも鼻の粘膜を無駄に刺激する癖を持っている人でした。常に鼻をほじったりしていましたね。その結果、鼻の粘膜に何か悪影響を与えたのでしょうか。ある日、『蓄膿症になった』と言っていました。
扁桃腺炎の原因の一つは『口呼吸』でしたが、本来呼吸はやはり鼻から吸って、口から出すものです。やはり、意識無意識に関わらず、自然に逆らった行動をとると、病気になったりして何らかの『サイン』が出るようになっているのでしょうか。ただ、遺伝体質であれば仕方ないですね。
急性副鼻腔炎の場合は抗生物質等の投与で比較的すぐに治るらしいのですが、慢性副鼻腔炎になると2~3か月はかかかるので、やはり少しでも口の中に異変があると思った場合は早めに対処することが必要です。それは蓄膿症やむし歯に限らず、どんな病気でも、どんな問題においても同じことですね。
参考
副鼻腔炎(蓄膿症)医療法人かくいわ会 岩野耳鼻咽喉科サージセンター