日本人の口臭は残念?外国人は口臭がない?
そうでもありません。
あるアンケートの結果では、在日外国人の約7割が、『日本人の口臭にがっかりした経験』があり、『オーラルケアをもっと徹底してほしい』と願っていると回答しています。
たしかに、アメリカには挨拶としてのキスの文化がありますので、常に口腔内ケアをするかどうかということが、この問題の背景に関係していると言えます。また、アメリカの破産の原因の第一位は『医療費の支払い』ですが、そういう意味でも、日本人は危機意識がないと言えます。『前始末』をするアメリカ人に対し、『後始末』型が多いことも、虫歯や口臭の発生の原因と考えられるでしょう。
ただ、実際にはどの国の人も口臭がある人とそうでない人がいます。何人だから臭いということはないでしょう。
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アメリカ人や外国人の口臭がしない理由についての記事がいくつかあるようですが、彼らにも口臭はあります。例えば下記の記事では、イケメン、縄文顔、顔が濃い人がワキガである可能性について書きました。
イケメンにワキガが多いと思うのは勘違い! – Inquiry. |
ではここで、ワキガ臭が発生する原因と流れを見てみましょう。
ワキガ体質かそうじゃないかということは、アポクリン腺の数がすべてを決めます。黒人は体質的にアポクリン腺が多く、そしてワキガ体質は顕性遺伝だからして、
の確率で遺伝するため、アポクリン腺が少なくなることはないのです。確かに黒人のその傾向を考えると、『顔が濃いほどアポクリン腺が多い』と思うかもしれませんが、そんなことはありません。
という考え方があり、確かにそれぞれが記事に書いたような特徴があります。日本人やモンゴル人は弥生顔であり、平べったくて薄い顔をしています。それに比べて黒人は色が黒いということもあるからか、顔が濃い、縄文顔をしているように見えます。この事実を短絡的に考えると、
という解釈ができますが、実際にはそうではないのです。同じように、イケメンについてもそうです。男女のワキガの比率はむしろ6:4で女性の方が少しだけ多いという見解があり、
男女の性別に見るワキガの割合と比率 – Inquiry. |
人種別ワキガ体質の割合は下記のとおりですが、
人種別ワキガ体質の割合
これで計算すると日本人のワキガ体質の数は大体以下のようになり、
『大体700万人くらい』ですから、イケメンに多いということは全く根拠がないことです。しかしこの『イケメン』というのは解釈が適当ですからね。黒人の100%、白人の80%がワキガですから、ハリウッドスターやアスリートだけで考えてもたくさん顔が浮かぶように、その人たちのほとんどはワキガということになりますから、『イケメンにはワキガが多い』と言うことができます。
このような考え方で理由を探っていけば『外国人には口臭がない』という噂が広がった理由がわかります。『お口のさわやかエチケット』(三省堂)にはこうあります。
なぜ欧米人には口臭を持つ人が少ないの?
(省略)欧米人にも口臭を持つ人はけっこういます。肉食中心の食生活は、むしろ日本人よりも口臭を発しやすいのです。でも、欧米では、生活習慣の中に挨拶としてのキスが根付いています。そのため、普段から歯の手入れをはじめ口臭対策をおろそかにはできず、それが口臭の除去に役立っているのです。アメリカをはじめ、欧米諸国では、口腔の清潔を保つ商品の巨大なマーケットが存在します。このような需要があること自体、口臭対策の切実さと関心の高さの反映だと思います。
外国人の中には、『生活習慣の中に挨拶としてのキス』がある場合があります。特にアメリカはその代表国として強いイメージがついていますね。そのような『生きている文化と環境』の中で、自然と口腔内の環境が清潔になっているのかもしれません。しかし記事にあるように、『肉食中心の食生活は、むしろ日本人よりも口臭を発しやすい』わけです。ですから、外国人であっても口臭があるというのが正解です。
ワキガの原因となる食べ物とは?『肉食→魚食→??』で対策はバッチリ! – Inquiry. |
上記の記事で考えただけでも、肉食は体臭の原因となります。高カロリー食をとっていると、アポクリン汗腺や皮脂腺が肥大し、発達する傾向があります。高カロリー食によって皮脂腺が肥大すると、脂質の代謝排出を皮脂腺だけでは処理できず、その分泌をアポクリン汗腺が助けるようになり、アポクリン汗腺も発達すると考えられています。一度流れを見てみましょう。
つまり、元々あったアポクリン汗腺が『肥大』し、更に状況が悪化するのです。それに加えて皮脂腺までも大きくなり、ワキガの原因物質を増やすのですから、これは大ごとですね。その他にも、下記のような流れもあります。
動物性たんぱく質というのは飽和脂肪酸であり、それだけで腸内の悪玉菌を増やします。すると、その悪玉菌がたんぱく質を分解して、アンモニアなどのニオイ物質にしてしまいます。それが腸から血管を通り、体臭として発生するんですね。
ですから、まさに『欧米食』と言われる肉中心の食生活を送る外国人の方が、口臭、体臭ともにニオイがきつくなるはずなのです。しかし、まさに『日本人はなぜ臭いと言われるのか 体臭と口臭の科学 (光文社新書)』という本にはこうあります。
日本人は、外国人から『口が臭くて残念な国民』と思われているのだ。一方で、多くの日本人は、そのことについて認識しておらず、対策ができていない。前出のオーラルプロテクトコンソーシアムによると、在日外国人の約7割が、『日本人の口臭にがっかりした経験』があり、『オーラルケアをもっと徹底してほしい』と願っていると回答している。
そして、約4割は『2020年の東京オリンピックに向けて、日本人は口臭を改善すべき』と考えているようだ。せっかく『おもてなし』の心がオープンでも、お口をオープンすると口臭がプンプンでは、国際的なイメージダウンは免れない。
『臭いと言うなら日本に来なきゃいい!』『欧米人は、その分、体臭が強くて香水臭いじゃないか』と言いたくなるだろうか。国同士の対決は、あくまでも平和的に、スポーツだけにしたいもの。
やはり、世界的に見ると日本人の口臭はきついという話があるのです。それは一体なぜでしょうか。一つは下記の記事で分析したことが関係しているでしょう。
口臭予防に適した歯磨きのタイミングは?歯は何度も磨けばいいものでもない – Inquiry. |
データをまとめるとこうなります。
つまり日本人は、きれい好きできちっとしていて清潔で、しかも毎日のように、2回以上歯を磨いていて、中には3回以上歯を磨いているというのに、『日本は先進国でもっとも虫歯の多い国』なのです。その理由は恐らく、
という『日本人独特の考え方の甘え』が関係しています。アメリカの破産の原因の第一位は『医療費の未払い』ですから、日本人はアメリカ人ほど危機意識がないのです。つまりアメリカは、
健康を損ねたら大変だ!普段の心掛けが大切なんだ!
という『前始末』型の考え方になっていて、日本は、
病気になってもその時に病院に行けばいいや
という『後始末』型の考え方になってしまっているということなのです。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、フィンランド、スウェーデン、日本以外の先進国は本当に、日本人よりも歯の環境が優れています。そう考えると、やはり日本人と比べて海外の人々は、その『生きている文化と環境』の中で、自然と口腔内の環境が清潔になっているのかもしれません。つまり日本人は結果的に、『口腔内の最適化がおろそかになる文化と環境で生きている』と言えるでしょう。
ただ先ほどの本には、
においの感じ方は、その国の文化や生活も反映するので、各国間でそれぞれの言い分があるのは当然だ。
とあります。これはその通りで、そのアンケートを取った外国人に対する『口臭への感想』を逆にアンケートを取れば、同じように『残念だ』という声が並ぶ可能性だってあるのです。言葉のマジックですよね。冷静に考えれば、日本人だけがそういうアンケートの対象になるのは不公平です。世界中も同じ対象に挙げてアンケートを取り、または日本人もそのアンケートに混ぜるべきです。そうすれば、結果的には『みんな、それぞれの外国人に対し、口臭や体臭を感じている』という結果が出るかもしれませんからね。
この時に行われたのはアメリカ人60人、ヨーロッパ人40人と、日本人の男女600人でした。しかし、『在日外国人に』ということですから、質問をしたのはこの100人の外国人です。日本人は自分たちの口臭を認識していないということからもわかるように、この日本人600人は、この質問には関係していません。ですから、このアンケートでは不完全ということになります。
私は以前、中国へ一週間ほど行きましたが、そこで当然、現地の国の人たちと同じように生活をしました。私が行った『深圳(しんせん)』という場所は、中国出身の人からすれば全然都会であり、発展しているということでしたが、私はその街で、日本では考えられない光景をたくさん目にしました。
等々、衝撃的な光景が広がっていました。ですから、日本で中国人がたまに騒ぎを起こしますが、中国ではそういう行為は当たり前なんでしょうね。まるで日本にいる不良中国人と言われる人たちが大勢いる、そういう印象を持ちました。
その中で一つ面白かったのは、朝に『ニラパン』を食べることです。ニラの入ったパンですね。まるで、アンパンやカレーパンのように、ニラパンと、ゴマ団子、そしてスープを飲む朝食は、ポピュラーな食事だという風に見受けられました。
そういうことも背景にあるのでしょう。ある『カラオケ』に行った時のことです。今でもそのシステムはよくわからないのですが、向こうでカラオケと言うと、日本のそれとは違い、女性がズラリと並ぶのです。まるでキャバクラのような、風俗のような、何が何だかよくわからない状況になりました。
会社の人の接待ですからなすがままにそうなっていたのですが、気づけば私のそばに一人、女性がつきました。その女性と口が急接近することもしばしばあったのですが、残念ながらその女性からは『ニラ』のニオイがしたのです。これがまぎれもない事実です。
先ほどの本にはこうもあります。
自分のにおいには気づけない理由
(省略)人は、日常的に嗅いでいるニオイには順応してしまい、感じにくくなってしまう。嗅覚以外の感覚でも順応は起こすが、特に嗅覚は順応しやすいとされている。それは、やはり危険を察知するためだ。日常的に感じるニオイは、危険とは言えない。危険ではないニオイへの反応を鈍くする一方で、それ以外のニオイへの反応を鋭くしている。急に危険なニオイがしたときに、即座に反応できるようにするためだ。そうでなければ、命の危険が増してしまう。
つまりこういうことですね。
このような人間の性質からも、人は自分のニオイを感じにくいのです。ですから、気づけば相手に異臭、悪臭を押し付けていて、相手の眉間にしわが寄っているということがあります。その時もそうでしたね。彼女に悪気など一切なかったでしょう。そして、外国人を困らせた日本人にも、悪気はないのです。
そしてこの順化、つまり『普段感じる危険とは言えないニオイ、以外への嗅覚を鋭くする』という自己防衛本能を考えると、いささかその外国人も順化している可能性がありますよね。つまり、その人たちだって口臭や体臭があるかもしれないのです。
それに、外国人であっても日本人であっても、臭い人は臭いし、臭くない人は全く臭くありません。やはりこのように、人種や国単位で偏見を持つのは間違った考え方だと言えるでしょう。
ニオイというのは病気も関係してきますからね。例えば下記の表を見てみましょう。
病気のニオイ
糖尿病 | 甘いニオイ |
---|---|
黄熱病 | 血なまぐさいニオイ |
壊血病 | 生ごみのニオイ |
腸チフス | 焼きたてのパンのニオイ |
ジフテリア | ひどく甘ったるいニオイ |
ペスト | リンゴの腐ったニオイ |
コレラ | 腐敗性バクテリアのニオイ |
はしか | 生臭い鳥の羽のニオイ |
痛風 | 古いビールのニオイ |
胃腸病 | 卵の腐ったニオイ |
腎炎 | アンモニアのニオイ |
フェニールケトン尿症 | かび臭い |
メープルシロップ尿症 | メープルシロップの甘いニオイ |
イソ吉草酸血症 | チーズのニオイ |
メチオニン代謝不能 | ゆでたキャベツのニオイ |
魚臭症候群 | 魚臭いニオイ |
自律神経失調症 | 炊き立てのご飯のニオイ |
統合失調症 | トランス-3-メチル-2-ヘキセン酸の刺激臭 |
緊張型分裂症 | 枯れた草のニオイ |
消化器系の障害 | すっぱいニオイ |
肺機能の障害 | 肉の腐ったニオイ、むかむかするニオイ |
心肺機能の障害 | 焦げ臭いニオイ |
肝機能の障害 | ネズミ臭 |
腎機能の障害 | おしっこのニオイ |
加齢臭 | 脂臭いニオイ |
これは『体臭全般』ですが、下記は口臭のみのニオイです。
様々な口臭の原因とニオイの種類
歯周病・虫歯 | イオウのニオイ |
---|---|
胃腸病 | 卵の腐ったニオイ |
肝臓病 | ネズミ臭(濡れ雑巾とニンニクが混ざったようなニオイ) |
糖尿病 | 甘い、甘酸っぱいニオイ(ケトン体) |
腎臓病 | アンモニアのニオイ |
呼吸器系疾患 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
心臓病 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
唾液の減少 | 雑巾や布巾のような生乾きのようなニオイ |
口臭の原因は一つではない!様々な種類とその対策 – Inquiry. |
ほとんど何らかの病気がかかわっていますよね。ですから、人のことを軽はずみに『ニオイがある』なんて言って眉間にしわを寄せると、それは結果的に、
あいつらは病気持ちだ!
という発想に近いものを持ってしまっていることにもなりかねません。かつて東日本大震災があったとき、フランスの週刊紙カナール・アンシェネ(Le Canard enchaîné)が掲載した相撲の風刺画があります。腕や脚が3本ある奇形の力士の横に立つ人物が『素晴らしいフクシマのおかげで相撲が五輪種目になりました』とコメントしているイラストです。
参考
Le Canard enchaînéJournal satirique paraissant le mercredi
このイラストの是非はさておき、外国人に『自分たちの文化とは違うもの』を感じることは仕方ありませんが、
自分たちとは違って劣っていて愚かな存在だ!
という発想に少しでも近くなるような考え方は、人として間違った考え方です。ちなみにこの風刺画を描いた漫画家ジャン・カビュは、シャルリー・エブド襲撃事件で犠牲になりました。言論、表現、宗教には自由がありますが、しかしその延長線上にはこうしたトラブルもあるということを忘れてはいけません。
哀しみに暮れるパリ① シャルリー・エブド襲撃事件