口臭対策のサプリメントはすぐ効く?
いいえ。
サプリメントの特徴からして即効性はありません。即効性があるのはフリスクやマウスウォッシュ等の対策です。しかしそれは『一時的な誤魔化し』にしかならないこともありますので、注意が必要です。
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口臭対策のサプリメントがあるとしても、それは即効性はありません。例えば、下記の記事で考えたように、口臭というのは急に気にしなければならない場面も多いですよね。しかしエレベーターに乗る直前にサプリメントを飲んだところで、当然それがエレベーターに乗っている数十秒の間に効いて口臭を抑えられるということはないのです。
どちらかと言えば即効性があるのは下記の記事で書いたような以下の商品です。このようなものならすぐに対応できますし、口臭を完全に根本から断つことができなくても、マスキング(ニオイを覆い隠す)の役割は果たせます。誤魔化すことができるということですね。
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例えば口臭というのは下記にあるように原因はたくさんあります。
様々な口臭の原因とニオイの種類
歯周病・虫歯 | イオウのニオイ |
---|---|
胃腸病 | 卵の腐ったニオイ |
肝臓病 | ネズミ臭(濡れ雑巾とニンニクが混ざったようなニオイ) |
糖尿病 | 甘い、甘酸っぱいニオイ(ケトン体) |
腎臓病 | アンモニアのニオイ |
呼吸器系疾患 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
心臓病 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
唾液の減少 | 雑巾や布巾のような生乾きのようなニオイ |
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ですから、口臭用のサプリメントといっても、その原因が何なのかということによってもアプローチを変える必要があり、しかもその原因が病気だった場合、サプリメントを飲んだだけではすぐには治りません。もちろん長期的に体質改善をしていく計画で、
の5大要素を最適化していきつつ、そこに補助食品としてサプリメントを上手に利用していけば効果を発揮しますが、あくまでもサプリメントとはその位置です。即効性を期待したり、あるいはこれのみで体質改善をしたりすることを望むことは間違っています。
例えば、口臭の一番の原因として挙げられるのは『歯周病』ですが、それに適したサプリメントを見てみましょう。『サプリメント健康事典』にはこうあります。
歯周病が心配
(省略)最も歯に悪い生活習慣は喫煙です。というのも、たばこを吸うと口の中の血行が悪くなり、歯や歯茎に栄養が行き届きにくくなるからです。また、ストレスの多い人は唾液が少なくなるので、歯周病菌が繁殖しやすくなります。歯の健康のためにもストレス解消や禁煙を心がけましょう。歯周病の予防効果が期待される成分としては、歯周病菌を殺菌する作用が確認されているカテキンや乳酸菌があります。
この2つがサプリメントとして有効だとあります。例えば以下のような商品ですね。
しかしこれらのサプリメントを食べてエレベーターに乗っても、すぐには歯周病由来の口臭は治らないということです。
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では、その次に多い胃腸病はどうでしょうか。本にはこうあります。
胃が痛む
(省略)また、慢性胃炎や胃潰瘍、十二指腸潰瘍を繰り返す場合、ピロリ菌に感染していることが多いようです。日本人は成人の7~8割がピロリ菌に感染しているといわれています。
(中略)胃が痛むときは刺激物や冷たいもの、硬いものを避け、消化のよいやわらかいものを中心にとるようにしましょう。サプリメントでは粘膜を保護するビタミンAやストレスに対抗するビタミンC、胃粘膜を活性化させるビタミンUなどが有効です。ただし、酸性のビタミンCは胃に刺激を与えるので、空腹時の摂取は避けて。乳酸菌のヨーグルトはピロリ菌の活動を抑え、胃粘膜の炎症も改善します。
これらが胃腸のケアに有効なサプリメントとなります。例えば以下の商品ですね。
様々なビタミンが入っているマルチビタミン&ミネラルを摂るのが一番いいでしょう。またこの『キャベジン』ですが、それを挙げたのには理由があります。『これは効く! 食べて治す 最新栄養成分事典』にはこうあります。
胃・十二指腸の潰瘍を防ぐ ビタミンU
ビタミンUはキャベツから発見されたため、キャベジンと呼ばれているビタミン様作用物質です。『キャベジン』といえば胃腸薬を思い浮かべる人も多いと思います。詳しいいことはあまりわかっていませんが、胃酸の分泌を抑制するなど、胃潰瘍の治療に重要な働きがあると考えられています。
核酸はたんぱく質の合成に不可欠ですが、ビタミンUはその核酸をつくるのに必要な物質です。胃潰瘍や十二指腸潰瘍の場合、傷ついた粘膜の上皮細胞を修復するためにたくさんの新鮮なたんぱく質を必要とするため、ビタミンUの必要性も高まるのです。
つまりキャベジンというのは、ビタミンUのことなんですね。それはサプリメントというより挙げたような胃腸薬として販売されています。これらとて同じことです。これらを服用してエレベーターに乗っても、すぐには胃腸病の口臭は治らないということです。
更にビタミンAですが、これは少し厄介な問題があります。ビタミンAは他に『レチノール、ベータカロチン』という名前がありますが、『健康にいいものばかり食べていると早死にします』にはこうあります。
ベータカロチン神話の崩壊
ベータカロチンはビタミンAが2つ結合した抗酸化物質で、野菜や果物のがん予防効果の主要因と推測されました。疫学研究では、ベータカロチンは血中濃度が1デシリットルあたり2~10マイクログラム程度の濃度の低い人たちに比べて、20~50マイクログラムという数値の高い人のがんのリスクが低いことも示されました。
そこで、米国やフィンランドで、大規模な研究が行われました。たとえば肺がんを減少させる効果があるのではないかと期待されたのです。一方の被験者にはベータカロチンとビタミンAを、他方にはニセ薬(プラセボ)を与えて調査を続けました。
すると、約1万8千人の喫煙者などの肺がんリスク者が参加したフィンランドでも、肺がんリスク者が参加した米国の結果では、喫煙者で肺がん発生率が28%、死亡率で17%高くなったのです。約3万人が参加したフィンランドでも、肺がんになる危険率が18%も上昇しました。
(中略)ともかく、野菜や果物から摂るのはいいのですが、サプリでは摂りすぎになり危険性が高まります。
つまり、ベータカロチンを野菜や果物から摂るのはいいのですが、サプリでは摂りすぎになる可能性があり、がんリスクが高くなるというデータがあるんですね。
しかもこれは『抗酸化物質』という広い範囲で警鐘が鳴らされています。つまりビタミンAだけではないのです。
抗酸化物質を言われるものはたくさんあります。そのどれにがんのリスクを高める効果があるかはまだわかっていませんが、とにかくビタミンAだけはこのようなデータが出ているのです。したがって、たとえ胃腸にビタミンAの粘膜保護作用が効くと言っても、これを過剰摂取すると違う問題が出てきます。そこがサプリメントのデメリットなんですね。サプリメントはとにかく過剰摂取しがちになるのです。
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肝臓病はどうでしょうか。 『サプリメント健康事典』にはこうあります。
肝機能が心配
(省略)肝臓の細胞を再生させるためにはたんぱく質が必要なので、脂肪分の少ない肉や大豆、魚などを毎日適量にとります。また、肝臓で行われるさまざまな代謝を助けるビタミンやミネラルも不足しないよう心がけましょう。シジミやウコンには肝臓の解毒作用を高める作用があり、アミノ酸の一種のメチオニンには肝機能を強化する働きがあります。
等が挙げられます。
ただ、このメチオニンですが、これは単体のサプリメントで探すと上記のように海外から直送することになります。そういうものは基本的に疑った方がいいでしょう。それは、品質が悪いということではなく、『なぜ日本にはないのか』というところを考えるべきということです。
メチオニンも、過剰摂取では肝機能を悪化させるデメリットがあります。ですから、単体のサプリメントで摂ると過剰摂取になりやすく、リスクがあるのです。したがって、サプリメントではなく食事から摂るのが理想です。
メチオニンを多く含む食材
下記の記事に『アミノ酸』について詳しく書きましたが、メチオニンは『必須アミノ酸』です。だから食事から摂る必要があります。しかしこれもベータカロチン同様、サプリメントでではなく食事から摂った方がいい栄養ということですね。
からだの中でつくることのできない必須アミノ酸
からだの中でつくられる非必須アミノ酸
先ほど『海外のものは注意』と言いましたが、例えば海外でしか売ってない『メラトニン』というサプリメントについて、『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
メラトニンの摂取には注意が必要
睡眠のためのサプリがテーマだというのに、メラトニンが入っていないと思った人もいると思う。メラトニンのサプリは、近年とても人気がある。それだけ睡眠のもんだが社会に蔓延しているということだ。専門家の多くは、メラトニンのサプリがよく効く人は一定数いると認めている。
しかし、メラトニンの摂取はホルモンの摂取だということを忘れてはいけない。テストステロン療法やエストロゲン療法といったホルモン療法があるが、セロトニンの摂取もこれと同じで、副作用や何らかの問題が生じるリスクがついてくる。(中略)『メラトニンはホルモンであり、ビタミン剤とはわけが違う』と彼は言う。
睡眠は、
これらの物質をなくして睡眠は語れません。
睡眠は今回のテーマでもある口臭とも関係があります。水分や唾液がなくなったり、交感神経が優位になるとネバネバ唾液になり、酸素を嫌う嫌気性菌(悪玉菌)が増えて、それがニオイを発生させるのですが、その交感神経は、睡眠不足によっても優位になってしまうのです。
自律神経や環境によって口の中に起きる変化
繁殖する菌 | 分泌される唾液 | ニオイ | |
---|---|---|---|
交感神経優位 | 悪玉菌。酸素を嫌う嫌気性菌 | ネバネバ唾液(粘液性唾液) | する |
副交感神経優位 | 善玉菌。好気性菌脂臭 | サラサラ唾液(漿液性唾液) | しない |
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したがって、良質な睡眠を得ることは口臭対策にもなります。しかし、だからといってこの『メラトニン』をサプリメントで摂取してしまうとどうなるか。やはり本にもあるように、『メラトニンはホルモンであり、ビタミン剤とはわけが違う』ので、メラトニン受容体の感度が鈍ったり、様々な問題が引き起こされるのです。
また、『健康にいいものばかり食べていると早死にします』には健康食品やサプリで死者が出た例をまとめています。
Lトリプトファンの過剰摂取が原因で死者が出ていますね。その他にも安易にサプリメントに頼ると、想定外の問題に直面することにもなりかねません。
間違ってはいけないのは、サプリメントも薬も、用法用量を守り、あるいはしっかりと把握し、使いこなせばとても優れた存在だということです。しかし、それを守れない、あるいは把握しきれないのであれば、使うのはやめた方が無難でしょう。