口臭予防に適した歯磨きのタイミングは?
王道の答えは、
- 歯磨きは1日3回、食後すぐに行う
- 歯磨き後30分間は飲食しない(この30分の間に口内に残った歯磨き剤のフッ素が歯に作用してエナメル質を強くするから)
- 夜は就寝前に磨く(細菌は寝ている間に増殖するから)
ということになります。しかし、
- 歯垢(プラーク)というのは、除去すればいいというわけでもない
- 歯というものは、何度も磨けばいいものでもない
- 食後のたびに歯を磨くことが、決して最善の歯磨きの姿ではない
- きれい好きな人間が、必ずしもニオイや病気と無縁なわけではない
という問題も同時に考える必要があります。1日に3回も歯を磨くのは日本人と韓国人くらいで、それなのに日本人は先進国で最も虫歯が多い国だからです。思っているよりも口腔内の問題は奥が深いものです。
先生
ハニワくん
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『口臭予防のためにはいつ歯を磨けばいい?』…はNG?
口臭予防のために歯を磨くというのは効果的です。口臭予防のために歯を磨くということは、『虫歯・歯周病を予防するための歯磨き』を考えるということでもあります。虫歯・歯周病も口臭の原因となるからですね。
様々な口臭の原因とニオイの種類
歯周病・虫歯 | イオウのニオイ |
---|---|
胃腸病 | 卵の腐ったニオイ |
肝臓病 | ネズミ臭(濡れ雑巾とニンニクが混ざったようなニオイ) |
糖尿病 | 甘い、甘酸っぱいニオイ(ケトン体) |
腎臓病 | アンモニアのニオイ |
呼吸器系疾患 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
心臓病 | 生臭い、肉の腐ったニオイ |
唾液の減少 | 雑巾や布巾のような生乾きのようなニオイ |
しかし、『口臭予防のためにいつ歯を磨けばいいか』と考えている人は、もしかしたら口臭が出やすい体質かもしれません。なぜなら、口臭が出ない人は、感覚でそのタイミングがわかるからです。いちいち『一日何回』とか、そういうことを綿密に決めていません。下記の記事に書いたように、
寝起き(起床時)の口臭は誰にでもある?原因は大便スプーン一杯分の細菌!
私は電動歯ブラシを使っていた時期があるのですが、どうも電動歯ブラシだと磨き残しが気になって、違和感を覚えていました。そして歯医者に、『電動歯ブラシと普通の歯ブラシどっちがいいの?』と聞くと、歯医者は『どっちも使った方がいい』と答えました。歯の健康を保つためには『面倒なことを面倒と思わずにしっかりと行うことが大事』だということだったんですね。これが今回の問題のキーワードになります。
それから私は歯医者に一度も行っていませんが、その理由は、
- 歯ブラシ
- 歯の磨き方
を変えたからだと考えています。私は『歯磨き粉』を使うのをやめ、『素磨き』をするようになり、歯ブラシも電動ではなく、『コンパクト、やわらかめ』のタイプのものを使うようになりました。そっちの方が歯の一つ一つを丁寧に磨けるからですね。無意識にこのようなタイプの歯ブラシを選択していました。歯磨きをする際は『歯垢を落とす』ことに重点を置き、『歯を磨く』のではないということを覚えておきましょう。そうしないと、
- 硬い歯ブラシで強く歯を磨く
- 毛先の細かいブラシで入念に歯を磨く
等の間違った歯磨きをしてしまい、それで歯を痛めてしまって知覚過敏になったり、あるいは歯に穴が空いて虫歯になるということもあるかもしれません。記事に、
- 正しい歯ブラシ
- 正しい歯の磨き方(動画あり)
- 歯磨き粉(デンタルペースト)について
を記載していますので、そちらの記事でそれらの詳細をご確認ください。つまり私が選んだ『コンパクト、やわらかめ』タイプの歯ブラシは、理想の歯ブラシだったのです。
その時歯医者に聞いたのは、『歯を舌で触って、ザラザラしていたらそれは歯垢』という情報です。ですからそれ以来私は、『コンパクト歯ブラシ』で『素磨き』をして、舌で歯を舐めまわしてざらつきがないかどうかチェックし、ツルツルになるまで歯を磨くように意識してきました。私はそれ以来、10年以上歯医者に行っていません。それに、
- コンパクト歯ブラシ
- 素磨き
- 歯を磨くタイミング
等は、特に歯医者に指示されたわけではありません。自分で、
きっとそれがいいんだろう
と解釈して、それが正解だったのです。歯磨きにおける歯垢・口臭コントロールというのは、『その人の考え方次第でどうとでもなる』ということがこの事例で分かります。つまり、私の10年前の歯磨きに関する考え方は、
- 横着である
- 無知である
- 勘違いしている
- 無責任である
このような要素が占めていました。ですから、『高い電動歯ブラシを使っているから、人よりも優れた歯磨きが出来ているし、歯垢もなければ、口臭とも無縁だ!歯を磨くのも人より少なくていい』という考え方を持ってしまっていたわけです。
先生
ハニワくん
認知のゆがみとは
この考え方は誰の指示でも影響でもなく、私が独自に考えついたものであり、明らかに恣意的推論(しいてきすいろん)、認知のゆがみです。認知のゆがみというのは下記の記事に書いたように、うつ病等の精神性の問題を抱えている人に必ずと言っていいほどある『間違った考え方』です。
認知の歪みとは うつの人によくある11の偏った考え方・思考の誤り
うつ病に限らず、人が間違いを起こすときは、たいていその背景にこれらの『認知のゆがみ』があります。例えば私の知人は、
自分は両親が離婚して父親に育てられて、母親から特別な愛情を受けて育たなかったから、せめて他人から特別扱いを受けていいはずだ
と考えてしまい、ひどくわがままな人間になってしまいました。敬語を使わないだけじゃなく、レストランに行けば足をテーブルの上に乗せ、常に自分が有利で特別であるかのようにふるまったのです。間違いなくその態度は、社会人として不合格。そういう社会不適合者のような人間になる背景にも、こうした『認知のゆがみ』があるのです。
先生
ハニワくん
いつ歯を磨くべきか?1日何回磨くべきか?
これを虫歯や口臭の問題に置き換えて考えてみます。『図解 むし歯 歯周病の最新知識と予防法』にはこうあります。
いつ歯を磨くべきか?1日何回磨くべきか?
糖分や発光性の炭水化物を口にすると、だれでも口の中は酸性に傾きます。できるだけ早く歯磨きをして、口の中を中和し、歯が再石灰化しやすい状他人することが、虫歯予防には最も効果的だといえます。その意味でも歯磨きは1日3回、食後すぐに行うのが理想です。
この本の内容をまとめると、
- 歯磨きは1日3回、食後すぐに行うのが理想
- 歯磨き後30分間は飲食しない(この30分の間に口内に残った歯磨き剤のフッ素が歯に作用してエナメル質を強くするから)
- 夜は就寝前に磨くのがベスト(細菌は寝ている間に増殖するから)
ということになります。しかし、『歯周病予防と口腔ケア (ホーム・メディカ・ブックス・ビジュアル版)』にはこうあります。
1日1回は完全にプラークを取り除く
かつては1日3回、食後3分以内に、3分間歯をみがくのがベストであるとされていました。しかし現在では、1日1回でもいいから歯磨きでプラークを完全に取り除く方が、歯周病の進行を防ぐ効果は高いとされています。
これは、プラークは完全に除去されると、再び増殖するのに24時間以上かかることがわかってきたからです。プラークが歯に付着しなければ、食物のカスが口の中に残っていても虫歯や歯周病の原因にはなりません。
もちろん、毎食後に歯磨きを行うことができれば理想的ですが、3分間の歯磨きで完全にプラークを取り除くのは困難です。むしろ1日1回でも5分以上、できれば10分くらいかけて歯磨きを行うようにしましょう。
この本では『かつては』と言って、以前の常識が更新されたことを説明しています。しかしこの本は2008年の本で、先ほどの本は2015年の本です。先ほどの本の方が新しいのです。この本の内容をまとめると、
- 1日1回でもいいから5分以上の歯磨きでプラークを完全に取り除くべき
- 毎食後に歯磨きは理想的だが、3分間しか磨かないなら完全にプラークを取り除けない
ということになります。次に、『歯は磨かないでください 歯周病を治すと、全身が健康になる (廣済堂健康人新書)』にはこうあります。
日本人の95%は歯を磨いていて、1日2回以上磨く人が73%いるという統計があります。ところが、成人のほぼ100%が虫歯を持っているといわれています。2011年歯科疾患実態調査(厚生労働省)によると、日本は先進国でもっとも虫歯の多い国のひとつといえそうです。
日本では毎日歯を磨く人が95%もいるにもかかわらず、虫歯が多いのはなぜでしょう?第1の理由としては、ほかの先進国に比べて『定期検診や予防処置の受診者が少ない』ことが一因として挙げられています。
第2の理由としては、『間違った歯磨きをしている』からです。歯を磨けば虫歯や歯周病を防げる』という考えが間違いなのです。
歯は磨かないでください 歯周病を治すと、全身が健康になる (廣済堂健康人新書)
日本人は世界レベルで見てもとても清潔好きです。ある時海外から来た外国人が、日本の居酒屋で食事をしたとき、店員がひざをついて温かいおしぼりを持ってきて、メニューを聞きに来たことについて驚いていました。『ここまで細かく配慮できる、サービスレベルの高い国は他にない』と感じたそうです。
電車の時刻も分単位でキッチリしていますからね。海外では、電車が遅れるのは当たり前です。時には1時間以上待つこともよくあるんですね。そういうキッチリした価値観の中で生きている日本人は、細かいところによく目が届きます。ですから自然ときれい好きになり、モノづくりなどの細かい作業が要求される仕事で、世界一になれたのかもしれません。
ただ、海外の人からするとそこがデメリットでもあると言います。『少し、きちっとしすぎている』、『自分もしっかりしなきゃいけないって申し訳ないように思う』などという意見もあります。それから、『働きすぎだ』という意見もありますよね。日本人の性格は世界の人から見ても、少し不思議なわけです。
先生
ハニワくん
『口臭予防のためにはいつ歯を磨けばいい?』…はNG?
なぜ日本は先進国でもっとも虫歯の多い国なのか
それに、そこまできれい好きできちっとしていて清潔な日本人が、なぜ『先進国でもっとも虫歯の多い国』なのでしょうか。本にはこうもあります。
日本人は、ほかの先進国に比べて甘いものを控えているにもかかわらず、虫歯が多くなっています。アメリカ、イギリス、フランス、ドイツなどの国では、日本人の2~3倍も砂糖を摂取していますが、虫歯の本数は日本人よりも少ないのです。
では、日本人は歯を磨いていないから虫歯が多いのかというと、もちろんそうではありません。日本では、毎日歯を磨いている人が95%です。1日2回以上歯を磨く人は73%もいます。そしてなんと25%以上の人は、毎日3回以上歯を磨いているという調査結果が出ています。
データをまとめるとこうなります。
- 毎日歯を磨いている人:95%
- 1日2回以上歯を磨く人:73%
- 毎日3回以上歯を磨いている人:25%
- ときどき磨く人:2%
- 磨いていない人:1%
つまり日本人は、きれい好きできちっとしていて清潔で、しかも毎日のように、2回以上歯を磨いていて、中には3回以上歯を磨いているというのに、『日本は先進国でもっとも虫歯の多い国』なのです。これは一体どういうことなのでしょうか。
一つはこの本が言うように、『日本人独特の考え方の甘え』です。アメリカ男性の76%は、虫歯がなくても歯医者に行きます。それに対し、日本男性は36%とアメリカ人男性の半数以下です。アメリカの破産の原因の第一位は『医療費の未払い』ですからね。アメリカ人に聞けばすぐにわかります。調べてもすぐに出てきます。アメリカでは、山で遭難してもヘリコプターから、
と問われると言われていますから、日本は恵まれすぎているんですよね。しかしその恵まれすぎた環境が逆に怠惰を煽っているのです。
まあ、別にアメリカと違って医療費で破産するようなこともないしな
という風に考えているかどうかはさておき、そのような考え方で、とにかく『健康管理を怠っても、別に大きな損害はないし、いざという時に病院に行けば何とかなる』と思ってしまっているのです。そして実際にその恵まれた環境によって、実際にどうにかなってしまうんですね。つまりアメリカは、
健康を損ねたら大変だ!普段の心掛けが大切なんだ!
という『前始末』型の考え方になっていて、日本は、
病気になってもその時に病院に行けばいいや
という『後始末』型の考え方になってしまっているということなのです。人間というのはそういう生き物ですからね。危険を感じなければ身の保身に力を入れません。何よりも大事なのは『前始末』なんですけどね。見るべきなのは以下の2つの記事です。
『人間が転落するタイミングは決まっている。「得意時代」だ。』
先生
ハニワくん
日本人の生活環境に問題がある?
情報はこれだけではありません。『歯をみがくのをやめると超健康になる!: 行列ができる名医シリーズ (知的生きかた文庫)』にはこうあります。
日本人の歯はおかしい!?フィンランドでは80歳でも歯が20本以上あるのが当たり前
(省略)大人の歯の本数は、親知らずを除くと、上が14本、下が14本の合計28本あります。これが健康でベストな状態です。ところが、厚生労働省の2016年度の調査によると、80~84歳の人たちに、実際に残っている歯の本数は、わずか15.3本だけ。
(中略)日本人は『年齢を重ねれば、歯がなくなるのは仕方ない』と考えがちです。しかし、フィンランドやスウェーデンを中心とした北欧の国々では、すでにほぼ100%の人が『8020』を達成しています。やはり、『年を取ると歯がなくなる』のはけっして当たり前の生理的現象ではないのです。
私も治療した歯はありますが、プラークを除去することを心掛けてきた結果、今のところ、28本を全部キープできています。歯を失ってしまうのは、プラーク除去を怠ったせいで起きる結果なのです。
歯をみがくのをやめると超健康になる!: 行列ができる名医シリーズ (知的生きかた文庫)
厚生労働省と日本歯科医師会が、80歳になっても歯が20本残っていることを目指す運動
アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、フィンランド、スウェーデン、日本以外の先進国は本当に、日本人よりも歯の環境が優れているのです。また、『お口のさわやかエチケット』(三省堂)にはこうあります。
なぜ欧米人には口臭を持つ人が少ないの?
(省略)欧米人にも口臭を持つ人はけっこういます。肉食中心の食生活は、むしろ日本人よりも口臭を発しやすいのです。でも、欧米では、生活習慣の中に挨拶としてのキスが根付いています。そのため、普段から歯の手入れをはじめ口臭対策をおろそかにはできず、それが口臭の除去に役立っているのです。アメリカをはじめ、欧米諸国では、口腔の清潔を保つ商品の巨大なマーケットが存在します。このような需要があること自体、口臭対策の切実さと関心の高さの反映だと思います。
たしかに、『生活習慣の中に挨拶としてのキス』がありますよね。やはり日本人と比べて海外の人々は、その『生きている文化と環境』の中で、自然と口腔内の環境が清潔になっているのかもしれません。つまり日本人は結果的に、『口腔内の最適化がおろそかになる文化と環境で生きている』と言えるでしょう。
先生
ハニワくん
- 口臭予防のために歯を磨くというのは効果的。
- 口臭が出ない人は、感覚でそのタイミングがわかる。『口臭予防のためにいつ歯を磨けばいいか』と考えている人は、口臭が出やすい体質。
- 歯磨きは『歯垢を落とす』ために行うのであり、『歯を磨く』のではない。
- 歯を舌で触って、ザラザラしていたらそれは歯垢。
- 『認知のゆがみ』があると正確な答えにはたどり着かない。
- 歯磨きの王道の答えは、歯磨きは1日3回、食後すぐに行うのが理想。
- 日本は歯の健康においてどうしても『後始末』的な考え方になりがち。
- 日本人は結果的に、『口腔内の最適化がおろそかになる文化と環境で生きている』。
大切なのは『プラークコントロール』
さて、ここまで考えたうえで冒頭の文章に戻ってみましょう。『口臭予防のためにいつ歯を磨けばいいか』と考えている人は、もしかしたら口臭が出やすい体質かもしれません。なぜなら、口臭が出ない人は、感覚でそのタイミングがわかるからです。いちいち『一日何回』とか、そういうことを綿密に決めていません。
『一日何回』とか、『どのタイミングで磨くか』ということは、そう大きな問題ではないのです。大切なのは『プラークコントロール』。つまり、歯垢をきちんと取り除くことなのです。それはここまでの話に出てきた、
- 舌で歯を舐めまわしてざらつきがないかどうかチェックし、ツルツルになるまで歯を磨く
- 1日1回でもいいから5分以上の歯磨きでプラークを完全に取り除くべき
- 毎食後に歯磨きは理想的だが、3分間しか磨かないなら完全にプラークを取り除けない
- 健康を損ねたら大変だ!普段の心掛けが大切なんだ!
- 歯を失ってしまうのは、プラーク除去を怠ったせいで起きる結果
このようなキーワードがその真理を突いていますよね。そして『プラークコントロール』だけではありません。
かつて、経営の神と言われた松下幸之助という人物がいますが、現代の経営の神は、その血を受けついだに等しい人物である、京セラ、KDDI創業者の稲盛和夫です。その稲盛氏も推奨している奥の深いある種の哲学本でもある、『歯医者に虫歯は治せるか (創元ライブラリ)』にはこうあります。
甘いものを食べた後30分間は歯を磨かないこと
(省略)ミュースタンス菌を含めてこれらの細菌群を、私たちはふだん、唾液や食べ物と一緒に飲み込んでいるわけですが、とくに、これらの菌を飲み込んだからといって、何か人間の体に害を及ぼすことはないのです。私は、常在菌を悪い菌と決めつけるのではなく、反対に、常在しているということは、人間側にも何らかの必要性があって、菌が常在しているのだと考えています。
(中略)一般に、虫歯は歯の表面から脱灰されていくと思われていますが、実はそうではありません。詳しく見ると、歯の表面から30ミクロンくらい内側からカルシウムやリンが溶け出してきます。しかもこの現象は一方向に進行するのみではなく、逆に歯の表面の唾液を介して、今度はこの部位にカルシウム、リンが補給されるという現象もあるのです。
すなわち、脱灰、再石灰化が歯の表面で繰り広げられているのです。この脱灰、再石灰化のバランスが崩れ前者に偏ると、虫歯となり、後者が強化されれば虫歯予防や治癒につながると考えられるのです。
(中略)甘い菓子を食べると、その刺激でドッと唾液が分泌されます。そこで(※図3のようにとありますが、図は省略します)いったんは歯の表面は酸性となり、歯の表面では脱灰がおきますが、そっとしておくと、20~30分で唾液や歯垢細菌の働きでもとの中性に戻り再石灰化がなされるのです。
人間にとって望ましいこの事実に注目するならば、甘いものを食べた後の30分間は、これまでの常識とはまったく反対に、歯を磨かない方がよいということになるのです。
この本は1997年に書かれた本で、先ほどの2015年の本に比べれば古い本です。しかし、かなり本質をついた話がたくさん書かれています。本にはこうもあります。
虫歯は日和見感染
(省略)虫歯や歯槽膿漏という病気は、細菌学上ではまさしく『日和見感染』なのです。日和見感染とは、人間側が普通の生理状態を保って環境に適応している限りでは、菌の存在が何の問題も起こさず、人間と細菌がお互い仲良く共存しているのに、たとえば、環境の変化や精神的な変化で、人間の側に何らかの生理的な適応能力の異常が起こると、菌の共存関係が崩れて菌に感染することをいいます。このように、共存関係の崩壊は、『宿主側に何らかの事情があると起こる』のです。
この本では、『歯が悪くなったから歯を診よう』という、短絡的かつ断片的な発想をしません。虫歯も含めたあらゆる病気というのは、総合的に見て、何か『人間側が間違った方向に向かった』ことのサインであると考えています。これは私もそうだと強く感じているところです。
先生
ハニワくん
虫歯は『人間側が間違った方向に向かった』ことのサイン?
上記の記事に書いたように、インペリアル・カレッジ・ロンドンで生物学の学士号と修士号を取得したのち、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンおよびロンドン動物学協会で進化生物学の博士号を取得したアランナ・コリンが2016年に書いた『あなたの身体は9割が細菌』にはこうあります。
新しい研究によれば、これまで私たちは間違った場所を探していたようだ。アクネ菌がニキビを引き起こすというのは数十年前の古い考え方で、発疹の中を覗いてみたらアクネ菌がいたという、ただそれだけのものだ。同じアクネ菌が、ニキビを患っている人の皮膚にも健康な人の皮膚にも棲息しているという事実、アクネ菌が見つからない発疹もあるという事実は無視された。アクネ菌の多さとニキビの重症度にも、皮脂や男性ホルモンの量とニキビの発症しやすさにも、相関関係はなかった。
ところが、抗生物質で症状が改善することが多かったため(皮膚に直接塗布する方法でも、薬として飲む場合でも)、アクネ菌説は通用していた。抗生物質の投与はごく一般的なニキビ治療法で、多くの人は何か月も何年もその治療法を続ける。しかし、抗生物質は皮膚の細菌だけに作用するのではない。腸の細菌にも作用する。これまでにも語ってきたように、抗生物質は免疫系のふるまいを変える。ひょっとすると、それがニキビにかえってよくないのかもしれない。近年では、アクネ菌はニキビの発症を左右する要素でないことが明らかになりつつある。
ニキビの原因はアクネ菌だと言われていました。しかし、実際にはそうではないかもしれないのです。何らかの原因で腸内細菌のバランスが崩れたことが原因でニキビができた。その証拠に、
ニキビを針で潰したり、手で押して芯を取ってもいいの?一番大事なのは『自然』な生活習慣
上記の記事に書いた、
- パプアニューギニアの高地
- インドネシアのスラウェシにあるシージプシー・ビレッジ(漂流民の村)
- アーミッシュの人
の話を見てみましょう。上の二つの人々は『ニキビとは無縁』の人生を生きていて、アーミッシュの人にはアレルギーがありません。それは、彼らは『古くから伝わる自然な生き方』に沿って生きているからなのです。『自然からかけ離れれば離れるほど、不自然な影響を負う』という図式が頭をよぎりますね。
『真理(愛・神)から逸れれば逸れるほど虚無に近づく。』(7ページ目)
上記の記事も『何かから逸れたサインとして問題が起きた』事例をまとめていますが、
- 口臭
- 虫歯・歯周病
- ニキビ
- うつ病
- 生活習慣病
こういったものの多くが、『人間が間違った方向に向かわなければ起きなかった』可能性が高いのです。先ほど『プラークコントロール』が重要だと言いましたが、『歯医者に虫歯は治せるか (創元ライブラリ)』にはこうあります。
仲が良い虫歯菌と人間
(省略)ところが、今日の歯科学の主流は、歯垢の細菌は歯の病気を引き起こす悪玉あると決めつけています。歯に関するあらゆる出版物、新聞社をはじめとする多くのマスコミが、虫歯をつくるミュースタンス菌などの常在菌を悪者としてとらえ、いかに除去するか、活躍を抑えるかについて情報を流しています。本当に細菌学を学んだ者なら、常在菌に対してこのような考え方はしないでしょう。
- 歯垢(プラーク)というのは、除去すればいいというわけでもない
- 歯というものは、何度も磨けばいいものでもない
- 食後のたびに歯を磨くことが、決して最善の歯磨きの姿ではない
- きれい好きな人間が、必ずしもニオイや病気と無縁なわけではない
こういう事実を考えたとき、冒頭に書いた言葉が奥深いものだとわかります。『口臭予防のためにいつ歯を磨けばいいか』と考えている人は、もしかしたら口臭が出やすい体質かもしれません。なぜなら、口臭が出ない人は、感覚でそのタイミングがわかるからです。いちいち『一日何回』とか、そういうことを綿密に決めていません。
- コンパクト歯ブラシ
- 素磨き
- 歯を磨くタイミング
この部分を最適化した私は、歯医者に10年行っていませんし、口臭対策ができていて、むしろ家族に口臭対策を教えているくらいです。しかしこの最適化は決して専門家に指導されたことを守っているのではなく、『自然にそうなった』のです。
認知のゆがみの話はしました。つまり、自分の考え方を最適化したら、自然と、虫歯や口臭とは無縁の歯磨きが身についていた。これが非常に重要なポイントです。
先生
ハニワくん
- 『一日何回』とか、『どのタイミングで磨くか』ではなく、大切なのは『プラークコントロール』。
- 歯垢(プラーク)というのは、除去すればいいというわけでもない。
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