メタとは、『高次元』とか、『隠喩』という意味であり、 人間の中でもこの世界を意識し、支配できている人間は、一味も二味も違う。
一次元が、一方向しか在り得ない世界=例として、時間の世界、二次元が、縦横の二方向が存在する世界=例として、アニメの世界、三次元が、縦横に、高さが加わり、三つの次元が存在する世界=例として、実世界、という次元の考え方があるが、俗に使われるメタとは、四次元まではいかない、少し上の次元、さしずめ、3.2次元というところだろうか。
『メタメッセージ』とは、 例えばホームパーティの主催者が、
女性
と言った場合に、この言葉の裏にあるもう一つのメッセージのことを指す。この言葉を聞いた多くの参加者は、その瞬間、時間を意識し、
そうだな楽しかった。だが、そろそろ時間だな。
と考えるだろう。つまり、メッセージの中に、もう一つのメッセージがあったのだ。
お客
これを、目に見えないもう一つの次元、そして隠された世界という意味で『メタ』。そしてこのメタで使用されているメッセージを、メタメッセージというのだ。この場合主催者は、参加者を傷つけることなく、楽しい気持ちのまま、かつ、参加者に主体的に解散を言いだすように誘導することができる。『メタ』を操る人間とは、人として、配慮と計算の行き届いた、ワンランク上の世界に生きるのだ。
映画『レッドクリフ』で、天才軍師、諸葛亮孔明が見せた叡智、草船借箭の計(そうせんしゃくせんのけい)の話は以前書いたが、同じく天才軍師、『周瑜(しゅうゆ)』は、曹操の送りつけたスパイに対して、わざと酔ったフリをし、機密情報に見せかけた偽の情報をつかませ、見事に相手を錯乱させることに成功させた。あれも、メタの世界での駆け引きである。周瑜は、『表面の勝利』を相手に譲り、『水面下の主導権』を獲った。一流のメタ使いは 『能ある鷹は、爪を隠す』という言葉の意味を知っている。
以前、ある知人がWEB上のプロフィールに、『俺は駆け引きが天下一品だ』と記載してしまっていたが、 自分の駆け引き力を誇示したいあまりに、『私は駆け引きをする人間です』 と手の内をバラしてしまっているのだから、これでは相手に警戒され、駆け引きにならない。『表面』にこだわってしまっては、脳のない鷹になってしまう。
プロの詐欺師や私服警官が『変装』するように、『相手の警戒レベルをいかに低くするか』 これが駆け引きを有利に運ぶための、絶対条件なのだ。 ミエに支配されているような人間は、メタも支配できない。本物は、『メタ』の世界に生きているから、『表面』などで馬鹿にされても、何とも思わない。『ミエ』に支配されている人間は、馬鹿にされることに耐えられないので、つい『爪』をひけらかしてしまうのだ。
人は相手に対して、(そうあって欲しい)と、思い込もうとする。そして、(自分と対等か、あるいは劣っていて欲しい)と、思い込もうとする。それなら、後は『その人物』になりきるだけだ。周瑜も、『それ』がわかっていた。これが『メタの世界』である。