熟睡に必要な体温は?
睡眠に必要なのは『低い体温』です。
しかし体温には、
- 深部体温
- 皮膚体温
の2つがあったり、末端は冷やしてはいけなかったりして、いくつか最適化するところがあります。もし末端冷え性などで足が冷えてしまうと、ふくらはぎのポンプでその冷えが全身に回ってしまい、そして体全体が冷えてしまうのです。冷えは自律神経の乱れ、交感神経を優位にさせてしまう大きな原因の一つです。睡眠というものは自律神経を『副交感神経優位』にすることが条件ですので、冷えは睡眠の弊害となるのです。
基本的に『深部体温』を下げ、『皮膚体温』を上げることで差を縮めることができ、眠気を強くすることができます。そこで有効なのが入浴です。入浴後90分程度で深部体温は下がり、皮膚体温との温度差は2℃程度になります。そのあたりになると汗による熱放散も終わっていますので、眠気も襲ってきて、快眠につなげやすくなります。
先生
ハニワくん
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深部体温リズムとは?
眠るときには『体温』も重要な要素となります。人間には『深部体温リズム』というものがあり、体温は起床11時間後の夕方ごろにピークを迎え、起床22時間後には最も低くなるというリズムがあります。
リズムが狂うと寝られない
体温が高いとパフォーマンスレベルは上がりますが、低くなるとパフォーマンスレベルは下がり、眠気も襲ってきます。この『深部体温リズム』にしたがって行動すれば日中を活発に活動でき、夜間にぐっすりと眠れるのですが、それに逆らった行動をすれば体調が悪くなります。例えば、体温がピークである11時間後の『夕方に昼寝』などをして、体温が低くなる22時間後の『夜間にスマホを使って夜更かし』等をすると、睡眠のベストタイミングを逃し、同時に起床のベストタイミングも逃します。
深部体温リズムがずれると、夜、体温が高い状態で寝ようとして寝つけなかったり、朝、体温が低い状態で起きることを強いられたりして、睡眠の質がガクンと低下してしまいます。このように、深部体温リズムを意識し、規則正しい生活を送ることも睡眠には必要不可欠です。それで言うと、『夜間の食事』も深部体温リズムを狂わせる一因となります。寝る前に食事をすると体温が上がって眠りが浅くなります。また、その余計な食事によって翌朝の食事に影響が出ますから、翌日の深部体温リズムも狂わせるのです。
まさに踏んだり蹴ったりですね。そしてこの悪いリズムがまたその日の夜の睡眠に影響を及ぼせば、悪循環が続くというわけです。『スタンフォード式最高の睡眠』にはこうあります。
『体温』と『脳』に眠りスイッチがある
(省略)『体温』と『脳』というスイッチによって、あなたの体と頭はスリープモードに切り替わり、睡眠が劇的に変わる。(中略)つまり、体温と脳は入眠を促すだけではない。睡眠の量が多かろうと少なかろうと、しっかり『質』を高めてくれる、何とも頼もしい味方なのである。
先ほど『この深部体温リズムにしたがって行動すれば日中を活発に活動でき、夜間にぐっすりと眠れるが、それに逆らった行動をすれば体調が悪くなる』と言いましたが、
- 体温は起床11時間後の夕方ごろにピークを迎える
- 起床22時間後には最も低くなる
わけですから、つまり睡眠に必要なのは『低い体温』ということになります。そして活動に必要なのがその逆で『高い体温』ということですね。
体温とパフォーマンスの関係
本にはこうもあります。
なぜメジャーリーグは『体温』に注目するのか
(省略)だからこそ体温とパフォーマンスは密接な関係がある。本書で何度か紹介している、タブレットの画面に丸い図形が出るたびにボタンを押す実験では、体温が高いときはパフォーマンスがいいが、体温が低いときはエラーが多いことがわかっている。おそらくメジャーリーグの関係者は、体温がいかに大切か、実感として知っていたのだろう。だから彼らは、体温の話を持ち出したとたん、食いついたのだ。
『体温が高いときはパフォーマンスがいいが、体温が低いときはエラーが多い』という事実があるわけですね。これは一年中運動をしている私からしてもその通りだと実感するものです。私の運動は、ほぼ毎日家では筋トレをしていて、祝日には外で軽いジョギングと、ボクシングのミット打ちの練習をします。
家では温度操作が容易だからいいのですが、外になるとやはり12月~3月あたりの真冬はかなり過酷なトレーニングになります。私は末端冷え性ということもあって、冷えにとても弱く、足の先と手の先が氷のように冷たくなります。足はジョギング等をして温かくなるのですが、手は軍手、手袋、高性能手袋をしてもだめです。手が氷のように冷たくなるのです。
やはりその状態でミット打ちは非常に危険です。何しろ、殴るたびに手が折れてしまいそうになる感覚があるので、どうしても手を抜いてしまいます。したがって、真冬は両手にホッカイロを持って、それで運動をするのですが、ホッカイロを離したとたんに冷たくなるので、あまり有効ではありません。
私のようなハードトレーニングの場合、真夏の暑い日と比べれば、多少涼しい方が圧倒的に動きやすくなります。『運動の秋』と言いますが、春や秋の過ごしやすい季節に比べると、酷暑や厳冬の季節はやはり運動能力が落ちます。その中でもやはり厳冬が一番落ちますね。そう実感しているときにちょうどこの本を読んだものですから、合点がいきました。長年の感覚で何となくはわかっていたのですが、専門家が検証した結果も同じだったのです。
ですから、冬場なんかはスポーツ選手はウォームアップは欠かせないということですね。それを怠ると高いパフォーマンスを発揮できないだけじゃなく、怪我をする確率も高くなってしまうので注意が必要です。
睡眠に必要なのは『低い体温』
しかし睡眠に必要なのはその逆で『低い体温』です。例えば真夏の暑い中、エアコンもつけずに毛布つきの羽毛布団の中で寝ようとしたらどうなるでしょうか。暑くて仕方なく、とても寝ることはできません。もちろん寒すぎてもだめですよね。そう考えると、人が快適に寝るためには、『適温』というものがあるのです。では一体それはどれくらいの温度なのでしょうか。
本にはこうあります。
深部体温は日中高くて夜間低いが、手足の温度(以下、皮膚温度)はそのまったく逆で、昼に低くて夜間高い。覚醒時には通常深部体温のほうが皮膚温度より2℃ほど高い。皮膚温度が34.5℃の人であれば、起きているときの深部体温は36.5℃だ。健康な人の場合、入眠前には手足が温かくなる。皮膚温度が上がって熱を放熱し、深部体温を下げているのだ。このとき、皮膚温度と深部温度の差は2℃以下に縮まっている。
各体温の変化
日中 | 夜間 | |
---|---|---|
深部体温 | 高い | 低い |
皮膚体温 | 低い | 高い |
睡眠に向けて、深部体温は夜に向けて徐々に下がり始めます。一方皮膚体温はその逆で、昼に低くて夜に高くなる傾向があります。これらの温度差は最大で『2℃』ほどなのですが、この温度差が縮まるほど人は眠気が強くなります。つまり、『深部体温』を下げ、『皮膚体温』を上げることで差を縮めることができ、眠気を強くすることができるわけですね。
そう考えると『冷え性』の人はこの体温調節が難しく、睡眠しづらい傾向にあると言えるかもしれません。私も末端冷え性だからよくわかるのですが、手足が冷たくなるとそれが気になって眠れません。ただ私の場合は睡眠前には必ず入浴をしますし、昼に過眠をする際も足湯に浸かりますから、手足が冷たくなる冬の時期も、それが原因で寝られないことはそうそうありません。
先生
ハニワくん
- 寝る前に食事をしたりして深部体温リズムがずれると寝られない。
- 睡眠に必要なのは『低い体温』、活動に必要なのがその逆で『高い体温』。
- 『深部体温』を下げ、『皮膚体温』を上げることで差を縮めることができ、眠気を強くすることができる。
末端を冷やしてはいけない
そもそもなぜ末端だけ冷えてしまうのでしょうか。『悩み別 女性のカラダを整える300の方法』にはこうあります。
寒くなると特に感じやすくなる手足の冷え、血流の流れをよくすることが大事
『冷え性』と聞いて、多くの人が真っ先に重い壁るのは、まるで自分のカラダの一部ではないかのように冷たく、感覚がなくなってしまった『手足』ではないでしょうか。人間のカラダは、生命維持に必要な内臓をまず温める特性があるため、手足などの末端が冷えやすいのです。
生命維持に必要な内臓が優先されて、手足などの末端は後回しにされるわけですね。人間のカラダには往々にしてこういう現象が起きやすいです。例えば、F1レーサーが時速300㎞を超える速度で転倒したとき、まず最初に『色』が消えて白黒になり、『スローモーション』になると言います。
それはその究極の状況でまず最初に脳が色の識別が無意味だと判断し、生きることを何よりも優先した結果だと考えられています。同じように『火事場の馬鹿力』もそうですね。実は成人男性なら本当は500㎏の重さを持ち上げられるのですが、それをやってしまったら筋肉が破損してしまうので、普段はブレーキがかかっています。
しかし、という土壇場ではそうも言ってられず、リミッターがカットされます。バイクなどの乗り物にもリミッターはついていますが、『リミッターカット』という改造をすると、実は原付バイクでも60㎞以上の速度を出すことができるようになります。それと同じように人間のリミッターも土壇場によってカットされ、その瞬間ではオリンピック選手を上回る身体能力を見せることがあるわけですね。
足を温めて免疫力を上げよう
またこの『足を温める』という私の行動はとても理にかなっています。『血流がすべて解決する』にはこうあります。
足を温めて『冷却システム化』を防ぐ
(省略)血流の働きの一つに、熱を運ぶということがあります。内臓や筋肉でつくられた熱を全身に運ぶのですが、足で血液が動かずに止まってしまうと、全身はどんどんと冷えていきます。お風呂のお湯をはりっぱなしにしておくと、どんどん冷めていくのと同じです。冷えると今度は、熱ではなくて冷えを全身に運ぶことになってしまいます。これでは、いくら体を温めようとしても効果がでるわけがありません。つまり、足に全身を冷やす冷却システムをもっているようなものです。足で冷やされた血液を第二の心臓であるふくらはぎから全身に向けて送り出しているのですから。
ここでふくらはぎが『第二の心臓』と言われているのは、ふくらはぎが心臓と同じように、ポンプのように血液を全身に送り出す働きをするからです。もし末端冷え性などで足が冷えてしまうと、ふくらはぎのポンプでその冷えが全身に回ってしまい、そして体全体が冷えてしまうのです。特に女性はこの現象に注意をしなければなりません。この冷却システムによって一番ダメージを受けるのは『子宮・卵巣』だからです。
体が冷えると機能は低下します。特に女性は『低下しては困る機能』がたくさんあるので、冷え対策は万全にしなければなりません。『免疫力を高める「副交感神経」健康法』にはこうあります。
『体の冷え』があらゆる病気の元凶になる理由
(省略)このように、『冷え』がたくさんの症状や病気の原因になる理由を一言でいえば、体が冷えることで血液の流れが悪くなるからです。そして、冷えるとなぜ血液の流れが悪くなるかというと、自律神経が冷えに反応するからです。体は、『寒い、冷たい』といった、なにかしらの寒冷刺激を受けると、最初に交感神経が優位になって、手や足などの末梢部の動脈が収縮します。こうして動脈を収縮させて、血液を胸やお腹などの体幹部に集めて深部体温を維持し、大切な内臓を守ろうとする反応が起きます。この反応が、結果として全身の血流を悪くしてしまうわけです。
つまりこういうことです。
冷えは自律神経の乱れ、交感神経を優位にさせてしまう大きな原因の一つです。また、更に下記の記事に書いた表にあるように、冷えは様々な病気ともつながっていますので併せてご確認ください。
- 交感神経が優位=緊張、不安
- 副交感神経が優位=リラックス
ですから、睡眠時は副交感神経の方が優位になっていなければなりません。しかし冷えてしまうと交感神経の方が優位になってしまいます。それも冷えで眠れない理由の一つです。
末端を冷やしてはいけない
睡眠中は免疫力が下がる
また上記の記事で『睡眠中は免疫力が下がる』という事実について書きました。『眠って体力を回復させる』と言いますが、こと『免疫力』に関しては、睡眠中は低下してしまっています。寝ている間は体温も下がりますし、防御力が強い唾液の分泌も減少し、ウイルスが繁殖しやすくなってしまいます。実は、更に『免疫力を高める眠り方』にはこうあります。
体温が1度下がると、免疫力は35%下がり、基礎代謝能力は15~20%下がることがわかっています。
つまり、ただでさえ睡眠中には免疫力が下がるのに、冷えによって体温が低下すれば、さらに免疫力が下がるのです。これでは、『冷えは万病の元』であると言われても仕方りません。先ほどの記事の表にあるように、冷えが様々な病気と繋がっているという理由もこれでよくわかりますね。
また先ほど『交感神経が優位になって、手や足などの末梢部の動脈が収縮する』とありましたが、これを見てもわかるように『最初に冷えありき』の場合ではなく、『最初に交感神経の方が優位になる』ケースにおいても、冷えは関係してきます。『体温を上げると健康になる 実践編』にはこうあります。
低体温は自律神経の乱れを知らせるアラーム
(省略)そして交感神経が過剰に緊張すると、免疫を担う白血球の中の顆粒球が増加します。顆粒球は細菌に対抗する免疫細胞ですが、増えすぎると顆粒球が死滅するときに発生する大量の活性酸素によって血流を酸化させ、いわゆる『ドロドロ血液』にしてしまいます。ドロドロ血液は血行を悪化させ、『低体温』を作り出します。
- 睡眠不足
- 身体的ストレス
- 精神的ストレス
- 薬剤ストレス
等によって交感神経が緊張することも冷えの原因になるのです。
つまり、『冷え性→ストレスを負う→低体温になる』という悪循環も作り出すことになるわけなんですね。ですから、どこかで冷えのスパイラルを断ち切る対策を取る必要があります。
対策は?
その対策としては『足湯』や『入浴』等も有効ですし、『湯たんぽ』や『ストレッチ』等も有効です。とにかくポイントとしては、
- 温める
- 血流を良くする
ということですね。それができれば冷えは改善されますので、足を使ってよく動かして血流を改善させるか、直接温めるということが一番効果があります。私などは冬場は確実に足が冷えるのですが、デスクの下に足湯を持ってきますので、それで温めれば全体がポカポカして問題は解決します。私は末端冷え性に加えてハウスダストアレルギーですから、エアコンや暖房も使えない不遇の体質なのですが、しかし足湯であれば何も問題なく、むしろそれらで温めるよりも健康的ですので、湯を交換する煩わしささえ慣れてしまえば、とても快適です。
また、寝る前は入浴するので末端冷え性だと忘れてしまうほどですから、入眠には何も問題がありません。もっとも、入浴後2時間、3時間そのまま起きてしまっていれば冷えてしまいますから、入浴後は2時間以内に寝るようにしています。
低体温、冷え性の人が眠れない理由
さて、これで末端が冷えてしまう理由、そして低体温の原因とリスクがわかりました。ではここでもう一度寝るときに必要な人の体温の動きを見てみましょう。
『『深部体温』を下げ、『皮膚体温』を上げることで差を縮めることができ、眠気を強くすることができる。』
とありました。その深部体温を下げるためには、手足から放熱をする必要があります。ですから、本当は寝るときは手足は温かくなるはずなのです。『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
冷え性と不眠の悪循環を断とう!
(省略)入眠時に指先体温が上がるのは、深部体温を下げるため。血流をよくして、手の足や足の先からさかんに熱を放散することで、深部体温を下げているのである。その結果が指先体温の上昇という形であらわれているのだ。ところが冷え性の人は、手足や足先が冷たい。つまり、本来なら深部体温を下げるために手先や足先の体温が上がって、どんどん熱を放出すべき入眠時に、手足の細い血管が拡張しづらくなっているので手足からの放熱が起こりにくく、手足の体温がなかなか上がらない。そのため、深部体温をうまく下げることができず、眠りに入りにくいのである。
つまり低体温、冷え性、末端冷え性の人がなかなか眠れないのは、
- 交感神経が優位になっているから
- 深部体温がなかなか下げられないから
ということが原因なのです。
先生
ハニワくん
- 人間のカラダは、生命維持に必要な内臓をまず温める特性があるため、手足などの末端が冷えやすい。
- 女性は『子宮・卵巣』がダメージを負うので足を冷やしてはいけない。
- 冷えてしまうと交感神経の方が優位になってしまい、不眠の原因となる。
- 深部体温が下げられないと眠れない。
入浴で深部・皮膚体温をコントロールする
そこで多くの専門家が推奨するのは『入浴』です。入浴をすると身体がポカポカになりますよね。まさにそのとき、人の体温は上昇するわけです。
入浴後は徐々に深部体温が下がる
41℃のお風呂に15分入った後の各体温
皮膚体温 | 0.8~1.2℃上昇 |
---|---|
深部体温 | 0.5℃上昇 |
皮膚、深部ともにそれぞれ0.5℃以上は体温が上昇します。しかし、この上昇した深部体温は『一時的なもの』です。入浴で上がったこの深部体温は、上がった分だけ大きく下がろうとします。先ほどのキーワードを思い出しましょう。
『『深部体温』を下げ、『皮膚体温』を上げることで差を縮めることができ、眠気を強くすることができる。』
ということでしたよね。入浴によってまさに、皮膚体温を上げ、深部体温を下げることに成功するのです。『湯冷め』という現象がありますが、あれはお風呂上りに、
あっついなぁ…
と思って薄着でいたり、あるいは外で長時間裸でいたりなどすることで、深部体温が下がるから起きてしまうわけですね。同じようなことが『日焼け』の際にも起こります。全身に日焼けをするということは、ある種『全身やけどを負う』のと同じです。ですから体中が火照っていて、熱いのです。ですから、つい薄着でいてしまいます。私なども何度も経験がありますが、夏ということもあり、薄着や裸で過ごす時間が長くなり、それによって風邪をひいてしまうことが多々ありました。これもある種の『麻痺』で、皮膚体温はたしかに『やけど』によって上がっているかもしれませんが、深部体温は下がっているので、体調が狂ってしまったわけですね。
深部体温は90分程度で下がっていく
では入浴後の深部体温はどれくらいの時間で下がっていくのでしょうか。それは『90分』です。入浴後、およそ90分ほどで一時的に上昇した深部体温は下がっていきます。ですから、それらを計算して体温を調節すれば、睡眠時に最適な体温を作り出せるということになるわけですね。例えば本では0時に寝る場合の例として、このようなタイムスケジュールの例を出しています。
つまり、深部体温は入浴後90分程度で下がっていくわけですから、少なくとも就寝の2時間前までにはお風呂に入り、体温調節を始めたいわけですね。お風呂上り直後では当然暑くて、汗だくの状態で眠れませんし、逆にいつまでも上半身裸タオルの状態でいて冷えすぎてしまうと、今度は湯冷めしてしまって体調を崩し、快眠はできません。
お風呂の最適な温度は?
もちろんそうなると、『お風呂の温度』も影響が出てきます。お風呂の温度に関しては様々な意見があります。例えばワキガや体臭で悩む人は、『入浴で汗腺トレーニングをする方法』が有効とされていますが、その手順は以下の通りです。
この入浴法によって汗腺を鍛え、『良い汗』をかく習慣をつければ、ニオイの原因である『悪い汗』をかかないようになります。ここで注目したいのは、『STEP2』にある『ぬるま湯につかる』というところです。実は、汗が出るのは圧倒的に高温で入浴したときですが、この『汗腺トレーニング』では、そのあとにぬるま湯に入ることを推奨しています。なぜなら、高温の入浴は自律神経を交感神経優位にさせるからです。すると、発汗しやすくなり、汗のニオイが出やすくなります。また今回の睡眠のテーマで考えれば、寝つきが悪くなりますね。ですから、副交感神経が優位になるように、お風呂は『ぬるま湯』につかることが推奨されているのです。
ではここで睡眠時の人の脳波の動きを見てみましょう。
人が熟眠感を得るためには脳波をこの『δ派』にする必要があります。この状態になると自律神経は副交感神経が優位になっていて、体温は低下しています。これが『ノンレム睡眠』といわれる深い睡眠です。
脳は起きて身体が眠っている。浅い睡眠。Rapid Eye Movement。急速な眼球運動を伴う眠り。瞼の中で目がぎょろぎょろと動いていることから、REM睡眠と名付けられた。
脳も体も眠っている。深い睡眠。
人間の睡眠で一番深い眠りは、最初の90分のノンレム睡眠にあります。したがって、この時間の寝入りをどれだけスムーズに行えるかで、睡眠の質が変わってくるわけですね。
- 交感神経が優位=緊張、不安
- 副交感神経が優位=リラックス
ですから、あまり高温入浴をしてしまうと自律神経は『交感神経』の方が優位になり、そういう面でも快眠の妨げになります。その際、この汗腺トレーニングでは先に高温入浴がありますから『36度』となっていますが、そうじゃない場合は『37~40度』くらいのお湯ということになります。これくらいの温度であれば体が興奮して眠れなくなるということもないので安心です。しかしそれも、入浴後の過ごし方次第ではコントロールはできます。例えば汗がひいてから洋服を着るとか。湯冷めしないように汗と自律神経をコントロールできるようになれば、高温入浴も眠りの妨げとはならなくなるでしょう。
入浴で深部・皮膚体温をコントロールする
寝る前の入浴は37~40度のぬるめの湯が理想
『「脳ストレス」に強くなる!セロトニン睡眠法』にはこうあります。
お風呂の温度が眠りを左右する
睡眠前に入浴を習慣としている人もいるかと思いますが、とかく日本人は熱い湯を好みます。(中略)しかし寝る前の入浴は、37~40度のぬるめの湯が理想です。あまり熱い湯につかると、体は交感神経が活発になってしまいます。(中略)どうしても熱いお湯に浸かりたいという方は、寝る3時間以上前にしましょう。
もし熱い湯に浸かりたい人は、2時間よりも少し長く、3時間前に入るのがいいですね。そうすれば寝るときにはちょうど深部体温も下がっていて、睡眠に適した体温になっているでしょう。
熱いお風呂は逆に疲れちゃう?
ただし、『なぜあなたの疲れはとれないのか』にはこうあります。
熱いお風呂はかえって疲れてしまう!?
(省略)入浴後、血液中に現れる疲労の目安である『疲労因子』を測ったところ、数値は下がるどころか上がっていました。つまり、お風呂に入る前よりも入った後オン方が疲れていて、かつ、朝になってもその疲れは残っていたのです。結論として、熱いお風呂で長時間全身浴をすることは、疲労をさらに悪化させることがわかりました。皆さんが『よく眠れた』とおっしゃったのは、疲れたとれたからではなくて、より疲れて寝込んでしまったから、というのが真相です。
実は、熱いお風呂に入るという行為は、『逆に疲れが溜まる』のです。
ですからこの疲労専門家の書いた本では、
- 適温は38~40度の『ぬるめ』
- 汗が流れたら『お風呂を出るサイン』
- 『半身浴』で入る
ことを推奨しています。実際、このような睡眠前の入浴の最適化が快眠につながることを主張する専門家は多くいます。『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
半身浴と全身浴を使い分けよう
(省略)深部体温を確実に上げるには、『ぬるめのお湯にゆっくり』浸かるのがセオリー。それには半身浴がおすすめだ。みぞおちからへそ上あたりまでを湯につけ、上半身をほとんど出して、時間をかけて体全体を温める。読書しながら、音楽を聴きながら、美顔パックをしながら、女優さんがよく言う『忙しくてもお風呂は2時間』といった入浴法である。実際、これは効果絶大。ぬるいが体温より熱い、具体的にいうと39度前後のお湯でじっくり半身浴すれば、浴した半身を通して血液はまんべんなく温まり、第二の心臓と呼ばれる足の毛細血管も開ききる。美容だけでなく入眠のためにも、まさにうってつけといえる。
ここでもやはり『ぬるめのお湯にゆっくり』浸かるというのが推奨されていますね。やはりどこを見てもこの入浴法が推奨されているため、熱いお風呂に入ることは控えた方がいいかもしれません。
『お湯にゆっくり浸かる』とセラミドが溶ける?
ただし、この『美容にいい』ということについては、実は問題があります。ここでは『2時間も半身浴する』という美容健康法が書かれていますね。またそれは女優さんが実際によく言っていることでもあります。しかし、『素肌美人になれる 正しいスキンケア事典 (基本の美容シリーズ)』にはこうあります。
半身浴神話のウソ
美肌のためにと必死で半身浴に励んでいる女性が多いようです。それはなぜかというと、半身浴で代謝が上がって、やせやすくなったり、肌がきれいになったりすると、世間では信じられているからです。でも、代謝アップのために本当に必要なのは運動。外から温めるのではなく、自分の力で温めないと、代謝は上がらないのです。(中略)湯船に長く浸かっていると肌がうるおうとか、冷え性が緩和するなどと、入浴に過剰な期待を寄せている女性も多いようです。しかし入浴そのものには、美肌効果は期待できません。湯船に長く浸かっていると、肌が潤った気分になるかもしれませんが、皮膚のうるおい成分であるセラミドなどがお湯の中に溶けだし、かえって乾燥を招くことにも。
実は、長時間の入浴は美容のプロから言わせるとNGなのです。セラミドと言えば、美肌を維持するために決して欠かせない保湿物質です。
セラミドやフィラグリンなどの脂質で構成されている。多くの水分を引き寄せて離さない性質があるため、『保水能力』に非常に優れている。
角質細胞間脂質と同様に、水と結合する性質があり、保水能力に優れている。水分を角質層に補給し、肌にツヤと潤いを与える。
人間の美肌を維持するために必要なのは何といってもこの、
- 角質細胞間脂質
- 天然保湿因子
の2つなのです。それに『皮脂』を加えた3つの保湿物質があれば、正直化粧水や美容液など必要ないのです。
ニキビに有効なスキンケアを知らない人が多すぎる!『肌断食』とあらゆる化粧品の『有害物質』
ですから、睡眠前のお風呂は各専門家たちの意見をまとめると、
- 適温は38~40度の『ぬるめ』
- 長時間入らない(セラミドが溶けるため)
- 『半身浴』と『全身浴』を使い分ける
というのが理想だと言えるでしょう。その際、冬季は風邪を引かないよう、半身浴をする際はタオルを肩にかけるなどして、工夫することも必要ですね。
先生
ハニワくん
- 入浴によって皮膚体温を上げ、深部体温を下げることに成功する。
- 深部体温は90分程度で下がっていくので、就寝の2時間前までにはお風呂に入り、体温調節を始めたい。
- 風呂の温度は『37~40度』で、どうしても熱いお湯に浸かりたいという方は、寝る3時間以上前にする。
- 実は、熱いお風呂に入るという行為は自律神経に過大な負担がかかり、『逆に疲れが溜まる』。
- 『お湯にゆっくり浸かる』とセラミドが溶けて美容効果は得られない。
末端冷え性の人の睡眠対策
また、私のような末端冷え性の中には、『靴下を履かなければ寒くて眠れない』という人がいますが、それについては少し注意が必要です。
靴下を履いて寝てもいいの?
末端冷え性の中には、『靴下を履かなければ寒くて眠れない』という人がいますが、靴下をはいて眠るのはやめた方がいいと、『ホンマでっか!TV』で専門家が話していました。その時の内容は、『スタンフォード式最高の睡眠』の内容と同じでしたね。
靴下をはくと眠気が逃げる?
(省略)いずれにしろ手足などの末梢血管が収縮しており、熱放散が起こらない。だから靴下で足を温めて末梢血管を広げ、血行を良くするのは理にかなっている。
『靴下を履いて足を温める→靴下を脱いで熱放散し、深部体温を下げる→入眠』
このようなプロセスが理想だ。だが、冷え性で悩んでいて『靴下を履いても足は冷たいまま』と言う人は多い。なかなか寝付けず、結局は履いたまま入眠したり、『重ね履き』したりすると聞くが、靴下を履いたまま寝てしまうと、足からの熱放散が妨げられてしまう。
靴下にはそういうデメリットがあるんですね。つまり、深部体温を下げて入眠できるという中で、それができなくなるのです。
そもそも靴下には効果がない
そもそも末端冷え性の人ならわかりますが、『靴下を履いて足を温める』ことはできません。末端冷え性の人の足を温めようと思ったら、つまりそれは『冷えてる状態』からそうするわけですが、靴下を何枚重ね履きしても有効ではありません。それよりも足の指を揉んでマッサージしたり、ジョギングのような動きをしたり、ホッカイロを貼り付けたりしなければ温かくなりません。
外を歩くならこのタイプのカイロがとても有効です。足の指先にしか貼り付けないのですが、それで十分です。歩くたびに摩擦で温かくなりますから、2月の真冬でもむしろ低温やけどでもしそうなくらい温かくなります。実際に低温やけどをしたこともありませんし、真冬の外でも大丈夫ですね。東京のことなので、北海道などの地域でどこまで有効かはわかりませんが、結構効くはずですよ。
一番いいのはストレッチですかね。私は映画館によく行くのですが、真冬はさすがに足元が冷たくなります。映画鑑賞中はずっと足も動きませんから一層冷えも強くなります。そんなときはこのカイロで解決するのですが、この間、
その前にストレッチをしてみよう
と思って、靴下を脱いで映画を観ながら足の指先を揉んでマッサージしたのですが、そのおかげで血行がよくなり、結局カイロを使わずに済みました。その後も足がポカポカし、まるで運動や入浴後のような温かさが続きましたね。末端冷え性の人は『靴下を履く』というだけでは効果を得ることはできないのです。ですからこのように、マッサージをして温めた方が遥かに有効です。また、下記のようなレッグウォーマーは、テレビで専門家が推奨していた方法です。これなら足の裏からの熱放散を妨げることなく、足を温めることができます。
私も使いましたが、たしかに温かいですね。ただ、今は私は使っていません。なぜなら、別に寝るときは足は冷たくならないからです。もちろん、真冬で足をそのままにした状態で、デスクワークなどをしていたらすぐに足は冷えます。しかし私は先ほども言ったように、足湯や入浴を常に活用していますので、家では足はぽかぽかです。特に、寝る前に入浴をしなかったことはここ15年以上、下手したら20年はないので、寝る際に足が冷たかったことはほとんどありません。お風呂に入り、そのまま放置していればもちろん冷たくなりますが、そうなる前のちょうどいい段階で(深部体温がちょうど下がり始めた段階で)布団に入れば、手足の体温はそう劇的に下がることはなく、末端冷え性的な悩みで寝れないということにはならないのです。
電気毛布や湯たんぽの注意点
また、電気毛布や湯たんぽを使って温める方法もありますが、本ではこれらは『逆に温めすぎで、うつ熱現象が起こり、熱放散が起きなくなる』とあります。特に電気毛布や『こたつ』はやめたほうがいいでしょう。一晩中電気毛布をつけたまま寝たり、あるいはこたつの中で寝ていたりすると、熱の放出がうまくいかず、深部体温が下がりません。したがって、どうしても眠りが浅くなり、途中で目が覚めてしまうのです。
ただ、湯たんぽに関しては実は違う本では強く推奨しています。『免疫力を高める「副交感神経」健康法』にはこうあります。
少しずつ冷めていく温度変化が自律神経の睡眠リズムに合っている
さらには、この湯たんぽが時間とともに冷めていくところが重要です。湯たんぽを布団に入れて寝ると、その中で湯たんぽが空気の層を作って体温を上げて眠りやすくし、そして眠りについた後から湯たんぽのお湯が少しずつ冷めていきます。お湯が少しずつ冷めていく温度変化が『入眠とともの体温が上がって副交感神経が優位になり、眠っている間に段階的に体温が下がっていき、朝になると交感神経が優位になって眼が覚める』という自律神経の睡眠リズムに合っているのです。
先ほどの本でも、『温めすぎはよくないから途中で外すこと』と言っていましたが、そもそも湯たんぽは時間とともに冷めていくものですからね。そういう意味でも、湯たんぽは最強の体温めアイテムだと、自律神経の専門家は主張します。
そう考えると末端冷え性の人が夜寝る際に足が冷たくて眠れないという場合は、靴下を履くのではなく、
- レッグウォーマーを履く
- 入浴や足湯によって温める
- マッサージをして血行を良くする
- 湯たんぽを使う
等の行為が有効だと言えるでしょう。
先生
ハニワくん
- 靴下を履いて寝ると、深部体温を下げて入眠できるという中で、それができなくなる。
- 靴下よりもレッグウォーマーを履いて寝る方がいい。
- 電気毛布や『こたつ』で寝るのはNG。
- 自律神経の専門家は『湯たんぽは最強の体温めアイテム』だと言う。
体温や神経は安定させるのが快眠のカギ
また先ほど『スタンフォード式最高の睡眠』で、『体温と脳に眠りスイッチがある』と説明がありましたが、『脳』というのはどういうことでしょうか。本にはこうあります。
頭が睡眠モードに切り替わる『脳のスイッチ』
(省略)また、脳が興奮していると体温も下がりにくい。不眠症にもいろいろな原因があるが、いわゆる『原発性不眠症』(身体疾患や、精神疾患などの特定の原因が見いだせない不眠症)では、不安定な体温下降や深部体温上昇が続く『過剰な覚醒状態』にあるという説も、昨今注目されている。
脳の興奮状態も体温に関係していて、それが睡眠の妨げになっているということですね。それと同じような話が『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にこうあります。
ストレスが体温上昇をもたらす
(省略)脅威を認識した体がそれに抗おうとすると、ストレスが体を刺激し、体温の上昇を招くため、期せずして眠りにつきにくくなる。
このようにして考えると、睡眠時というのは、
- 脳の覚醒
- ストレス
- 深部体温の上昇
- 交感神経優位
からいかに身を遠ざけることができるか、ということが求められるわけですね。つまり、
- 脳を鎮めてリラックスする(無駄な刺激を与えない)
- ストレスフリーの生活を送る
- 深部体温コントロールをする
ことが大事になるわけです。ストレスフリーの生活を意識し、脳を鎮めてリラックスすれば自然と副交感神経は優位にすることができますからね。体温と睡眠というテーマでもこれだけ考えることがあるということです。
先生
ハニワくん
- 体温や神経は安定させるのが快眠のカギ
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