昼夜逆転・時差ボケの原因は?
体内時計が狂うことが原因です。
私たち人の体内時計の1日は、地球の1日の周期24時間より少し長く、『24時間と数分』です。ですから、朝の光を浴び、体内時計のズレを調整する必要があります。太陽の光を浴びるはずの時間に浴びなかったりすることで、人の体内時計のリズムは狂っていきます。日本では夜なのに海外では朝だったりしますよね。そういう時差を体験することで、体内時計は狂っていくわけですね。ですから時差ボケの影響を少なくするポイントとして、
出発前 | 空港に着いたら現地の時間に時計を合わせる |
---|---|
機内で | 現地時間が昼なら眠らず、夜なら眠る |
現地で | 日中に着いたら、日光を浴びてそのまま活動する |
このようなことを行うことが有効になります。国内であれば、朝に起きて太陽の光を浴び、夜には寝るリズムを守ることで体内時計は整っていきます。
先生
ハニワくん
Contents|目次
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なぜ時間は『24時間』なのか
普通、時計は24時間で設定されていますよね。昔の人が月の満ち欠けをみて、ひと月が大体30日周期で周ることを見ながらカレンダーを作ったことが由来だと言われています。メソポタミア人はそれが12回くると一年だとわかっていました。ですからこの『12』という数字を軸にして、一日を12個の区切りで考える発想がありました。しかしエジプト人はそれを『昼』と『夜』で分け、昼の12時間、夜の12時間という考え方をしました。そうして一日の時間は24時間であるという考え方が根付いたのです。
参考
どうして1日は24時間なの科学なぜなぜ110番|学研サイエンスキッズ
体内時計とはなにか
さて、人間にも『体内時計』という時計があります。
体内時計は『24時間』じゃない?
『図解雑学 睡眠のしくみ』にはこうあります。
DNAに組み込まれた体内時計
私たち人間に限らず、生物のほどんとは生まれ流れにして自分だの時計を体内に有している。これが先に説明した概日リズムが作り出している生物時計(体内時計)である。生物時計の存在する場所や、生物によって異なる。人も含めた哺乳動物の場合は間脳の視床下部にある視交叉上核という神経組織に生物時計が存在し、概日リズムを発信している。これがイカやタコといった軟体動物の仲間であるアブリジアになると目の中に生物時計があることが知られているし、ゴキブリは複眼と脳を結ぶ視葉という神経組織に生物時計が存在しているという。(中略)私たちは内在する24時間±5時間周期のリズムを持ちながら、24時間の太陽リズムとうまく同調しながら日々の生活を営んでいるのである。
『24時間±5時間周期』とでてきましたね。私たちの体内時計は太陽、月と同じリズムではなく、少しずれているのです。
約24時間周期で変動する生理現象で、動物、植物、菌類、藻類などほとんどの生物に存在している。人間の場合、『24時間と数分』のリズムが内在していて、実際のリズムと数分ずれている。
『不眠症の科学』にはこうあります。
時間がきたから眠る 概日リズム
『人の体内時計の1日は何時間なのか』という疑問を解くため、60年代にドイツのマックス・プランク研究所で実験が行われました。外からまったく光が入らない地下室で、実験参加者に自由に生活させたところ、平均すると約25時間の周期で体内時計が回っていることがわかりました。その後、スタンフォード大学のチャック・ツァイスラーが別の条件で行った実験では、もう少し短い24時間10分という結果が出ています。いずれにしても、私たち人の体内時計の1日は、地球の1日の周期24時間より少し長いようです。
さて、今のところ人の体内時計は、
- 24時間±5時間周期
- 約25時間
- 24時間10分
という情報が出ています。では一体、どれが正解なのでしょうか。もう少し参考文献を見てみましょう。『ブルーライト 体内時計への脅威』にはこうあります。
体内時計はなぜ24時間周期なのか?
『人の体内時計は25時間周期である』という説を、今もさまざまな書籍や文献で見かける。専門家ですらまだ25時間説を支持する人もいるのだが、実はこれはかなり古い知見で、現在では24時間と数分くらいであるということがわかっている。そもそも25時間説は、1960年代に洞窟内に人を隔離する実験によって誕生したものだ。
(中略)ところがその後、人の体内時計は光や食事などに大きな影響を受けることがわかり、洞窟での実験は、人工照明の光によって体内時計にずれが生じていることがわかってきた。そこで、米国ハーバード大学の研究グループは被験者に15ルクス程度の微弱な光の中で生活してもらい、なおかつその微弱な光の影響を差し引くという非常に厳密な実験を実施。その結果、人の体内時計は25時間ではなく、約24時間と数分であるということがわかったというわけだ。この研究成果は1999年に米科学誌『Science』で発表されている。
1960年代に行われたその洞窟実験以降、
- スタンフォード大学
- ハーバード大学
- Science
といった権威ある研究機関及び、世界的に見ても信憑性が高い科学誌が入念にこのことについて調べた結果、『24時間と数分』という数字が人類共通の遺伝的・生得的な体内時計の周期であるということが証明されたんですね。ただし、実際には概日リズムの乱れによって、体内時計が26時間だったり、22時間だったりする人もいるので、人それぞれでこの体内時計は違っているということになります。
また生まれたての赤ちゃんは一日中寝たり覚めたりを繰り返していますが、新生児はこの体内時計が未熟なため、外が明るい、暗い、ということとは関係なく1日が進行します。およそ生後4か月くらいからそのような外界リズムと起床・睡眠のパターンがあうようになってきます。
体内時計が狂うと睡眠に悩まされる
さて、いずれにせよこの体内時計は、太陽のリズムである24時間とずれてしまっていますよね。するとどうなるかというと、その赤ちゃんの例を考えてもわかるように、『起きるべき朝に起きられない』、『寝るべき夜に寝られない』といった『昼夜逆転』の問題が生じてしまいます。したがって、
『概日リズム(体内時計)が狂うと睡眠に悩まされる』
ということになるわけですね。ちなみに今『概日リズム=体内時計』と言いましたが、実は概日リズムだけが体内時計なのではありません。概日リズムは別名サーカディアンリズムと言いますが、ほかにも以下のような体内時計があります。
生物時計と人間のリズム
時間の感覚 | |
---|---|
ウルトラディアンリズム | 約90分リズム |
サーカセメディアンリズム | 約12時間リズム |
サーカディアンリズム | 約24時間リズム |
サーカセプタンリズム | 1週間のリズム |
サーカトリギンタンリズム | 1か月のリズム |
サーカアニュアルリズム | 1年間のリズム |
上の3つは眠気の信号を発信し、1日単位の生活を修飾するためにあるリズムです。下の3つは、1日のリズムと長期間にわたるリズムが組み合って、睡眠や体の諸機能に影響を与えるためにあるリズムです。これらはすべて体内時計です。『概日』というのは読んで字のごとく『概ね一日』ということですから、『一日の大体の時間のリズム』という意味です。ですからここにある『サーカセメディアンリズム』の場合、半日のリズムを表しますから、『概半日リズム』と言っても別に間違っていないことになりますね。
またこのサーカセメディアンリズムですが、午後の一時期、昼食後あたりに眠気を誘う特徴があります。あれは別に昼食を食べたから眠くなるのではなく、この体内時計が関係していたのです。『脳が突然冴えだす「瞬間」仮眠』にはこうあります。
昼食を摂らなくても昼間は眠くなる
(省略)また、昼ご飯を食べなくても、あるいは1日に数回に分けて食事をしても、午後2時から4時ごろには眠気に襲われます。私たちの眠気を決めているのは、『睡眠物質』と『体内時計』です。特に昼間の眠気は、体内時計が主な原因になっています。人の体にあるほとんどすべての細胞には、体内時計が組み込まれています。この体内時計のリズムによって、眠気だけでなく体温や血圧、脈拍、ホルモンの分泌、免疫などがコントロールされています。
そういうことなんですね。そして、この体内時計による眠気のピークは、
- 1位:深夜午前2時~4時
- 2位:午後2時~4時
の順番で訪れます。深夜の眠気には劣りますが、その半分くらいの眠気が昼間に襲ってきて、眠くなるのです。それにはこのサーカセメディアンリズムの体内時計が関係していたんですね。ですから本当はこの時間に『20分ほどの仮眠』をことで一日を快活に過ごせます。勘のいい企業はそれに気づいていて、マッサージチェアーでアイマスクをしながら仮眠をする、という行為を推奨したりしています。
体内時計とはなにか
体内時計を太陽リズムに合わせるには
では、この体内時計を太陽リズムに合わせるためにはどうすればいいでしょうか。数分でも少しずれてしまうなら、積もり積もってそのうち『朝に寝て、夜に起きる』というような現象も起きかねません。しかし社会は往々にしてそうは回っていないわけですから、きちんと『朝に起きて、夜に寝る』ようにリズムを整える必要があります。そのために考えるべきなのは『セロトニン、メラトニン』というキーワードです。『「いつも眠いー」がなくなる快眠の3法則』にはこうあります。
あなたを眠くさせるのはメラトニン
(省略)メラトニンは、増えると眠くなり、減るとキリっと目覚める仕組みになっています。このメラトニンは、光によって分泌量が変わるという特徴があります。真っ暗になるほどメラトニンが増えて眠くなり、明るくなるほど減って目が覚めるということです。つまり、起床時にカーテンを開けないとしっかりと目覚めることが難しくなってしまうのです。
メラトニンは『セロトニン』という物質が変化して作られるホルモンであり、そのセロトニンは、朝の光を浴びることで分泌されます。『SLEEP 最高の脳と身体をつくる睡眠の技術』にはこうあります。
太陽光が睡眠の質を決める
(省略)日中に太陽光をたくさん浴びる方が夜によく眠れると言われても、ピンとこないかもしれない。しかし、科学がそれを証明している。私たちの体には、24時間周期の体内時計がある。これは決して空想上のものではない。携帯電話や腕時計と大差のない、本物の24時間周期の時計だ。私たちの体は決まった時間に決まったホルモンが分泌されるようにできている。この体内時計システムが、消化、免疫系、血圧、脂肪の利用率、食欲、気力などの調節を設けているのだ。
24時間周期の体内時計は、脳の視床下部にある『視交叉上核(しこうさじょうかく)』と呼ばれる 神経細胞の小さな集まりで管理されている。視床下部は、体内のホルモン分泌系の要として知られる。この領域が体内のマスターロックとして機能し、空腹、のどの渇き、疲労、体温、睡眠サイクルを調節するのだ。つまり、睡眠をどうにかしたいなら、頭に意識を向ける必要があるということだ。
つまりこういうことです。
まずは、日中に太陽光をたくさん浴びることが求められます。そうすることで身体が日中に活動的に動けるようになります。そして、熟睡に欠かせない『セロトニン』という神経伝達物質が光を浴びることによって分泌されます。 もう一度これらのホルモンを軸にして見てみましょう。
こういうホルモンの変化によって、人は夜に快眠できるようになるのです。ここで一度、各神経伝達物質の詳細をまとめてみましょう。
各神経伝達物質
セロトニン | 活動を助ける |
---|---|
メラトニン | 睡眠を促す |
そしてこの二つの『トニン』は正反対のリズムで分泌されていて、どちらかが増えると、どちらかが減るようになっています。したがって、朝の光を浴びるとセロトニンが増えて体が起き、活動的になることができますが、メラトニンが多くなるとセロトニンが減るわけですから、眠くなるわけですね。更に詳しくは下記の記事をご覧ください。
睡眠に必要な『トリプトファン、セロトニン、メラトニン』とは?(GABA、グリシン)
つまり、『朝に太陽光を浴びる』ことで、このずれた体内時計を太陽リズムに合わせることができるのです。朝に太陽の光を浴びるという行為は、ただ気持ちをスッキリさせるためにやることではなく、『狂ったリズムを整える(リセットする)』といった意味があったんですね。昼夜逆転現象が起きてしまっている人は、このあたりの事実をよく理解しましょう。
体内時計の例
では、午後10時に寝て午前6時に起きる人の正常な体内時計の例を見てみましょう。
もっとも血圧が上昇する
メラトニンの分泌が止まる。
蠕動運動が活発になり、排便が起こりやすくなる。
注意力が最も高まる。
もっとも調和がとれた状態。
心臓血管と筋肉の強度が最高の状態。
血圧が最も高い。
体温が最も高い。
メラトニンの分泌が始まる
便通が抑制される。
成長ホルモンの分泌がもっとも活発になる。
人は体内時計によって、このような体調の変化を起こすわけですね。
体内時計とはなにか
太陽の光で体内時計が調整される理由は?
しかし、どうして太陽の光を浴びるとこのリズムが揃うようになるのでしょうか。『ブルーライト 体内時計への脅威』にはこうあります。
『第三の視細胞』の発見
では、どうやって体内時計を地球の自転に合わせているのだろう?僕たち人類は、目の網膜に朝の強く明るい光が入ってくると『朝だ』と感じ、夕方暗くなって網膜から入ってくる光の量が減ると『もう夜だ』と感じる。同時に睡眠を司るホルモンであるメラトニンの分泌量が抑えられたり、活発になったりして『覚醒と睡眠』を繰りかえす。これによって、地球の自転に合わせて一日24時間の周期が作られる。そのため、朝の光を受けると、生活リズムで生じた体内時計のズレが調整されるのだ。
朝の光を浴びると体内時計のズレが調整されると言います。しかしそれが『なぜ』かということですよね。実は人間の目の網膜には、光の色や明暗を感知する、
- 錐体(すいたい)
- 桿体(かんたい)
という二種類の視細胞があるのですが、どうも『第三の視細胞』が存在するということがわかったのです。この第三の視細胞は、太陽光に強く存在する『ブルーライト』に特に強く反応するのです。なぜブルーライトにだけ反応するのかというと、概日リズムが人間のホメオスタシスにとってあまりにも重要だからです。
人間が正常でいるための機能。
概日リズムは、
- 体温
- 血糖値
- 心拍
- 呼吸
- 血圧
等の生命機能を維持するためにとても重要です。そのため、もし『視覚障害』などが起きてしまった場合、命にかかわります。そのような人間の自己防衛本能が、この第三の視細胞を作らせたのではないかと考えられています。ですから、盲目の人であっても太陽光を浴びると概日リズムは整えることができるのです。
体内時計を調整する方法(その2)
さて、この体内時計を調整するには朝日を浴びることが一番有効なのですが、もう一つそれに劣らない有効な手段があります。『疲れが確実にとれる「眠り方」のコツ』にはこうあります。
起床後1時間以内に朝食をとろう
(省略)眠っていた脳にとって、朝日が体内時計をリセットしてくれる何よりの”目覚まし時計”なら、朝食は『腹時計』にとっての”目覚まし時計”。朝食を食べることで腹時計がリセットされ、胃腸の活動が始まる。(中略)マウスの実験では、そのリズムは24時間周期で起こり、本来夜行性の動物にもかかわらず、餌の時間に合わせて昼でも覚醒状態、行動量、体温がピークを迎えると報告されている。つまり、腹時計のほうが体内時計よりも強力なのだ。だから、体内時計が乱れてしまい、睡眠リズムが狂ってなかなか決まった時間に起きられない人や、寝起きが悪い人は、体内時計をリセットするためには、朝食をきちんと食べる習慣をつけるのがいちばん有効なのである。
それが朝食ですね。その朝食は、起床後1時間以内に食べるのが理想です。起床後1時間くらいで体温が上昇するのですが、食べ物が体内に入ってから血糖値が上がり、そのエネルギーを受け取って脳が活性化するまでに約1時間かかるからです。
つまり、太陽光を浴び、朝食を食べれば、体内時計と腹時計が一致し、ダブルの方向で乱れたリズムをリセットすることができるようになるということです。このように、腹時計の方向からも体内時計にアプローチができるということですね。
電子機器のブルーライトに注意!
ちなみに、睡眠物質であるメラトニンは、光を浴びてからおよそ15時間後に分泌されます。メラトニン自体は、太陽光や電子機器等の『光』に含まれるブルーライトを浴びた直後は、分泌が抑制されます。ですから、朝7時に太陽光を浴びた場合は、22時にメラトニンが分泌され、眠気が出てくるわけです。
つまり、ブルーライトは太陽光だけにあるのではないのです。夜に電子機器から発せられているブルーライトを浴びてしまうと、快眠物質であるメラトニンの分泌が抑制されてしまい、そこから更に15時間待たなければいけない、というイメージになるわけです。ブルーライトは、
- 太陽光
- LED
- 蛍光灯
- テレビ
- スマートフォン
- パソコン
等に含まれています。つまり、電子機器を夜遅くまでいじっていると、知らぬ間にこのブルーライトを浴びてしまい、良質な睡眠の妨げになってしまうのです。
太陽光ほど強いブルーライトは出ていないせいか、電子機器やLEDに含まれるブルーライトを浴びても15時間も待つ必要はないといいます。また、人間はこのメラトニンがなければ絶対に眠れないというわけでもないので、そういうことも関係しているでしょうが、スマホ等の電子機器に触れるのは『寝る2時間前まで』だと推奨されています。つまり、体内時計は『夜に電子機器をいじってブルーライトを浴びる』ことでも狂ってしまいます。したがって、概日リズムを太陽リズムに合わせ、毎日快活な生活を送るためには、
- 朝に太陽光を浴びる
- その1時間以内に朝食を食べる
- 夜に電子機器をいじったりしてブルーライトを浴びない
このような対策が必要になるわけですね。
先生
ハニワくん
- 人間の体内時計の原則は『24時間と数分』。
- 実際には概日リズムの乱れによって、体内時計が26時間だったり、22時間だったりする人もいるので、人それぞれでこの体内時計は違っている。
- 体内時計が狂うと睡眠に悩まされる。
- 昼食を摂らなくても昼間は眠くなる。
- 『朝に太陽光を浴びる』ことで、ずれた体内時計を太陽リズムに合わせることができる。
- 人間には原則として二種類の視細胞があるが、第三の視細胞も存在することがわかった。
- 第三の視細胞は、太陽光に強く存在する『ブルーライト』に特に強く反応する。
- 盲目の人であっても太陽光を浴びると概日リズムは整えることができる。
- 朝日が体内時計をリセットしてくれる何よりの”目覚まし時計”なら、朝食は『腹時計』にとっての”目覚まし時計”。
- 夜に電子機器から発せられているブルーライトを浴びてしまうと、快眠物質であるメラトニンの分泌が抑制されてしまい、良質な睡眠の妨げになってしまう。
時差ボケ
さて、この体内時計ですが、これを強く認識できるタイミングがあります。それが『時差ボケ』です。『図解雑学 睡眠のしくみ』にはこうあります。
1日少しずれる生物時計
(省略)私たちが生物時計(体内時計)の存在を認識できるわかりやすい例は時差ボケである。時差ボケとは飛行機による長距離の移動(自分がいた緯度の位置から東か西へ移動した場合)によって睡眠周期と体温周期のズレが生じ、体内時計が狂ってしまう状態をいう。もし、生物時計なるものが存在せず、明暗のサイクルだけが睡眠を調節するのならば時差ボケにはならないのである。
人が明暗のサイクル、つまり太陽リズムだけで眠くなったり、起きたりするのであれば、 時差ボケは生まれませんよね。どこへ行ってもその土地の太陽リズムに合わせることができるからです。しかし時差ボケは生まれます。それこそが、人に体内時計が存在する確固たる理由ですね。この時差ボケは、『西へ向かうよりも、東に向かったほうがひどくなる』傾向があります。ですから、韓国やロシアの方向へ進むよりも、アメリカの方向に進んだ方がひどくなるということですね。
世界地図は普通アフリカを中心として見ますから、日本は上の地図では一番右にあります。これが日本が『極東の国』と言われるゆえんですね。最も東にある国ということです。そしてアメリカ大陸が一番左にありますね。しかし、日本は『日本が真ん中にある地図』を使いますから、日本から見てアメリカは『東』で、韓国やロシアが『西』にあるわけですね。
東に向かった方が時差ボケが強くなる理由
なぜ時差ボケが『西へ向かうよりも、東に向かったほうがひどくなる』かというと、地球の自転が関係しているからです。地球の自転は『東回り』です。ですから、東に向かうということは1日が短くなるということになります。
体内時計は『24時間と数分』ですから、24時間よりも少し長いわけです。ですから、西へ向かって1日が少し長くなるなら調整しやすいのですが、東へ向かって1日が短くなると、調整が難しくなって時差ボケがきつくなってしまうわけですね。
したがって、東に向かってのフライトで生じる時差ボケは、西のケースと比べるとおよそ50%も回復までに余分な時間がかかると言われています。
この時差ボケは、体内時計がその地域の太陽リズムに合っていないから起きる現象ですから、朝に太陽光を浴び、夜にきちんと寝ていればそのうちすぐに解消されるようになります。ですから先ほども言ったように、したがって、時差ボケの解消方法は、『概日リズムを太陽リズムに合わせ、毎日快活な生活を送る』ポイントと同じく、
- 朝に太陽光を浴びる
- その1時間以内に朝食を食べる
- 夜に電子機器をいじったりしてブルーライトを浴びない
このような対策が必要になるわけですね。
時差ボケの影響を少なくしよう
更に言うと、以下のようなポイントに気を付けるのも大事です。
時差ボケの影響を少なくするポイント
出発前 | 空港に着いたら現地の時間に時計を合わせる |
---|---|
機内で | 現地時間が昼なら眠らず、夜なら眠る |
現地で | 日中に着いたら、日光を浴びてそのまま活動する |
『ササッとわかる「睡眠障害」解消法』にはこうあります。
短時間で帰国する場合は、日本時間のまま現地で過ごすのも一つの方法です。日本時間が夜なら、サングラスをかけて、できるだけ戸外の光を浴びないように注意します。日本時間が昼なら、現地が夜でも起きているようにします。
短期出張のような場合は、このように現地に無理に合わせない方法もあります。実際には、人間の体が時差に順応できるのは1日に1~2時間程度で、10時間の時差がある場合は、現地時間に合わせるためには5日間以上かかる計算です。ですからどうしてもその間に時差ボケがきつい場合は、
- アモバン
- アルシオン
- マイスリー
等の『超短時間作用型』の睡眠薬や、『ドリエル』等の睡眠導入剤を使ってもいいでしょう。これらであれば、朝には作用が抜けているので副作用で悩むこともほとんどありません。
先生
ハニワくん
- 時差ボケの現象こそが、人に体内時計が存在する確固たる理由。
- 時差ボケは、『西へ向かうよりも、東に向かったほうがひどくなる』傾向がある。
- 時差ボケの影響を少なくするポイントを確認する。
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