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考察
『アブラハム・マズローの5段階欲求』とは、人間の欲求を5段階に分けて示したものである。その人間の基本的欲求を低次から述べると、以下の通りである。
- 生理的欲求(Physiological needs)
- 安全の欲求(Safety needs)
- 所属と愛の欲求(Social needs / Love and belonging)
- 承認(尊重)の欲求(Esteem)
- 自己実現の欲求(Self-actualization)
出典:『マズローの欲求5段階説』
この下から4番目に、『自己承認欲求』というものがある。これが今回のテーマの根幹にある要因である。デール・カーネギー の名著『人を動かす』には『自己の重要感』という概念について、こう書いてある。
ルール違反をした市民に対して、半ば権力を使って威圧的に降伏させようとしてきた警官に、次に会ったとき、素直にこちらから降伏してみた。
『とうとう現行犯でおさえられましたね。わたしが悪いのです。何も言うことはありません。先週、あなたから二度とこういうことがあれば罰金だと注意されたばかりですから。』
すると警官は、
『うん、だがまあ、ついそうやってしまうのは人情だろう。』
などと、穏やかな態度をとったという。それも、すべては彼の自己の重要感が満たされたことに原因があり、彼の自負心を満足させたことで、ことが穏やかになったのだ。
人間は、『自分がやっていることを認めてもらいたい』、『正当に評価されたい』、『誤解されたくない』、という願望を強く心底に抱いているものだ。『それ』を理解し、見抜いてあげて、そっと守る様に正当な評価をする。これだけで、相手の『自己の重要感』というコップに水は満たされ、そこからこぼれた水が、自分をも潤す結果になるだろう。
『誰の心の中にももっとも深く根ざしている願望は、自分の本当の価値を認めてもらいたいということです。他人の価値を認めなさい。そうそればあなたも認めてもらえます。』
とある歌舞伎町で名をとどろかせたキャバクラ嬢は、今回のジョセフ・マーフィーと同じようなことを言っていた。
『誰もが自分が特別だと思いたい。自分が価値のある人間だと、周りから認めてもらいたい。だから私は、彼らのやってほしいことを全部やってあげた。彼らの願望を満たしてあげた。』
そうして客のニーズを正確につかんだ彼女は、その店、そして東洋一の歓楽街で圧倒的な地位を手に入れることになった。
彼女の生き方には首をかしげるところもあるが、この点だけを断片的に評価するならば、高い評価をつけることになるだろう。彼女はジョセフ・マーフィーが言いたいことをよく理解していると言っていい。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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