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考察
『俳優やジャンルで映画を選ぶべきではない。』
キューブリックはそう考えていたようだ。このことを考えている人間は、この世に何人いるだろうか。おそらくパレートの法則から推測すると、20%程度になるだろう。ほとんどの人の動機はこうである。
『イケメン(エロい美女)が出ている』、あるいは、『流行りの映画』を、『芸能人もよく出没するあの映画館』で、『ファッションを気にしながら』、あるいは、『人目を気にしながら』、『映画鑑賞というステータスをスマートに過ごす』
もちろんそれでいい。そういう80%の人々がいなければ、映画界は消滅する。何十億もかけて最高のエンターテインメントを作ることが出来なくなる。だが、たった一度のこの人生で、真実をその眼で観たいのなら、よく、目を見開くべきだ。真実は、虚栄の栄光とはまるで比べ物にならない美しさを放ち、いつでもそこに、在る。
追記:ただし、私は現時点で映画を850本ほど見てきているが、『知られざる映画』でなければ感動を味わえないということは、ない。いや、500本ほどのときは、そう思っていた。
(なんでこんな面白い、心を打つ映画がマイナー扱いされているんだ!)
と思って、 メジャーな映画に対して、ある種の軽蔑の目を向けていたのだ。さしずめ、マイナー75%、メジャー25%くらいの感覚で、『本当に面白い映画』はマイナーにこそあると思っていた。だが、そこから更に映画を観ていくと、次第に(別にメジャーでも面白い映画はあるなあ)と思いはじめ、今の段階で結局、メジャーとマイナーとが、大体50%ずつほどになったのだ。今思うと当時の自分は、
『映画がわかっているのは俺も含めたわずかな識者だけなのだ!』
という思い込みに酔いしれたかったのかもしれない。確かに、ただ単に『流行だから』という動機で映画を観る人からは、軽薄さを感じる。だが、かつての私もその軽薄な人間の一人だったわけであり、そこに文句を言うのは筋違いなのである。それに、やはり私はそれだけの映画を観た中で、『最も音楽と物語がシンクロした映画』が、『タイタニック』だと思っている。あの映画は、3D映画のインパクトの力を借りた『アバター』がなければ、世界で最も観られた映画だ。そして監督は両方とも、ジェームズ・キャメロンである。
ということは、キューブリックの言う通りだ。私もそれで選ばないようにしている。しかし、『流行の映画を選ぶべきではない』とは言っていないわけで、流行の映画にもしっかりと『流行になるべく普遍的な価値観の演出』が施されている。流行の映画を生み出せる映画監督からは、その圧倒的な黄金律を心底から理解している雰囲気さえ漂う。とにかく言えることは、映画にとって重要なのは、『俳優やジャンル』でも『流行性』でもない。人の心をどれだけ揺り動かせるかだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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