まさしく上記の記事に喧嘩を売る話となる。実は、カナダ北部などの氷雪地帯に住む先住民族のエスキモー系諸民族の1つイヌイットの人たちは肉ばかり食べる。朝昼晩と、肉、肉、肉。『科学でわかった正しい健康法』にはこうある。
肉しか食べないイヌイットは我々より健康である!
イヌイットに会ってみたい。数十年前からイヌイットの存在そのものが、健康業会をいら立たせてきた。北極圏の酷寒のなか、彼らはほぼ肉、魚、脂質しか摂取しないという食生活を送っている。野菜はゼロに近い。果物もゼロに近い。炭水化物もゼロに近い。1日のメニューはこんな感じ。
- 朝食 肉
- 昼食 肉
- 夕食 肉
だからこそ、現代の栄養学の世界ではイヌイットの存在が厄介な問題となっている。こんな食生活を送っているのに、イヌイットが健康だからだ。摂取するカロリーの約7割を脂質からえているにもかかわらず、複数の観察研究が、僕たちの心臓と比べて、イヌイットの心臓のほうが健康であることを示したのだ。
ここにあるように、現代の栄養学の世界ではイヌイットの存在が厄介な問題となっている。普通なら冒頭の記事に書いたように、『肉ばかり食べていると成人病になり、寿命が短くなって早死にする』というのが王道の答えなのだ。しかし彼らは一日中肉ばかりを食べて、むしろ外国人よりも健康でいるのである。
更に本にはこうある。
肉には栄養学的にすばらしい成分が満載されているのだから。”1960年代に食肉には飽和脂肪酸が含まれているから健康に悪いという説がでてからというもの、肉にはすべての必須アミノ酸、必須脂肪酸、そして必須ビタミン13種類のうち12種類が含まれているということを、栄養学者たちはたいてい指摘するのを控えてきた”と、世界でも指折りの肉擁護派の論客であるガリー・トーブスは書いている。
”なかでもビタミンAとビタミンE、そしてビタミンB群すべてが、肉には豊富に含まれている”
あなたは疑問に思うかもしれない。なるほどね。そのステーキばっかり食べてた人は、1年間はたしかに生き延びたんだろう。だけど実際はどうだったんだろう?病気にはならなかったの?事実、彼は病気になった。肉の脂肪の部分をとりのぞいて食べたほうがいいという助言に従ったあと、具合が悪くなったのだ。だが幸い、『脂肪分の多いサーロインステーキとベーコンの脂で揚げた脳を食べたら、すぐに治ったんですって』と、タイショルツは言う。彼は82歳まで生きた。
健康を気にして『肉の脂肪の部分をとりのぞいて食べていた』が具合が悪くなり、『脂肪分の多いサーロインステーキとベーコンの脂で揚げた脳を食べたら、すぐに治った』というのである。全くおかしな話である。また、サルコペニアやフレイルの予防と対策には、肉・魚・卵などからたんぱく質を摂取することが必要不可欠になるわけだ。
筋肉量が低下し、筋力または身体能力が低下した状態。加齢によるものと、体を動かさなかったり、栄養不足、病気などが原因で筋肉量が減る場合のものとがある。
加齢によって筋力や精神力が衰える状態全般を指す言葉。働くことが面倒になると、ますます筋力が低下し、要介護のリスクが高まる。
高齢者にとってサルコペニアやフレイルといった問題は重要だから、
医者
と言う医者を何度もテレビで観たことがあるし、栄養の本にもそう書いてある。では一体、肉は食べていいのか、悪いのか。しかし実はイヌイットの人々は動物の、
- 肉
- 内臓
- 骨
- 脳
- 血
そのすべてを食べる。だから、脳や肝臓、あるいは骨に含まれているビタミンをしっかりと摂取していて、血も飲み干す。ビタミンA、E、そしてB群のすべてが肉には豊富に含まれているので、このあたりが彼らが健康でいられる秘訣だと考えられている。もしかしたらそういう風に、『肉を食べても健康な人』は、目に見えない部分で違う対策をとっていて、それが有効に働き、たまたま健康でいられるだけなのかもしれない。また『プラシーボ効果』の効果も大きそうだ。
思い込みによる効果。
『水曜日のダウンタウン』では、100歳の老人がタバコを毎日吸っていると言っていたが、タバコというのは健康に関する本で、それを推奨されることが限りなくゼロに近いものである。すべてに等しく『百害あって一利なし』と主張していて、健康とは真逆の方向に進んでしまうというわけだ。しかし、ではなぜ彼はそんじょそこらの人よりもむしろ長生きしてしまっているのだろうか。
つまり人間というものはソフォクレスの言うように、
ということなのかもしれない。
更にこの人間の神秘性について考えたい人は、下記の記事を見ると良いだろう。
参考文献