ハニワくん
先生
神々の住み家、神殿、神社、寺等が『高い場所』にある理由は?わかりやすく簡潔に教えて!
神と人の『距離』を意識したからです。
ハニワくん
博士
神々の住み家、神殿、神社、寺等が『高い場所』にある理由はいくつか考えられます。
- 神は人間とともに住むことはできないから
- 神が人間よりも優れて高いことを住居で誇示する必要がある
- 人間の行動を監視し、悪い人間に罰を与えるために、人間世界を一望できるところに住む必要がある
- 人間が絶対に近づけない天に住処を構えたり、厳しく多くの危険が渦巻く高山に住むことで、人間が近づくのを遮り、極めて厳しいところに作った
また『監視』というだけでは厳しさを覚えますが、大きな仏像があのように大きい理由は、『多くの人を見守る為』です。そう考えるとこれらの存在理由に『見守られている』という優しい温かさを覚えることができます。また、人間が一つ高い次元に行くためには、瞑想をするなりして自分の心と向き合うことが求められますが、その瞑想のレベルを高めるためには人が住む喧噪たる環境は、相応しくありません。そうした理由なども関係しているかもしれません。
博士
ハニワくん
先生
Contents|目次
『神』が住むべき場所
この話の続きだ。私は26歳のときに当時の日本の世界遺産のすべてを見て回り、その後も各地の自然や文化遺産等をたくさん見て回った。その時にやはり思ったのは、神社や寺等は必ず山等の高い場所にあり、到達するまでに一苦労するということである。曲がりくねった舗装されていない山道や、長い階段を歩き、たどり着くのは容易ではないのだ。例えば以下の写真は私が撮った世界遺産『紀伊山地の霊場と参詣道』の一つ、『那智の大滝』である。
これも高い山の頂上付近にあり、下記の写真のような熊野古道を歩いていかなければならないので、たどり着くためには結構ヘトヘトになる。
『世界の神話 神話の生成と各地の神話。神々と英雄の活躍』によれば、それはこのような事実が関係しているという。
- 神は人間とともに住むことはできないから
- 神が人間よりも優れて高いことを住居で誇示する必要がある
- 人間の行動を監視し、悪い人間に罰を与えるために、人間世界を一望できるところに住む必要がある
- 人間が絶対に近づけない天に住処を構えたり、厳しく多くの危険が渦巻く高山に住むことで、人間が近づくのを遮り、極めて厳しいところに作った
ここで出てきている『人間が絶対に近づけない天に住処』というのは、日本にある寺院や神社とは少し違う。北欧神話をベースにしたマーベルコミックスの人気作を実写化したアクション大作『マイティ・ソー』でもおなじみの『アスガルド』のような場所を指している。
アスガルドとは、北欧スカンジナビアの神話に登場する神々が住む要塞都市だ。このような『想像された世界』のこともこの中に含まれているということである。ちなみにこのマイティ・ソーは主神オディンの息子だ。
それぞれの神の住処
神話 | 主神 | 住処 | 補足 |
北欧神話 | オディン | アスガルド | |
ヴェーダ神話 | インドラ | スバルガ | 太陽を目にして世界を観察 |
ヒンズー教神話 | シヴァ等 | ヒマラヤのメル山 | |
中国神話 | 盤古、ヤオグア | 泰山等 |
それから下記の記事に書いたように、韓国の神、日本の神は『空から舞い降りた』シナリオだし、『かぐや姫』の世界で、かぐや姫を月から迎えに来る話も、やはり『人が太刀打ちできない存在が人の上にいる』という考え方があるのがわかる。
『上』と『下』に対する人の解釈
また下記の記事に書いたように、地球が平面だと考えていた昔は、
- 上:天使が空を飛ぶ天国
- 横:魔物や竜がいる異世界
- 下:鬼と溶岩がある地獄
という世界を想像した。『上にある太陽』は人々や地球の生命に生きるエネルギーを与えるが、『下にあるマグマ』は人を殺し、生命を生かさない。人の上に立つ者は上から大勢の人に指示をし、人の道に逸れた者は地面にひれ伏して人を見上げる。このような事実を考えても、神がなるべく上の方に住んでいるというのが自然な発想だったのだろう。
もし地球が平面なら人は『上と下と横』に何があると考えたかわかるだろうか?
仏像と瞑想
またこれは別の情報源だが、仏像があのように大きい理由は、『多くの人を見守る為』だという。先ほどの本にも『人間の行動を監視し、悪い人間に罰を与えるために、人間世界を一望できるところに住む必要がある』とあったが、そのような意味でも、神仏の像は大きく、そして神々の住処は高い場所に作られていったのだろう。
そしてこれは私が実際に多くの神社や寺院に足を運んで得た実感からわかることだが、その他にもう一つ、これらがそのような『人気のない場所』にあるのは以下の黄金律が関係していると見ている。
人間が一つ高い次元に行くためには、やはり瞑想をするなりして自分の心と向き合うことが求められる。その瞑想のレベルを高めるためには人が住む喧噪たる環境は、相応しくない。
さわがしいこと。『都会の喧騒』等。
- 神に仕えたい
- 修行したい
- 神(真理)に近づきたい
- 凡人の発想や常識から抜け出したい
等の理由を持った人間の為にも、それらの場所が神聖である必要があり、人里離れた場所にあるのだと考えるのである。
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