日本は戦後、GDP2位の経済大国になった。戦争に負け、世界で唯一核爆弾を落とされ、致命的なダメージを負ったというのに、そこから這い上がり、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国になったのだ。
国内総生産。つまり、国内で産み出された付加価値の総額。トヨタ車を1億台売って、大金を得たとか。
ちなみに2018年のGDPはこうなっている。
参考
世界の名目GDP(USドル)ランキング世界経済のネタ帳
現在は3位だ。中国に抜かれ、しかもその差は大きく離されている。4位のドイツといい勝負をしているレベルだが、戦争に勝ち、様々な利権を手に入れたアメリカ、日本人の10倍の人口である中国に対し、今でもなんとか食い下がる、不屈の精神を持つ民族だと言っていいだろう。
もちろん戦後ほどの勢いはないし、むしろ日本をけん引した大企業も低迷してしまっている現状はある。東芝は東日本大震災以降、原子力発電事業に手を出し、震災でダメージを負い、不正会計をして粉飾決算をし、隠蔽工作して信頼を損ね、
と株主に罵倒され、1万人を超える社員をリストラし、数多くのメイン事業を手放すことになった。また、『USJを劇的に変えた、たった1つの考え方 成功を引き寄せるマーケティング入門』にはこうある。
かつて日本の製造業を牽引した世界に誇るブランドの多くが苦境に立たされています。私が就職活動をした20年前にトヨタと並ぶ日本の誇りであったソニーは、当時は今のアップルのような存在でした。世界中の若者がCoolな『Sony』というブランドを愛して身につけたがっていたのです。それがあの当時ちっぽけだったサムスンにまで後塵を拝する日が来るなどとは想像できませんでした。シャープに至っては苦境を通り越してもはやその惨状は極まっています。度重なる大規模リストラがどれだけ多くの社員やその家族たちに切実な問題をもたらしているか。
- 東芝
- Sony
- シャープ
これだけのトップ中のトップをひた走る大企業たるリーディングカンパニーが、この現状。確かに、今の話をするなら、勢いは低下していると言っていいだろう。中国の勢いも、当時の日本のバブルの時と同じ流れであると多くの人が分析していて、いつかそれが崩壊するときが来るとも言われている。
リーディング。つまりリードする。そのビジネスモデルをリードする、見本になる企業。
しかし、今回考えるのはそこではない。あの時、戦後の日本が『高度経済成長ができた真の理由』についてである。五木寛之の著書、『大河の一滴』にはこうある。
当時の行政官の告白…『自分たちは分かっていた。あの工場が有明海に有毒な汚染物質を流しだしていたことは、当然のように理解していた。けれど、その時点では止めることが出来なかった。なぜかというと、それは当時の日本が飢えていたからだ。食糧増産のためには、農村に科学肥料を送る必要があった。もしもあの時点で汚染を恐れて工場の操業を止めていたならば、日本の復興は二十年ほど遅れていただろう』
もちろんすべての企業の飛躍の裏に、こうした陰が潜んでいるということではないだろう。だが、『龍馬伝』を観た人は、もう一度よく目を凝らし、あるいは思い出すべきである。岩崎彌太郎が作ったあの天下の『三菱』が飛躍するために必要だった最初の軍資金が、『戦争の為の武器売買』だったということを。
Wikipediaにもこうある。
慶応3年(1867年)、吉田東洋門下の福岡藤次に同行を求められ長崎へ行く。そのころ土佐藩は開成館長崎商会を窓口に、欧米商人から船舶や武器を輸入したり、木材や樟脳(火薬原料)、鰹節など藩物産を販売しており、吉田東洋の甥の後藤象二郎が弥太郎に主任を命じた。貿易商人ウォルシュ兄弟や武器商人グラバーと取引し、維新後グラバーは三菱に雇われた。坂本龍馬が脱藩の罪を許されて亀山社中が海援隊として土佐藩の外郭機関となると、藩命を受け隊の残務整理を担当した。
バックミンスター・フラーは言った。
『あなたはお金を儲けたいのか、それとも意味をなしたいのかを決めることだ。なぜなら両者は、お互いに相容れないのだから。』
これらの事実からあなたは何を得るか。
参考文献