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考察
ルソーが書いた自身の著書『人間不平等起源論』の文中にはこうある。
「人間が一人でできる仕事(中略)に専念しているかぎり、人間の本性によって可能なかぎり自由で、健康で、善良で、幸福に生き、(中略)しかし、一人の人間がほかの人間の助けを必要とし、たった一人のために二人分の蓄えをもつことが有益だと気がつくとすぐに、平等は消え去り、私有が導入され、労働が必要となり、(中略)奴隷状態と悲惨とが芽ばえ、成長するのが見られたのであった」
つまりルソーは、『人間は元々平等だったが、 その平等さを追い求めた結果、『不自然な不平等』が起きた』と言う。それが『法律』、『政治』、『家族』、『勤労』といった『社会制度』であり、地位や名誉、そして財産による階級の差異、差別化である。『家族』との関係をも『鎖』と表現するところは、円満にいっている家庭の人間は、理解できないだろうが、世の中には、複雑な問題を抱えている家族は、ゴロゴロいるのである。
例えば私などは、両親に29年間、クリスチャンになることを強要されたわけだ。
キリスト教徒である。
しかし私の心は一度も『イエス様』と叫んだことは無かった。何度も教会に行かされ、年末年始、日曜日を全てこれらのイベントに強制連行され、人生をどっぷりキリスト教の集いに、漬けさせられた。私にとっては『鎖』でしかなかった。実際には丸々29年、ずっと強要されたわけではなく、当然10代の頃に大反発を起こし、それから19で家を出ているわけだから、強制的に連行されていたのは、物心おぼつかない時代だけだ。
しかし、29歳で実家に戻ってくると、母親は未だに食卓でこれ見よがしに、辛気臭い声を出して祈りをささげ、私に聞こえるように押しつけがましく、『クリスチャンの崇高さ』を『暗に』強要してくる。つまり、心で『願われて』いたのだ。それは、私に人の心を理解する気持ちが微塵もなければ何ともないが、実の母親に『願われていること』を叶えてあげられない私の気持ちを、そこに加味しなかったことは、母親の罪である。
ルソーが言った、『法律』、『政治』、『家族』、『勤労』といった『社会制度』に加え、ここに『宗教』や『神』、『真理』、『愛』という要素が入ることで、より一層このテーマの奥は深くなる。我々は、この『鎖』という問題について、どういう結論を出すかで、人生の『居心地』に、大きな影響を及ぼすだろう。
ちなみに今では、私と母親の関係は良好である。それは、母親が私に信仰を強要しなくなったからだ。もちろんそれは、私が生まれて初めて、母親を最終的には殺すつもりで、意志表示をしたからだ。それをしなければ未だに私は、この『鎖』によって息苦しい人生を、強いられていただろう。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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