仏教の開祖 釈迦(画像)
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最初は『火種』だ。争いや不和の原因など、『火種』程度の物である。肩がぶつかったとか、くだらない嫌がらせをされたとか、妬み、嫉みが生んだ卑しい気持ちだとか、そういう、小学生時代なら往々にしてよくあること、その程度の発端に過ぎない 。しかし、その『火種』が溜まると、燃え上がって火事になることがあるのだ。その最たる形が『戦争』である。そう考えると『火種』を馬鹿に出来ない。
『割れ窓理論』とは、建物の窓が割れているのを放置すると、誰も注意を払っていないという象徴になり、やがて他の窓も間もなく全て壊される、という理論。ニューヨーク市長のルドルフ・ジュリアーニがニューヨークの荒廃した街を立て直すときに、大いに役立たった理論だ。捨てられた空き缶、電車や壁に無秩序に書かれた落書き、そして文字通り、割れた窓。こういう小さな『火種』を全て消化することに全力を注ぐことで、ニューヨークは浄化されたのである。
同じように、自分の心に積み重ねられた『火種』も、放っておくとやがて自分の身を滅ぼすような『大火事』を巻き起こすことがある。そう考えたら『割れ窓理論』同様、『火種』のうちにその『負の種』を浄化して刈り取ることを、怠ってはならない。
それは、ある人は『祈り』であり、ある人は『内省』であり、ある人は『話し合い』であり『和解』である。灰が吹き荒れる道を歩けば、煤(すす)はつく。その度に、払い落とせばいいだけだ。だが、たったそれだけの『大事なこと』を、軽んじてはならない。
法句経71。