キリスト教の礎 イエス・キリスト
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何もかも規制してしまうと嫌になるだろう。頭の中のことまで強く規制したところで、どちらにせよ人は言うことを聞かない。だからまずは、その事実を知ることだけで充分だ。『頭の中で情欲を抱いて女を見つめるだけで、姦通を犯したのと同じ』そう理解していれば、理解していない人よりも、何百倍も人として知的である。
それに、実は人が魅力的な異性を見て(SEXがしたい)と思うのは、 脳科学的に見れば普通の事なのである。日本文芸社『脳とカラダの不思議』にはこうある
一般の動物は、育てやすい季節に出産を行えるように発情期というものが脳の中にプログラミングされているが人間の場合はいつでもセックスが可能だ。これは、脳の中の大脳皮質が深く関係している。生殖に関するメカニズムを担っているのは脳幹にある視床下部であるが、人間の場合は大脳皮質の前頭連合野も性行動に深く関係している。もし、視床下部だけに性行動が支配されているとしたら、人はひたすら欲望の赴くままにセックスを求めて、社会的な秩序はあっという間に崩壊してしまう。
つまり、脳科学的に言えば、欲望をつかさどる脳の視床下部で 『SEXしたい』と思うことは普通であり、それを、発達した大脳皮質の前頭連合野で抑えることが出来るようになったのだ。ここでいうキリストの言葉は、 この『前頭連合野』を発達させるために働きかける『負荷』だったに違いない。
トレーニングを知っている人なら皆知っていることだが、筋肉というのは、まずトレーニングという『負荷』を身体にかけて、『筋繊維を壊す』ところから始まる。次に、『栄養』だ。筋肉の元となるたんぱく質をなるべく早めに摂る。その次に、『休養』である。寝ている間に、その『栄養』という素材を使って、壊れた筋繊維を補修するのだ。すると、ある一定期間『超回復』と言われる現象が起きる。『回復』では、元に戻るイメージだが、この『超回復』とは、 負荷をかける前の筋肉よりもパワーアップした筋肉が出来るということなのだ。
つまり、ヒョロヒョロの人はトレーニングをしなければいつまで経ってもヒョロヒョロの様に、 まず最初に『負荷をかける』ことが、『強化』への第一歩になるのである。 ここで言うならその一歩として、『前頭連合野』という脳の部位への『負荷』をかけるために、 『姦通を想像するだけでも罪だ』 と意識づけさせることは、『強化』の概念からして、理に適っているのである。だから、『まずはそれを知っておくだけで充分』だと言ったのである。
マテオによる福音書 第5章。