バブルの物語
■著者:ジョン・K・ガルブレイス
日本のバブル崩壊を予期していた、ガルブレイス。ケネディ政権でインド大使を務め、ハーバード大学で教鞭をとる同氏は、1636年のチューリップ狂の経験以来、何も変わらないある法則を見極めていた。
『個人も機関も、富の増大から得られるすばらしい満足感のとりこになる。これには自分の洞察力がすぐれているからだという幻想がつきものなのであるが、この幻想は、自分および他の人の知性は金の所有と密接に歩調をそろえて進んでいるという一般的な受け止め方によって守られている。』
確かに、ドストエフスキーのいうように、
『金こそは取るに足らない人物を第一級の地位に導いてくれる唯一の道である』
という事実はある。だが、その真理を歪曲して解釈し、自惚れたら最後。破滅への第一歩へと、道を踏み外したと戒めなければならない。
そういう謙虚さを人間は持てるか。各人の一生にそういう知性が、試される。