『ヒト』を最適化しよう。

あがり症に有効な『SSRI・ベンゾジアゼピン系抗不安薬・βブロッカー』

あがり症に有効な薬はいくつかあって、ここで取り上げるのは以下の3つである。

 

 

らの記事と併せて考えていきたい。これら向精神薬(中枢神経に作用して精神に影響を与える薬剤の総称。例えば、精神安定剤、抗うつ剤、鎮静剤、睡眠剤)の社会不安に対する効用は、本人が陥っている状況を打開し、克服へ向かって歩き出すきっかけを与えることである。しかし、向精神薬を服用するだけで社会不安が治るということはほとんどない。つまり、現時点において『他人に対する恐れを取り除く薬』というものは存在していないのである。

社会不安の治療における向精神薬の使用上の注意

  • 1.その薬による治療が本当に必要で、その薬が一定の効果をもたらす場合にのみ服用すること。効果も期待でいないのに(むしろがいがあるのに)、長期にわたってだらだらと服用してはならない。
  • 2.副作用がひどい薬は服用しない。あるいは、その薬の効果を副作用が上回ってはならない。
  • 3.医師によって定められた服用量を厳守する。
  • 4.あらかじめ服用期間を定めておく。あるいは、その薬の効果が現われているかどうかを定期絵t黄に医師に診断してもらう。
  • 5.薬剤治療は、心理面でのサポートと併用して行うこと。少なくとも定期的に専門家に診てもらうようにし、本格的な心理療法を受けるとさらにいいだろう。

 

SSRI(選択敵セロトニン再取り込み阻害薬)

SSRIは、うつ病の治療にも使われる薬であり、薬によってセロトニンのパワーをバックアップする、というイメージになる。

 

フルボキサミン

  • デプロメール
  • ルボックス

 

パロキセチン

  • パキシル

 

セルトラリン

  • ジェイゾロフト

 

エスシタロプラム

  • レクサプロ

 

特徴としては、

 

  • 副作用が比較的少ない
  • 効き目が現われるまで2~3週間かかる
  • 症状の改善率が高い
  • 中長期的な服用が必要

 

というものがある。この薬の特徴は、従来の抗うつ剤のようにさまざまな神経伝達物質に作用するのではなく、心理的な障害にもっとも関わりが深いといわれるセロトニンだけに作用し、神経終末の部分でセロトニンの量を正常に近い状態にすることころにある。このように必要な受容体にピンポイントで働きかける為、効果が高く、副作用も少ないとされている。『うつ病』に限らず、パニック障害や強迫性障害の不安を抑える効果もあり、社会恐怖の治療に対する有効性も研究によって証明された。このSSRIを服用すると、その副作用として勃起・射精が抑えられてしまうといい、EDの原因になる可能性がある。ただし、うつ病やあがり症が改善されるということを考えた場合、ED問題は二の次ということで、あえてアナウンスされていないのである。

 

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これらの記事も併せて考えていきたい。

 

SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)の使用法

  • 1.SSRIは、医師の指示に従って服用すること(禁忌があるため)。
  • 2.SSRIは、『全般性の社会恐怖』のみに使用し、軽度の『社会不安』や『内気』には使用してはならない。
  • 3.SSRIは、長期(最短で半年)にわたって、毎日服用すること。
  • 4.SSRIの効果が表れるのは、服用開始後1~3週間であり、それ以上の即効性はない。
  • 5.SSRIの服用者は、『社会不安』が抑制されることで、自分の不安を距離を置いて眺めることができるようになる。SSRIが服用者の考え方を直接変えるわけではない。少なくとも服用開始後しばらくの間は、服用者は不安を感じ続けるが、その不安によって激しく動揺することはなくなるはずである。
  • 6.SSRIには、気分を安定させる効果も期待できる(以前ほど気力の低下が感じられなくなる。)

 

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

ベンゾジアゼピン系抗不安薬は、脳内でホルモンの分泌や感情を司る部分に作用し、神経をリラックスさせるGABA受容体の働きを高める。強い不安を速やかに軽減させる効果が高く、苦手な場面に行く前に服用すると、リラックスしてそれに臨むことが出来る。※ただし、これらの精神安定剤を社会不安に対して投与する例は少なくなりつつある。

 

エチゾラム

  • デパス

 

アルプラゾラム

  • ソラナックス
  • コンスタン

 

ブロマゼパム

  • レキソタン

 

ロフラゼプ酸エチル

  • メイラックス

 

特徴としては、

 

  • 強い不安感を速やかに軽減する
  • ここ一番というときに用いる
  • 漫然と多量に服用してはならない

 

などがある。長期的な服用は、集中力の低下やふらつきなどの副作用があるので注意が必要だ。だが、『あがり症は成功体験の積み重ねによって克服することが出来る』の記事に書いた様に、『成功体験の為に使用する』と考えれば効果を発揮する。

 

前述したように、この薬の投与は減ってきている。不安を原因とする精神疾患、そして筋肉の硬直など一部の身体反応に対して高い効果を見せるが、本人の主観的な不安を抑えることはできるものの、対人関係における行動様式を改善するのにはほとんど役立たないからである。

βブロッカー(遮断薬)

βブロッカー(遮断薬)は、心臓の病気や高血圧の治療にも用いられる薬で、交感神経の働きを遮断し、心拍数を抑えたり血圧を下げたりする働きがある。これによって緊張や不安の身体の反応が抑えられ、落ち着きを取り戻せる。即効性が高いことで知られている。

 

カルテオロール

  • ミケラン

 

アテノロール

  • テノーミン

 

プロプラノロール

  • インデラル

 

身体反応、とくに、

 

  • 動悸
  • 震え
  • 発汗
  • 口の渇き

 

などを抑える薬として用いられるようになっている。この名が示すように、βブロッカーは体内のさまざまな器官に備わっている『β受容体』とういごく微小な部分に働きかける薬である。このβ受容体においては、アドレナリンやノルアドレナリンなどの神経伝達物質、つまりストレスホルモンが作用して、動悸、発汗、口の渇きなどを引き起こしている。だが、βブロッカーを服用することでこのはたらきを抑えることができる。

 

βブロッカーの使用法

  • 1.βブロッカーは、医師の指示に従って服用すること(禁忌が
    あるため)。
  • 2.βブロッカーは、日常生活の妨げとなるほど強い『遂行不安』や『あがり症』に効果を発揮する。一方、『全般性社会恐怖』、『回避性人格障害』、『内気』などに対する効果は期待できない。
  • 3.βブロッカーは、不安をもたらす状況がやってくるおよそ一時間前に服用すること。
  • 4.βブロッカーには、服用者の不安をやわらげる即効性はない。
  • 5.一方、βブロッカーは、不安を原因とする『身体反応』、(動悸、発汗、胸の痛み、口の渇き、震えなど)を抑える効果が高い。
  • 6.このことから、βブロッカーをしばらく服用することで、『不安』から身体反応が現われ、その『身体反応』ゆえに一層強い不安を感じる…という悪循環から逃れられるようになる可能性が高い。そのため、『不安』の症状ばかりに気を取られて、その時すべきことをおざなりにするということはなくなる。そうしているうちに、やがて『不安』の度合いが弱くなり、自己管理が可能になってくる。

 

副作用

これらあがり症に有効な薬のそれぞれの副作用としては、

 

SSRI

  • 胃のむかつき
  • 便秘
  • 眠気
  • 口渇

 

ベンゾジアゼピン系抗不安薬

  • 眠気
  • 目まい
  • ふらつき

 

βブロッカー

  • 倦怠感
  • 低血圧

 

が挙げられることになり、SSRIは、10~20%程度の人がこれらの副作用を感じることになる。また、アルコールとの併用は薬の作用を強めるので、必ず避けるように注意する必要がある。

 

参照:『他人がこわい あがり症・内気・社会恐怖の心理学』(紀伊国屋書店)『SAD社会不安障害』あがり症の治し方』(講談社)