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宮崎駿『僕は本当のことを言いまして、あんまりメッセージ性っていうので映画をつくってはいなくて、もっと俗っぽいところで「わはは」と言いながら、本当はつくりたいなと思ってる人間ですから。』

名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!

ふむ…。

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考察

『僕は本当のことを言いまして、あんまりメッセージ性っていうので映画をつくってはいなくて、もっと俗っぽいところで「わはは」と言いながら、本当はつくりたいなと思ってる人間ですから。もちろん真面目なものは真面目につくんなきゃいけないと思ってますし、子供のために作りたいとは思ってるんですけど。』

 

宮崎駿が引退会見で言ったのは、

『この世界は生きていくに値するんだってことを子供に伝えることが、根幹に無ければならないと思って今までやってきました。』

 

というものだった。私は個人的に、宮崎駿作品の大ファンである。しかしこうした内省記事を書くときは、誰一人としてえこひいきの対象にするつもりはないため、思う感想を素直に書くが、彼の言葉を今までずっと聞いていると、どうも話が二転三転することが多い。『メッセージ性はない』と言ったり、『子供の為にメッセージを送りたかった』と言ったり、引退すると言ったり、しないと言ったり。

 

どう考えたって、『ナウシカ』や『もののけ姫』に込められているのはメッセージ性だ。人と自然は共生して生きていくべきだ、とか、人間本位に成り下がってはいけない、とか、私はそういうメッセージを確かに受け止めて、WWF(世界自然保護基金)も、そんな『メッセージ』をバックアップするかのように、ナウシカという作品を推薦したのだ。

 

しかし私は彼が哲学者だということを知っている。自分では、

『私は思想家じゃないんです。文化人でもないんです。町工場のおやじだと思ってるんです。』

 

と言うが、若かりし頃の宮崎駿の言葉のチョイスは、哲学者そのものだった。ということは、彼は彼なりにある種の哲学を持っていると推測することが出来る。『美学』だ。『深い』のである。

 

例えば『もののけ姫』で、アシタカがカヤから貰った『大切な玉の小刀』。あれをあの後、サン(もののけ姫)にあげてしまうだろう。あれを表層的に見た現代人が、『カヤから貰った大切な物を、どうして他人にあげるんだ』と解釈するのは当然。しかし実は、当時の考え方なら、『あの行為は普通』なのだ。別に問題にはならない。詳しい参照元は今見当たらないが、その時代、大切な物は、自分が大切な人だと思った人に渡すのが当たり前だった。それで(どうして)という発想がなかったのだ。

 

あるいは、その前にアシタカが呪いを受け、村を出るために長い髪を切ったその時、後ろの方で年老いた町民の一人が頭を抱えて下を向くシーンがあるが、別に現代の人はこのカヤの小刀の件とは逆で、(髪を切ったくらいでなんで泣いてるの?)ということになり、対して気にも留めていないはずなのだ。

 

そういう風に、深いが、いちいち説明しないのがジブリ流で、事実、スタジオジブリ、プロデューサーの鈴木敏夫もこう言っている。

『別に全部をわかりやすく表現する必要はない。全部を理解させる必要はない。わかんないところがあっていいんです。』

 

そう考えると私は、彼らスタジオジブリの基盤を作り上げた中心人物たちは、『常としていちいち深い』と見るのが妥当であると判断するのである。二転三転させたり、『ファンタジーは創らない』と言ったりする『表層』の、隠された『水面下』には、常としていちいち深い、美学、哲学が隠されていると私は考えている。

 

 

 

 

MEMO

※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。

 

 

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