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考察
『精神分析を受けて欲しい』と言われたアインシュタインは、こう言った。
『残念ながら、ご要望にはお応えできません。私はまだ、分析されないままの暗闇の中にいることを望むからです。』
さて、あえて『曖昧のままでいる』という精神状態は、恋する乙女以外なら、どういう心境と言えるだろうか。私はよくわかる。何しろ、かつて同じ的を射たセリフを言ったことがあった。
では、これがなぜアインシュタインと同じなのか。一見すると単なる怠惰だ。それは最後まで読めばわかるが、『あえて曖昧のままでいる』という心理状態を好む理由は、私にはわかるのである。
『エネルギーの捻出』だ。人間は、『空白』があり過ぎる。例えば宇宙だ。
一体どうなっているのか。まず間違いなく宇宙の果てに到達することが出来なさそうだ。そう考えると、無性に腹が立ってくる。そこで『エネルギー』が生まれる。
(絶対解読してやる!)
というエネルギーが捻出されるのだ。迷路やパズルを前にして、湧き上がるエネルギーと同じだ。あのイメージで、まず人間がエネルギーを捻出する為には、目の前に『試練の壁』を用意する必要がある。私はこれまで、実に多くの偉人たちの一生を研究してきたが、彼らに共通しているのは、この『試練の壁』を乗り越えようとして、エネルギーの捻出に成功した、ということなのである。
試しに以下の記事を読むといいだろう。
つまり、最初にまず『強いられている』。病気や、差別や、貧困や、理不尽を。あるいは、『自分で強いている』。イチローはストイックに、岡本太郎の父親は、ライバルをブッダとキリストにさせる。それによってとにかく彼らには、『突きつけられている』。そして、それを乗り越えるためには、大きなエネルギーが必要となる。バネが、びよーんと伸びる為には、圧力をかけなければならないように、要は、アインシュタインは、そこにあえて『空白』を置くことで、『そこを何としても埋めたい』という、『無限のエネルギー源』を確保しようとしたのだ。私はそう推測する。
それが、冒頭で言った『同じ的』ということである。つまり、鉄鋼王、アンドリュー・カーネギーが、
『自分は生まれながらに他人を支配する人間だと密かに自分に言い聞かせることによって、人間は計り知れない力を身につけることが出来る』
と言ったように、『あえてやらない』、『あえて空白にする』、『あえて虚無とする』ことによって、そこに、
(もしかしたらそこを突破、解読、習得、マスター、出来るかもしれない。)
という、人間特有の『無限の想像力』を利用した、『無限のエネルギー源』の確保をすることによって、迷路、パズル、登山、オリンピック出場、等という目的を達成したときの、あの虚無感、脱力感、喪失感、これを失くそうとしていたのではないかと考えるのだ。
それは、吉川栄治が言うように、
ということであり、その『山の中腹』状態を、出来る限り継続させることで、『燃え尽き症候群』的な、『オリンピックシンドローム』的な、あの欠乏感を、自分の心に決して芽生えさせないように、『管理』していたのではないかと、考えるのである。
バーナード・ショーは言った。
これだ。ここにある『達せられた悲劇』こそが、私の言う『エネルギー源の喪失』である。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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