名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!
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考察
事件が起きた。普通に人生を生きていても、それはまるで日常茶飯事である。事件を起こす人間は往々にして凶悪で粗暴な人間だが、実は、目を凝らすと同じくらい『普通の人』もそこに混じっていることに気が付く。事故や事件は、決して他人ごとではない。どんなに自分が清廉潔白で生きているつもりでも、そうじゃない人の色が混じる社会という海に出ると、途端に色は濁り、あるいは染められてしまうものである。
例えば、車道に子供が急に飛び出してきた場合はどうだ。間一髪ブレーキが間に合ったとしよう。しかし、後続車から勢いよく衝突されてしまい、結局子供をはねてしまった。こういうことは決して空想の話ではない。あるところに『自分はそういうこととは無縁だ』と自負する一人の女がいた。慎重かつ堅実に人生を生きてきて、争いやトラブルを避けてきた。『人として真っ白』な経歴を持つ自負があった。彼女は結婚して、誰が見ても幸せそうな結婚式を挙げた。
それから数年経った頃、夫が毎晩のように酒を飲んで帰ってくるようになった。彼女からすれば、夫に女の影もあるように見えた。次第に抑えていた感情が漏れるようになっていった。夫は夫で、仕事が上手くいかずに、悩んでいたという背景があっただけで、別に浮気はしていなかった。
こういう夫婦のいざこざはよくあることだ。しかしその日ばかりは、酒の力も手伝ってか、いつになく喧嘩がヒートアップしてしまった。彼女は酒を飲んでいなかったが激昂して、我を失っていた。
『なぜ信用しないんだ!』と怒鳴る夫。
『正直に言いなさいよ!』と怒鳴る妻。
気づけば夫が血まみれで倒れていた。
刺さった場所が悪かった。病院に運ばれたが、夫は間もなく死亡した。彼女は自分のしたことを後悔し、絶望の闇に突き落とされた。そして次の日、その事件がニュースで流れた。
食事中に『ながら見』する視聴者。
(物騒だねえ。ま、俺には関係ないけどな。)
そしていずれまた同じような事件が起こるのだ。
(きっとそうに違いない!)
と性急に結果を決めつけてはならない。
(俺には無関係だな)
と性急かつ短絡的にその話を処理してはならない。これは、『普通の人』なら誰しもが陥る可能性のある、性急という過ちである。
私の母親は、私が吃音症の部下に対し、甘えが出ないように厳しく指導をしている姿を見て、『いじめ』を連想し、私を非難した。しかし私は、その時点で彼との付き合いは5年、いや、小学校で知り合ったことを考えれば15年以上の関係性だった。彼には最初、これでもかという愛を注いでいた。仕事中にゲームをやることは当然。息抜きは必要だからだ。メリハリをつけるなら何をしてもいい。私はそう考える人間だ。給料袋にも手書きで『お疲れ様』と書いた。それくらい部下に愛情を注いでいた。
だが、ある経営者は言った。
『この植物見てください。水をあげないと枯れるでしょ?でもね、あげすぎても腐るんです。教育も同じですよね。』
私は部下に水を『あげすぎた』のだ。彼らはとても軽薄で、無責任な人間になった。自分が受けられる私からの恩恵をひた守ろうとし、捏造、隠蔽、越権行為をするようになった。そうして私は部下に対して『本当の愛情』を向けるようになったのだ。しかし母は、かつて私が非行に走ったことも手伝って、『私が加害者』であるという図式を想像し、私を非難した。そして、
母
とさえ言った。私が真の愛情に目を向け、真の教育をしているというのに、それに対する評価が真逆だったのだ。私は別に、慣れていた。10代の私ならこの件で心を捻じ曲げ、深い非行に走っただろう。だが私は10代の頃に、再三再四、こういう誤解を受けて育った。だからこれくらいの誤解で心が捻じ曲がるようなやわな精神を持ち合わせていなかった。しかし、忘れなかった。このことをそれから数年後に持ち出し、謝罪させた。今では母親は、この部下が毎日のように家に持ってくる『反省文』をポストから出し、私専横の受け取りボックスに入れる日々が続いている。
つまり、あれから更に5年が経った今、部下はいまだに遅刻をし続け、その反省をする毎日を送っているのだ。その反省文が入った封筒を取るたびに、母親は私のいる心境を想像するだろう。私はこういう部下の面倒をもう10年見ているのだ。
『人間のあやまちは、すべて性急というヤツである。』
何事も性急に決めつけてはならない。現実はもっと複雑な事情が入り組んでいるのだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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