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考察
カントはこうも言った。
とにかくあるのは『モード』という方式、様式、形式である。どうやら、私が中学生時代に思って、そしてそれを言ったら異端児扱いされた、かつての違和感と葛藤への疑問と、同じ類の葛藤をカントがしていたようだ。そして当然、何の実績も無い、精神未熟で、お金もない、年齢も低い私のその葛藤はおざなりにされ、カントほどの人物のそれと一致していても、そもそも(本当に一致していたのかよ)と言われて、終わりだ。理不尽な話だが、今は別にそれについていちいち過剰反応しない。とにかく私も、かつてそういう風に思慮を張り巡らせた人間の一人だ。
(何なんだよ法律って。誰がそれを決めたんだよ。誰かがそれを決めたんだよな。そこに俺はいないぞ。俺の意志はどうなるんだ。それをないがしろにするのか。宗教はどうだ。親が俺に強要する宗教はどうなんだよ。他の宗教は?他の国の法律は?何が正しくて、何に従えばいいんだ。どいつもこいつも間違っているのに、『正しい』と認知されている。そして俺自身も、それに表層的に従い、それに則って行動すると、『正しい』と認知される。たとえばクリスチャンになって毎週日曜日に教会に行けば、両親や、その周りの人間関係から『正しい人間』という太鼓判を押される。だが、その正確性は疑わしい。)
しかし、表層的には従わなければならない。心の本音と、確かにあるこの意志は違うことを叫んでいても、それを主張し、群を抜いてしまうと、出る杭として打たれる。
オスカー・ワイルドは言った。
私は自分の事を『天才』と言ってはいけない。一生ダメだ。
ダリはこう言い、
こうも言ったが、『天才になるには天才のふりをすればいい。』私が目指すところは天才というよりも『人格者』の為、そうすることはない。しかし、その他大勢の一人、かつ、烏合の衆に成り下がることも絶対にしない。とにかくオスカー・ワイルドが言いたのは、『出る杭は打たれる』ということであり、カントの言うように、モードに従えないのであれば、それは『異端児』となる。人間の『四聖』に数えられる、
孔子、
ブッダ、
キリスト、
彼らは皆その『常識(モード)』から外れていたことによって、誤解されていたり、抑圧を受けていた。孔子は、今でこそ中国を代表する大学者や聖人とされているが、同時代人の多くからは、出来もしないことをしようとしている、
身の程知らずや物好き扱いされていた(憲門第十四-四十)。ブッダも、カースト制度を否定したことで、バラモン教から白い目を向けられていた。ソクラテスやキリストなど、無実の罪で処刑されているのだ。
これらのことを考えても、中学時代に私が葛藤した思慮は、間違っていなかった。それを言ったら異端児扱いされたが、しかし、それこそがこの違和感が真理に密接していることの証明だったのだ。
ゲーテは言った。
『奴隷』に成り下がれば、異端児扱いされないだろう。杭としても出ない。だから叩かれないし、当たり障りない人生を送れる。だが、私は奴隷には成り下がらない。たった一度の人生だから。
アリストテレスは言った。
意志を埋没させ、人や『モード』に服従することは、奴隷を志願する行為と等しい。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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