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考察
これはもちろん洋服のことではない。『人間が』ではなく『人間を着ているもの』だ。人間が着ているだったら洋服になるかもしれないが、『人間を着ている』ということになると、そうではなく、それ以外の身にまとうもの、それによって人の見た目や印象、影響が変わるもの、ということになるわけだ。
たとえば、学歴、役職、職業、地位、名誉、財産、こういった『ある種の洋服』は、お洒落な洋服のそれと同じように人間の価値を変化させるのである。しかもその中で、『人間を着ている』ということなのだから、『人間=洋服』という考え方で考えなければならない。人間というものは、人間が勝手に決めた名称である。猿や犬、あれらも全て、人間が勝手に決めた名称である。
そう考えると、『人間』というものは、おそらく『学ぶ、食べる、寝る、仕事をする、納税をする、スポーツをする、結婚をする』などということが『当たり前』だという考え方をする動物の一種である。しかし実際のところは、それをしなければならない、という絶対的なルールなどない。
『しなければならないからしている』ところがあるからこそ、利便性の向上とともに、面倒だった手間が省けて、喜んでいるのだ。だとすると、現在強いられているあらゆる『しなければならないこと』は、最初からしなくてもよかった、という可能性が高い。
『人間を着ているもの』というのは、この『一切の既成概念や固定観念に支配されていない本質』のようなものである。本質、本音、本性、これらの実態が、『人間』を着ることによって、『人間らしい人間』が生まれることになる。結婚をしたり、人に見栄を張ったり、失敗して挫けたり、暴食して病気したり、ということは、実に人間らしい人間の姿だ、ということになるわけだ。
だが、何度も言うように、それが『本当にあるべき姿』かどうかは、首をかしげざるを得ない。つまり、『偉そうな人に偉い人はいない』と言うが、地位、名誉、財産という『人間が勝手に決めた人の価値を決める称号』というものがあったからといって、その人が本当に偉く、正しいかどうかはわからないということだ。
ソクラテスは言った。
そういうことなのである。また、そこまで考えれば、『その人が着ているものを無視することを学ばなければならない。』ということの意味も見えてくるようになる。
孔子の超訳記事に、
と書いたが、そもそも、ラッセルが言うように、
ということなのだから、その人が着ているものなど、当てにならない。大富豪の息子だからといって、連続殺人をしてもいいということには絶対にならない。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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