トマス・ホッブズ『社会をつくるまえの人間の自然状態が戦争であったこと、しかも、いわゆる戦争ではなく、すべての人に対する、すべての人の戦争であったことは、否定できない。』

名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!

ふむ…。

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考察

まずトマス・ホッブズは、『いわゆる戦争ではない』と言っているのだから、パッと思いつく、あの戦争のことではないわけだ。だとしたら、考えられるのは『対立』や、『抗い』、『競争』、そして『葛藤』のことである。

 

 

まず普通に考えて、『社会』がないのなら、当然そこには『社会制度』、つまり、学校も会社も、お金も法律も家族も、そういった概念自体がないのだから、当然『国家』もないわけで、人々はどこにも帰属することが出来ないということだ。組織、コミュニティ、グループ、チーム、仲間、友人、家族がいないのだ。だから人間が全員、孤独で、孤立しているのである。

 

そうなると、例えば今、世界の国々が、他国の悪口を言って盛り上がっている様に、あるいは最低最悪のケースではテロリズムが行われている様に、『異なるチーム同士の対立や競争』がなくなるわけだ。そうではなくて、『70億人全員が、一つ一つのチーム』ということになるから、『どこのチームは荒れていて、どこのチームは平和である』という発想はなくなる。どこのチームも同じようなレベルで、脅威にさらされることになる。

 

そうすると、例えば、今、戦争やテロの標的に遭う悲劇的な環境を強いられている人と、そこから遠く離れた場所で生活している人とでは、印象が全く違ってしまい、『あの国は危険だから』とか、『あの組織はテロリストだから』とか、そういう言い回しが出来るわけだが、そうなってしまうと、それが出来なくなる。

 

例えば、『城壁』がなくなるイメージで、日本で言うなら、日本という大きな城の城壁があるからこそ、守られていた治安や、生活があったわけだが、その城壁がなくなるのだから、『個人レベルの城壁』にまでランクダウンしてしまうわけだ。

 

そうすると、もうそこにはほとんど『城壁』というものは、武器も法律も格闘技術も無いし、ほぼ無いに等しいわけで、だとしたらその人を評価する時、『治安が良い』ということにはならず、むしろ『危険だ』ということになってしまうわけである。

 

 

そういう『危険な状態』、『常にリスクにさらされている状態』は、『平和』ではないわけで、だとしたらその対義語の『戦争』という状態になってしまうことになる。まず考えられるのは、こうした発想である。そしてもう一つは、『葛藤』についての問題だ。

 

ダンテは言った。

 

聖書における『ヘブライ人の手紙』には、『父が子供を叱るとき』について、こう書いてある。

『神が自分の聖性を子に与えようとしているのだ』

 

つまり人間には『聖性と魔性』の両面がある。

 

 

その内、父が子を叱った場所には『愛(聖性)』が宿り、『魔が刺した』人間には『罪(魔性)』が宿っていることになる。だとしたら、見えて来るのは『聖性を優位にし、魔性を劣位にする』ということで、そこにあるのは、魔性と聖性の真剣勝負である。更に言えば、昨今一部の狂信者が世界を騒がせているが、イスラム教における『ジ・ハード(聖戦)』とは、何も人を惨殺することを許可する、という凶悪な概念ではない。

 

『神の為に奮闘する』ことを意味し、つまり、その『神』というものは、しばしば『愛、真理』と『=』であると考えられるわけで、例えば、『人に裏切られ、殺意を覚えた』というとき、そこに現れるのは間違いなく『魔性の疼き』であるわけだが、しかし、それを聖性の力で劣位にさせよう、という『闘い』こそが、この『ジ・ハード(聖戦)』なのである。

 

もし、『社会』が無いのなら、法律も家族もないわけで、だとしたらそこにいるのは、『倫理も、法律も、守りたいものも、守るべきものも理解していない、混沌とした人間』なわけだ。それらの外部要因に一切影響を受けていない人間がそこにいる。だとするとその人物は、まるで鎖に繋がれていない猛獣そのものである。

 

自分の気の向くままに、突き動かされる衝動のままに行動する。そんな猛獣がそこら中に放たれていることを考えたら、それは間違いなく、『平和』ではない。だとしたらそこにあるのは、その対義語の『戦争』状態である。フランスの哲学者、ルソーが書いた著書『人間不平等起源論』の文中にはこうある。

「人間が一人でできる仕事(中略)に専念しているかぎり、人間の本性によって可能なかぎり自由で、健康で、善良で、幸福に生き、(中略)しかし、一人の人間がほかの人間の助けを必要とし、たった一人のために二人分の蓄えをもつことが有益だと気がつくとすぐに、平等は消え去り、私有が導入され、労働が必要となり、(中略)奴隷状態と悲惨とが芽ばえ、成長するのが見られたのであった」

 

 

つまりルソーは、『人間は元々平等だったが、 その平等さを追い求めた結果、『不自然な不平等』が起きた』と言う。それが『法律』、『政治』、『家族』、『勤労』といった『社会制度』であり、地位や名誉、そして財産による階級の差異、差別化である。

 

金も含めた一切の社会制度は、全て『人為的』であり、決して『自然』ではない。従って、それによって生まれた権利や、自由という概念は、幻想に過ぎない、という考え方も出来るわけである。しかし、その社会制度がないことによるデメリットというものも、今回のトマス・ホッブズの言葉から内省して、考えることが出来た。

 

 

MEMO

※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。

 

 

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