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アンドレ・マルロー『死体を前にして初めて『なぜ』とつぶやいた時、この世に人間が生まれたのである。』

名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!

ふむ…。

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考察

人が、人の気持ちを理解できるようになった最初のきっかけは、『痛みの共感』だったという。歩いていて小指をぶつけた。どこかの角にすねをぶつけた。他人がそういう目に遭うのを見たとき、

 

(痛そう!)

 

と思ったのが、人の気持ちを理解した最初だったということである。自分も同じ目に遭ったことがある。だから、目の前で同じ目に遭っている人を見て、おそらく、あの時の自分と同じ感情を抱いているのだろう。と思う。そういう風に、まず『自分の痛み』が先にあることが前提だったのだ。だから人間は、どんなにあがいても『自分勝手』だ。どんなに自分が、人の気持ちを理解できる、配慮ある、やさしい人間だと思っていても、それは『自分勝手』かつ、『人間本位』である。

 

では、知らぬ間に踏み潰している『虫』の命は?道路を埋め立てるときに死に追いやる様々な生命の尊厳は?『痛い』どころの騒ぎではない。『命を失った』のだ。『命を失ったことがない』我々が、彼らの痛みを、彼らの気持ちを理解できるわけがないのに、我々は、何もかも知ったような気で、地球の覇者のような顔をしてこの人生を生きている。この世に、『害虫』と人間が共生できることを主張している人間はいるだろうか。『害虫』というぐらいだから、人間の天敵のようなものだ。それと共生することは、人間が絶滅することになる。あらゆる生命に天敵がいるように、どちらかしか生きれないことがあるのだ。

 

虫

 

彼らからしたら我々人間はさしずめ『害人』。しかし自分たちは、『そちらこそが害虫だ』と言って、自分たち人間の生存を優先している『人間本位』な生き物なのである。それ以上でもそれ以下でもない。決してその絶対的事実を、捻じ曲げてはならないのである。『戦争』だってそういう発想が発端だ。『そちらにこそ非がある』と言って、相手に鉛玉を撃ち込み、命を奪って自分の思想を正当化する。

 

だが、そう考えると虚しい。人間はそんなにも愚かな生き物なのだろうか。人間には、もっと別の何か、無機質ではない心温まる情緒があるのも、確かに感じているのだ。その正体は、『心』である。物を考え、それについて憂い、嘆き、そして踊る。人間が単なる無機質な物体ではなく、人を思い、命を尊び、有限を理解し、自然を愛する温かい存在だと感じるのは、人間に、『心』があるからなのである。『心』があるのが人間。すべての『心』なき言動を慎むべく理由には、我々人間が、『人間』としてこの世に生まれ、それを生きていく為に必要な、条件なのである。

 

確かに我々は人間本位かもしれない。だが、大切な人が死んだ。昨日まで動いていて、話をしていたその彼、彼女がその命を落とした。それについて憂い、悲しむ。それでいいのだ。それが『人間』なのだ。人の命を奪い、他の命を奪い、それについて何も感じないような生物は、『人間』ではないということを、忘れてはならない。我々人間は愚かで、罪深く、そして尊い生命なのである。

 

心

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