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考察
マイケル・サンデルの著書、『これからの「正義」の話をしよう』にはこうある。
『フランスのレジスタンス』
『これからの「正義」の話をしよう(P293)』
話題を家族の責務からコミュニティの責務に移そう。第二次世界大戦中、フランスのレジスタンス運動のメンバーは、飛行機でナチス占領下の上空から爆撃を行っていた。向上や軍事施設を標的としていたものの、一般市民の犠牲者を出すことは避けられなかった。
ある日、ある爆撃機のパイロットが指令を受け取り、標的が故郷の村であることを知る。(この話の真偽は定かではないが、興味深い道徳的問いを含む)彼はその任務を免除してほしいと願い出る。昨日遂行した任務と同様、この村の爆撃がフランスの解放という目標に必要であることに異存はないし、自分がやらなければほかの誰かがやることもわかっている。
それでも彼は、自分の家族や村の仲間を殺すかもしれない爆撃はできないという理由から、二の足を踏む。たとえ正しい大義があっても、この爆撃の実行は、特別な道徳的過ちになると彼は考える。このパイロットの姿勢を、あなたはどう思うだろうか?称賛するだろうか、それとも一種の弱さと見るだろうか?
フランスの解放という大義の下で、民間人の犠牲者は何人まで正当化されるというより大きな問いは、ここではひとまず措く。このパイロットは、任務の必要性や失われるであろう命の数を問題にしているのではない。彼にとって肝心なのは、それら特定の人々の命を奪う人間にはなれないという点だった。
パイロットが躊躇したのは、単なる臆病からだろうか?それとも、道徳的に重要な何かの表明だろうか?われわれがこのパイロットを称賛するとすれば、それは彼の姿勢に村の一員としてのアイデンティティを認めるからであり、彼の躊躇に反映されている人格に敬服するからである。
あくまでも『称賛するとすれば』だ。マイケル・サンデルは、パイロットが躊躇したのは、単なる臆病からだろうかそれとも、道徳的に重要な何かの表明だろうか?という『二つの選択肢』をこちらに投げかけているが、いや、もう一つあるだろう。
それが、
この記事で投げかけられている、『自分の身内だからといってえこひいきして良いのか』という問題である。このパイロットは、『一般市民の犠牲は避けられない』ということがわかっていて、『昨日遂行した任務』があるわけだ。だとしたら、その『昨日殺された一般市民』の家族や身内は、どうなるのだ。『彼の躊躇に反映されている人格に敬服』するタイミングは、『昨日遂行されるはずだった任務を遂行しなかった』タイミングだったはずだ。
まあ、もっとも、どこに着目したって、粗ばかり出て来る。誰が正しいという話にはならない。『戦争』自体が、悪の根源なのだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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