名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!
『今日、世界中の国々は自分たちの国境警備に努力を払い、工夫をこらしています。しかしながら、同じ国々は、そのようにして守っている自国の内部で、人々がどれほど貧困と苦しみのために淋しい思いをしているかについてはほとんど知っていません。彼らの努力を、これら無防備の人々へのいくばくかの食物、避難所、医薬、衣類に振り替えられたなら、世界は必ずやより平和で、より幸せなものになることでしょう。』
要は、富む人が持つお金を、貧しい人のところへと移せば、世界の均衡が保たれ、平和になるという話だ。国境警備の例以外にも事例はたくさんあるわけである。だが、だとしたらその『お金』は、どうやって捻出するというのか。お金を稼ぐためには、その『貧しい人と同じ思想』ではダメだ。それはわかりきった話だ。その人の思想は、『お金を稼がない思想』なのだから。だとしたら、『お金が稼ぐ人の思想』と、『そうじゃない人の思想』があっていい、ということになる。
では、『稼ぐ人』は、どういう手段を使ってもいいのだろうか。例えば、内職で一日中働いた人が、日給3千円を貰った。その『てこの原理』とは桁違いの『てこ』で、少しの入力で、大きな出力を生む、お金持ちがいたとする。だが、彼は倫理的に問題があるのだ。だから金をたくさん持っているのである。
少し斜に構えた言い方をすると、マザー・テレサは、『この人たちから金を取ろう』というわけだが、論点はそうではなく、『その金の稼ぎ方をやめよう』とか、あるいは、『金の存在は本当に正しいのか』という部分のはずである。
ルソーは言った。
そこに書いたルソーの著書『人間不平等起源論』の文中には、
「人間が一人でできる仕事(中略)に専念しているかぎり、人間の本性によって可能なかぎり自由で、健康で、善良で、幸福に生き、(中略)しかし、一人の人間がほかの人間の助けを必要とし、たった一人のために二人分の蓄えをもつことが有益だと気がつくとすぐに、平等は消え去り、私有が導入され、労働が必要となり、(中略)奴隷状態と悲惨とが芽ばえ、成長するのが見られたのであった」
とある。つまり、『この社会制度自体に問題がある』というぐらいの、意見を言わなければならない。そうじゃなければ、目の前に見えている景色について、ただ、
(貧しい人がいる。しかし、世界には富む人がいる。だとしたら、その人たちのお金を、少しばかりこの人たちにあげれば、均衡が取れて、皆がハッピーだ。)
という感想を持つだけになるだろう。例えばその人たちを助けることで、当社の部下の様に、『何もしなくても、周りが勝手に援助してくれる』と思い込む、ろくでなしの馬鹿が育ったら、マザー・テレサは責任を取れるのだろうか。自分たちの手で作り上げて、立ち上がって生きていく。そういう姿勢で、人々は皆、生きる努力をしているのではないだろうか。それを『助けてあげたい』というのは、いささか私から見れば、首をかしげる。
いや、人を助けること自体はもちろん、極めて尊いことなのだが、何かこう、金を寄付すればいいということだけではない、という気がしてならない。それは多分、こういうことを言うマザー・テレサの様な人間がいても、尚、変わることのない、この地球上に住む人間のシステムや、植えついている本質といった部分が、私の首をかしげさせているのだろう。
例えばマザー・テレサは『異宗教でも関係なく慈悲深かった』というのだが、しかし現在、『イスラム国の人々に、キリスト教徒が迫害されて、殺されている』という事実がまかり通っているのである。このことを考えた時、私はもっと本質的な部分に目を向けて、そこにテコ入れをしなければ、私はこの世から永久に争いが無くなることが無いような気がしてならない。
そうは言ったが、確かにマザー・テレサの意見も一理ある。我々人類は、みんな兄弟姉妹。そう考えた時、人々はあまりにも排他的で、虚しい見栄と虚勢に目を曇らせ、道を見誤っている、という印象を強く得るのは、マザー・テレサの言う通りだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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