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考察
『人間はみんな死にます。川端康成さんも、三島由紀夫さんも、遠藤周作さんも、つい最近は北杜夫さんも、みんな死んでしまった。私のように90まで生きてごらんなさい。親しい人間は全部死んだということが、よくわかります。だからもう、私は死ぬことも怖くないし、病気も気にしません。』
自分の身の周りにいて、当たり前だと思っていた人。身内や、友人。今ならテレビで当たり前のように見る人。明石家さんま、北野武、タモリ、ダウンタウン、とんねるず、ナインティナイン、SMAP、安室奈美恵、サザンオールスターズ、彼らが死んだら、我々はどう思うだろうか。瀬戸内寂聴にとって、三島由紀夫らは、そういう存在だったのだ。
もちろん、知り合いという点で、更に感慨は深いものである。『いて当たり前』だった。そういう人が、全員死んだのだ。その心境は、どういうものだろうか。私は、17歳で父親を亡くしたから、少しは分かるつもりだ。何しろ私はそれまで、(親なんて死ねばいい)と思っていたのに、いざ死ぬとなると、(本当に死ぬんだ。人って。)という発想が、頭をよぎった。
死なないと思っていたのだ。心のどこかで。
イタリア、ルネサンス期の軍人、チェーザレ・ボルジアは言った。
人間は、『死ぬ』という事実を真正面から受け止めた時、見える世界が変わってくる。私がそうだ。私はそれ以来、『悔いの無い人生を生きる』ことが人生のテーマになり、そのテーマよりも優先することがあってはならないと考えるようになった。だから周囲の人間とは着眼点や判断基準が異なり、当然の様に、ズレが生じて来た。10代後半~20歳前半という時期は、誰も『死』について考えていないからだ。
私はそれまで、人からどう見られるか、何と言われるかを気にするような、同調的で、追従的な、安易で軽薄な、勇気のない、男の風上にも置けないような、どこにでもいる10代の少年だった。しかし私は、父親の死を通して学んだことがあまりにも大きかった。
人は、死ぬのだ。
悔いの無い人生を。
関連リンク:
『このところずっと、私は生き方を学んでいるつもりだったが、最初からずっと、死に方を学んでいたのだ。』byレオナルド・ダヴィンチ
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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