考察
人を幸せにする事に関して、『損』をしたような気分になることがある。このユダヤの格言を考えても、結局は相手に香水がふりかかっていい匂いがし、こっちには数滴しかかからないのだ。効力が桁違いである。
しかし、それは自分の心が捻じ曲がっているか、思慮が浅いと考えた方が良い。香水をふりかけたということは、人を幸せに出来る『香水』を持っているということなのだ。
だとしたら自分にもそれをふりまけばいい。しかも、その香水で人をも幸せに出来、さらにはその時、自分にもその香水がかかるのだから、もうこっちはウハウハではないか。
(相手だけ得をして自分が損した)と思ってしまうのは、損得にとらわれ過ぎて結局『損』をする為、止めた方が良い。
私は以前、少し理不尽な目に遭った。どの店かは特定されるので言わないでおくが、その店でいろいろと選びたかったから、少し予約より早めに来たのだ。
すると、スタッフが私を『あまり待たせてはならない』と思ったのか、私を早めに席につかせた。だが、私はまだいろいろと選びたかった。だから席に座り、少し選ぶ時間を作った。
すると私の後ろでスタッフが、(早くしろよ)と言わんばかりに、足をタンタンと貧乏ゆすりのように揺らし、私の決断が遅いことにイライラし始めた。
私は理不尽だと思ったが、相手が女性ということもあり、何も言わずに無理矢理その人のために急ぎ目に決めることになった。私は普段、こういう理不尽があれば怒鳴り散らすほど理不尽が嫌いなのだが、そのすぐ後に、
(彼女は彼女なりに、私を待たせまいと思って早めに席に呼んだんだから、悪気はないだろう。)
という『正解』が頭に浮かんでしまい、私の方が我慢することでその場が丸く収まった。
しかし、人間というものはときに正解が何であるかが頭でわかっていても、心の整理がつかないときがある。私は人に主導権を握られるのも大嫌いで、せっかちな人間で、人にこういう負を撒き散らす人間も嫌い。
一体どうすればこの問題を解決できるのか。そこで私が考えたのは、まず、『彼女をボコボコにぶん殴って、怒鳴り散らして、二度とその店に来ない』という選択肢だった。
しかし、それは現実的ではなかった。それをしたら警察沙汰になるし、男としての価値も格段に下がる。では、どうすればいいのか。自分のこの揺れ動く感情を押し殺し、『なかったことにする』ということは、未熟な私では出来そうもない。
私は考えた。彼女にプレゼントをあげようと。
私はそれ以来、彼女にあるお土産を持ってくるようになった。すると、最初こそ下心を疑われるような方向にも傾きかけたが、私に一切そういうことがないことがわかると、 次第に彼女が私を敬うようになった。明らかに違う目を向けるようになったのだ。
そして、恋心さえ抱くようになってしまった。しかし私にはそういう気持ちはない。私はそういうつもりではないことを教えるために、彼女ではなく、『彼女ら』に渡すようにした。つまり、その店にいる全員にお土産を渡すようになった。
気づけば皆は私に敬語を使い、私に対して失礼のないように慎重に接するようになった。これは、私の望んでいた人間関係だ。私は最初からこのように接してほしかった。しかし、人間というものは見た目や自分の思い込みで判断し、その人間の評価を誤謬することがある。
私がふりまいた香水で、彼女らは毎回幸せそうだった。そして私もそれを受け、『理不尽な思いをする』ことがなくなり、その時の不幸な感情と比べた時、私は幸福だった。
そして、自分にそういう負の感情を浄化し、プラスに変える能力があるということを証明したことで、更に『その後の幸福』も約束され、幸福の連鎖が始まった。
全ては私が『自分から香水をふりかける』ことを 決断したことから始まったのだ。
※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。
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