ユダヤの諺『金銭は無慈悲な主人だが、有益な召使いにもなる。』

考察

金に支配されるのではなく、逆に支配しなければならないという事だ。

 

根本に立ち返って考えるのだ。『金』を創ったのは、人間である。その人間は金を、『支配する為に創った』のだろうか。あるいは、『自分の主人になってもらう為に創った』のだろうか。それでもう答えは出ているのである。『敵視』するから『無慈悲』だと思うのだ。

 

 

例えば私は以前、警察が嫌いだった。それは、自分が道路交通法違反に対する、罪の意識がなかった時代だ。パトカーがぬっと曲がり角から現れた瞬間に(イラッ)とし、あるいは(ドキッ)とした。検問を張っていたら腹が立つし、ずるがしこく店の防犯カメラに映らないように、囲んで職務質問するやり口に、憎悪の感情を抱いていた。しかし、それは自分に『ルールを守る意識』が無かったからだった。自分本位だったからだった。

 

それから10年経ち、私は考え方を変えた。彼ら警察を、『警備隊』だと考えるようにしたのだ。つまり、ちょっと悪い言い方をすると『部下』。『我々の為に身体を張って生活保全に尽力を尽くす、有能な部下たち』という見方をする様にしたのだ。

 

つまり『敵』ではなく、『味方』だと思うようになった。すると、彼らに対するいら立ちは消えた。それどころか、彼らが未然に防いでくれているカウンターインテリジェンスに、感謝さえするようになったのだ。

 

聞けば、職務質問をした地域としない地域では、犯罪率に大きな差があると言うではないか。そうやって彼らは、言い返しをされる可能性のある嫌な役目を買って出て、市民の安全を守っているのだ。警察だって中には未熟な人間もいるわけで、その『負』に触れすぎて、負に侵されて嫌な性格になってしまう者もいるが、それはそもそも、『負』が原因なのである。

 

 

『金』も同じことだ。『敵視』するなら『無慈悲』な存在になる。考え方を変えるのだ。

 

お金の使い方は、3つしかない。

 

(1 )浪費、(2)消費、(3)投資

 

である。お金を『浪費』してしまう人は、いずれお金に無慈悲に支配されてしまうだろう。浪費と言って思い浮かべるキーワードは、

 

ギャンブル、酒、女、男、ドラッグ、衝動買い、無駄遣い、ブランド物、高級車、高級時計、夜遊び、風俗、キャバクラ、見栄、虚勢、刹那的、ホスト

 

ざっと挙げてこんなものである。もちろん、この中にも『投資』になり得るものも含まれているが、結果的にお金が増えないのであれば、それは『浪費』だったと考えるのが間違いないだろう。

 

身体を壊したら医療費がかかる。お金が無くなったら借金をしなければならない。あるいは、割の合わない重労働を強いられることもあるだろう。結果的にお金が増えない。つまり『減る』のであればそれは、『浪費』である。

 

わかってはいるのだが、人生いろいろ。その多様性が、ここに混乱を招く原因になっている。例えばギャンブルと言っても、こういうケースがある。

 

10万円の元手があったから、まずそれを競馬の本命にかけ、手堅く20万円に増やすことに成功した。それを次に、20万円でパチンコとスロットをやりながら時間を潰していると、気づいたら30万円になっていた。しかし、元々別にお金を増やす気があったわけじゃないから、遊ぶ金に遣おうと思って、また競馬に行って、本命にかけた。

 

 

すると50万円になった。だが、この辺りが限界だと思ったのか、初めからお金をパーッと使いたい願望があったので、キャバクラに行って、隣の席に居た人に酒をおごって、皆でどんちゃん騒ぎをした。ようやくお金はすっかり無くなってしまった。彼は、お金に支配されて生きるのが嫌で、出来ることなら人にもたくさん奢りたいし、ドンちゃん騒いで縛られずに生きていきたいと思っていたのだ。

 

ある日、その隣の席にいた人から後日連絡があった。何とその人物は、大きなイベントの運営を取り仕切る会社の、オーナーだったのである。

 

『この間はごちそうさま!面白かったね。いやあ、久しぶりに楽しい酒を飲んだ。そういうえば君、仕事がないって言っていたね。実はね、君みたいなサービス精神旺盛な人材を探していたんだよ。ちょっと仕事の話をしてみないか。』

 

そして彼は、自分では想像することが出来なかった仕事の世界を知り、天職を見つけたようにその仕事をこなしてみせ、そしてあっという間に月収50万円を超えてしまったのだ。その額は、あの日、あの飲み屋で使った金額だった。つまり、あの時自分がそのお金をパーッと使っていなければ、今の収入はなかった。

 

『返ってきた』のだ。

 

しかし彼は、『ギャンブル、酒、キャバクラ、衝動買い、無駄遣い、夜遊び』というキーワードに抵触している。これは、『浪費』だろうか。それとも『投資』だろうか。

 

 

こういうことが、この問題を複雑にしてしまい、混乱を招いてしまっている。『浪費』か『投資』かを決めるのは、『結果論』なのかということだ。この結論が、大きな差をつけることになるだろう。

 

日本の過去と現代にいる二人の経営の神の言葉が、このテーマの的を射た言葉を言っている。

 

『楽観的に構想し、悲観的に計画し、楽観的に実行する。』

by稲盛和夫

 

by松下幸之助

 

もうわかっただろう。『悲観的に計画した稲盛和夫』、『無料で奉仕した松下幸之助』、『お金が欲しいわけじゃなかった青年』、この3人には共通点がある。それは、お金に自分を支配されていなかったということである。

 

『お金よりも大事なものがある』ということを知っていた。青年と経営の神の二人の間にはもちろん差があるが、しかし彼らには共通して、自分の私利私欲を最優先することに『恥』を覚えていたのである。

 

だとすると、『結果論』ではない。最初の一歩、いや『ゼロ歩』というところの『心構え』に先義後利、先憂後楽の発想があったのである。

 

私利私欲を満たすためだけの、『ギャンブル、酒、キャバクラ、衝動買い、無駄遣い、夜遊び』であったのなら、何も残らなかっただろう。浪費と投資の見極めは難しいが、お金に支配されるのではなく、逆に『支配する』という発想を持つことだけは、間違いなく覚えておいた方が良い。

 

 

MEMO

※これは運営者独自の見解です。一つの参考として解釈し、言葉と向き合い内省し、名言を自分のものにしましょう。

 

 

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