名言と真剣に向き合って、偉人の知恵を自分のものにしよう!
フランスの詩人、ラ・フォンテーヌは言う。
これは、『揶揄』である。フォンテーヌの名作、『金の卵を産むガチョウ』の話がまさにそうだ。人間は、『いつか実るはずの果実』より、『今目の前にある種』を食べてしまう。
エジソンはこうも言う。
もう少し、待つのだ。気にするべきなのは、周囲の意見でもなければ、失敗した数でもない。『真理』である。例えばその真理の中に、こういう黄金律がある。
風林火山だ。これは、武田信玄が言ったのではない。大元は孫子の兵法だ。孫子というのは本の名前だ。著者は孫武という。だが、その孫武は実在したかどうかは定かではないという話もある。しかし、孫子の兵法はこれだけ有名だ。なぜかというと、『真理』だからだ。真理だからこそ紀元前500年頃、つまり今から2,500年も前に作られた戦略が、未だにこの世に通用しているのである。
例えば、『世界がわかる宗教社会学 入門』にはこうある。
タントリズムの世界
密教はその後、ヒンズー教と混淆して、インドから仏教は消えてしまいます。密教の流れをくむタントリズムは、『しりん』(墓地の裏手の荒れ地)で男女抱合の儀式を行いサンヴァラ(性的合一による至高の快楽)を得る、という怪しげなものでした。地面の上に曼荼羅を描き、般若=女性、方便=男性、菩提心=男女の抱合という象徴方程式を立てて、集団的に男女が抱合します。この儀式専門の、『だきに』という秘教集団の女性もいました。このように、性的快楽を、密教にいう『成仏を確信する方法』に採用したのがタントリズムです。そのほかに、
- 殺生
- 妄語
- 盗
- 淫
- 糞尿食
など、仏教の戒と反対のことを故意に行う修行法まで現われました。
同じく2,500年もの時間が経っても今なお人々の心をすくい続ける『仏教』がある。だが、仏教の対極のことを教えるような、こうした密教が存在していた事実があった。そう考えたとき、これらの教えは、今の世にどこまで浸透しているだろうか。浸透していないのであれば、淘汰されたのだ。それは、『真理ではない』からに他ならない。真理とは、『いつどんなときにも変わることのない、正しい物事の筋道。』という意味。たかだが数千年の時間で淘汰されていくようであれば、その教えは真理ではないということになるのだ。
では、その真理である孫子の兵法にある『風林火山』というのは一体何だろうか。実は、実際には『風林火陰山雷』というのが正式な名称である。
『 風 』
其の疾きこと風の如く。(無駄を切り詰めて風のように速く)
『 林 』
其の徐(しず)かなること林の如く。(見極めた引き際は林のように静かに)
『 火 』
侵し掠めること火の如く。(攻めると決めたら火のように燃え尽きるまで)
『 陰 』
知りがたきこと陰の如く。(陰のように気配を消して情報を得るべし)
『 山 』
動かざること山の如く。(山のように動かない時を見極めよ)
『 雷 』
動くこと雷霆(らいてい)の如し。(動くと決めたら雷のように疾く)
しかし、『陰』は『風』に近く、『雷』は『火』に近いため、ゴロもいいので『風林火山』に短縮されたようだが、とにかくここでいう『山』が、今回エジソンが突いた真理そのものなのだ。
『すべては、待っている間に頑張った人のもの。』
しかし、見過ごしてはならないのは『山』に徹するその時、決して何もせずにただぐうたらと過ごせばいいわけではないということだ。エジソンも『頑張った人』と言っているが、その時期にも人は『やるべきことを』から目を逸らしてはならない。
例えば中国の名軍師、李牧は、
と言って、実に『数年』という時間を『山』に徹して勝機を待った。3年ほど経ってしびれを切らした敵国が、油断して李牧のいる陣地に攻め込んできた。しかし、
(今だ!)
とばかりに周到に用意しておいた李牧は、地の利を活かして優位な戦況を作り出し、見事に敵国を返り討ちにしたのである。これを考えればわかるように、(今だ!)と一瞬で褌を締め直し、敵国を攻め落とそうという血気盛んな猛者たちを『返り討ちにする』のだから、それはその間に遊んでいたのでは実現不可能だ。山に徹している時期、いうなれば毎日毎日刃を研ぎ、素振りをして、瞑想をし、神経を研ぎ澄ませていた。結果的に『その場所から動かない』というだけで、『その場所でやるべきこと』はやり尽くしているのである。
どの場所から矢を射れば有効で、どの場所に潜んで襲撃すれば奇襲が成功するか考え抜き、どこから攻めてきてもそれに対応できるように戦略を張り巡らせ、いつ来てもいいように酒におぼれることもなく、健康の管理をし、『その時』に向けて確実に準備を進めていったのだ。
矢沢永吉は、
と言ったが、実にその通りだ。また、こうも言っている。
『20代で頑張った奴だけが、30代のプラチナチケットを手に入れられるんだ。』
どちらにせよ同じ意味である。『山』の時期に腐らず、苦労し、頑張り、努力した人間だけが手に入れられる境地がある。エジソンはそのことを説いているのである。そしてそれは真理だ。これからも未来永劫、変わらない事実である。
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